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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第四章 SSL
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SSL -10

「よし。それでは、とりあえず一週間は通常勤務をこなし、仕事の流れをつかんでもらう。その後、剣精の神殿の近くで業務にあたる・・・これでいいか?」


僕は逡巡の後、コボル警備長の確認を首肯する。確かに、それなら勤務と修練が両立する。


「君に関しては、なんだか特例続きですまないと思っている。特別扱いをしているつもりはないのだが・・・気が付くとこういう運びになっているな」


コボル警備長は頭を掻く。僕がSSLに入隊してから、しがらみや規則がまじりあって、話がどんどんと通常とは違うほうへ流れていく。


「とんでもないです。命を救ってくれたのですから、できるだけご迷惑はかけません」

「まさか、助けた少年がアーツ・ホルダーになるかもしれないとは、思ってもいなかったがな」


感慨深げに唸る。

ふと、僕は頭に浮かんだ疑問を口にしてみる。


「皆さんは、どうやって武術を習ったんですか」


意外な質問だったのか、コボル警備長とディランさんは顔を見合わせる。


「どうしたんだ、急に」

「僕が剣精に武術を習うのと同じように、皆さんはどんなルーツがあるのかなと・・・」

「ルーツか・・・」


コボル警備長は合点がいったのか、ディランさんと一緒にコボル隊全員の経歴を語りはじめた。


「俺とディランは、軍部だ。二人とも、同じ隊だった」

「たしか、ララベルは、子供のころから槍術の学校にいたとか・・・」

「ジャヴは・・・我流だな」

「ジュリアも、我流に近いものがある。近所のお兄さんに習ったとか言っていたな。どんな意味かはわからんが・・・」

「皆さん、色々な経歴なんですねすね」

「我流でも強いやつはいる。だが、誰かに教わるほうが成長が早いのは確かだ」

「武術に限ったことではないが、習うなら早いほうがいい。達人に訓練をつけてもらえるのは、武闘家なら垂涎の機会だ」


自分の好機を認識した僕は、僕は無言でうなずく。


「ちなみに、剣精は他に誰かを教えたことがあるんですか」

「・・・それが、我々の記憶では、ない」

「普段から剣精の動向を調べているわけではないのだが、そんな噂は聞いたことがないんだ」

「そうですか・・・」

「ただの気まぐれか、何か思うところがあってのことか・・・わからないが、教える腕の方は、正直未知数だ」

「とりあえず、一週間はディランと業務に当たってくれ。剣精には、私の方から連絡を入れておく」

「わかりました。よろしくお願いします」

「疲れただろう。今日は、ゆっくり休んでくれ」


礼をして、ディランさんと一緒に退室する。その後、ディランさんに街で夕飯をごちそうになり、別れた。


寮に戻り、靴も脱がずにベッドに横たわると、ラストさんとのことが頭に浮かんだ。

人前で使ったということは、あの歩法は少なくともラストさんが編み出したアーツではないのだろう。

あの時は、とっさに技を返すことができたとはいえ、お互いに真剣で勝負をしたら・・・おそらく、勝てない。ラストさんは、戦わなくてはいけない相手ではないはずだが、それでも戦いになる可能性がゼロではない。

山で羊飼いをしてきたとき以上に、生きていくために、強さが必要になってくる。

寝巻に着替えると、毛布にくるまって、まだ見ぬ剣精の特訓に思いを馳せた。

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