手合わせ
刀を構えた、先程まで封印されていた鬼の名乗りに驚愕した。
「我が名は酒呑童子。この世の鬼の頭領にして、いずれ妖怪、果ては世界を統べる者である。」
酒呑童子
平安時代に、京都で猛威を奮っていたとされる鬼の頭領。後に、源頼光によって討伐はされたが、それまでの猛威と被害などにより、日本三大妖怪として世に広まっている。
そんな歴史上の存在しない妖怪と思っていた相手が、目の前にいるのだ。刀を使用しているの者として、恐怖こそすれど、これほどまでに今後のためとなる手合わせもまた、存在しないだろう。
ならば、手合わせをしないという選択肢は、凱人には存在しない。
「では、その手合わせお受けしましょう。私は、水篠凱人と申します。」
異空間から最高品質の刀を取り出し、正面に構えた。
そいて、数十秒の睨み合いの末、酒呑童子が真っ先に飛び出してきた。
「はやっ!?」
一瞬の瞬きの間に、踏み込み、目を開いたときにはすでに目の前にいた。
咄嗟に、持っていた刀で一撃を防いだが、防ぎ方が悪かったのか、それとも酒呑童子の力が強すぎたのかわからないが、一撃で刀にヒビが入った。
「おいおい、その程度か?凱人!」
戦いに入って、人が変わったような酒呑童子に気圧されながらも、臨戦態勢を取った。
「まだ、まだ。」
そこからは、言葉が交わされることなく、金属音だけがこの場に響いていた。
凱人は、なんとか酒呑童子の攻撃をギリギリで防いでいた。しかし、ところどころに傷を負い、刀も限界が近づいていた。
それに加え、凱人の攻撃はことごとくを余裕の表情で躱され、疲弊が募っていた。
「やはり、人間はこの程度か。期待して損したな。」
その一言で、更にあたりに緊張が走った。
酒呑童子が踏み込んだと思えば、次の瞬間には凱人の目の前にいた。
その時、凱人の頭に浮かんだのは、死だった。
咄嗟に防御したが、酒呑童子の一撃は刀を粉砕し、そのまま凱人を壁へと激突させた。凱人を壁へと激突させた一撃には、凱人への興味がなくなり、ただただ人間への憎しみだけが乗っていた。
壁に激突した凱人が霞む視界の中で見たのは、光を失い、ただただ人間を憎む鬼の姿だった。
明日も投稿するのでお楽しみに




