SSL -8
「もういい! レイル、ラスト、そこまでだ」
ディランさんが、僕たちの間に割って入る。
「レイル、今後は背後に気をつけろよ」
「・・・周りが暗いのは、夜勤のほうですよ」
僕たちは再びにらみ合う。
「お前ら、いい加減にしろ」
ディランさんが僕の腕をつかみ、強引にひきはがすと、ラストさんの方へ指を突き出した。
「いいか、ラスト。レイルはうちの隊に入ったんだ。何かあれば、容赦しないからな」
「・・・フン」
「よし、いくぞ、レイル」
「・・・はい」
こうして、僕はディランさんにつかまれて、半ば強引に帰路へつくことになった。
道を曲がり、ラストさんが見えなくなると、ディランさんは手を離して驚いたという表情で、口を開いた。
「やれやれ、お前が意外と喧嘩っぱやくて、驚いたぞ」
「いえ、そんなつもりは・・・」
「まぁいい。俺のことを言われたから、向かったんだろう?」
「・・・」
「すまんな。だが、気にすることはないぞ。最初に言ったが、俺はずっと笛番でいいと思っているんだ」
「そうですね・・・挑発に乗って、かえって申し訳ないことをしました。すみません」
「いや、いいんだ。それより、今後あいつがなにか言ってきたら、自分で何とかしようとせずに、相談しろよ」
「わかりました」
遺恨を残すような形になってしまったのを気にしてくれているのか、ディランさんは気を使ってくれているようだ。
帰路に就く間、僕とディランさんは無言だった。僕の頭の中は、ラストさんのことよりも、さっきの特異な歩法に思考を奪われていた。あれは、先人が編み出した技だろうか。改良はできるだろうか・・・。
「・・・イル」
僕自身も、一つのアーツにこだわらず、他のアーツを開発するべきなのかもしれない。そのあたりも、機会があれば剣精に聞いてみよう。そんなことを考えていた時、
「レイル、おい。着いたぞ」
ディランさんが、話しかけていた。ハッとして、面を上げる。気が付けば、SSL本部に到着していた。
「おい、大丈夫か」
「・・・はい、すみません」
慌てて、頭を下げた。
「さあ、入ろう。なんだか、腹減ったな」
くだけた調子で、ディランさんは僕の背を叩く。
「ラストのことは、とりあえずコボルさんには言わないでおくが、何かあれば俺に相談してくれ」
「・・・はい」
「本来は必要ないんだが・・・初日だったから、二人でコボルさんのところへ報告に行こうか」




