episode13 叱って狂って抱きつかれ
やっと……やっとできたー!!
しかし短いんだよな………
謁見の間から待合室に戻ってくるとシルフィアが近寄って来た
「……メシア」
「どうしたシルフィア」
「……助けて……」
「どういうことだ?」
「「シルフィアちゃん!!」」
「ひゃう!!」
すぐに俺の後ろに隠れるシルフィア
追ってきたのはセシルとカリン
「何してるんだ?」
「シルフィアちゃんに色々と聞いていたの」
「色々と?」
「そうだよ。メシアと一緒に住んでるんでしょ?」
「保護って名目でな」
「ほら私達って5年間のメシアの生活知らなかったでしょ?だから興味あって」
「何故に?」
「だって………」
「お兄ぃ…じゃなかった…お兄様。セシルさんも私もお兄様の事が好きなんですよ。興味ありますよ」
「……それは誠に嬉しい限りに御座います」
「もーっ!!二人とも堅いなーっ!!」
「あのな~……相手は一国の姫君。俺は一介の冒険者であり辺境泊家の人間だぞ?畏れ多いわ」
「……」
カリンが黙る
何故に?
「はぁ~」
「何故お前が溜め息をつくのかわからん」
シルフィアは未だに震えて俺の後ろにくっついてる
「……お前ら何したんだ?シルフィアがここまで怯えるのは男相手以外では珍しいぞ?」
「……怖かった」
「だ、そうだが?」
「「うっ……」」
「はぁ~……まぁいいや、依頼内容の確認、で、リーダーを決めて依頼をこなすぞ。リーダーはリーノでいいだろ」
「「「え?」」」
シルフィア以外が驚く
何故?
「普通そうだろ?つーかリーノが驚くのも分からないんだが?」
「だって……ねぇ?」
「「うんうん」」
「理由を説明してくれ」
「あなたはソロでAランクになったんでしょ?それだけ依頼をこなしたって事でしょ?ならリーダーにふさわしいと思うのだけど」
「俺は基本的に討伐系しか受けてない。護衛依頼は今回が初だ」
「え?Bランクになるには護衛依頼の試験がある筈でしょ?」
「俺がBランクになったのは10歳の頃だ。Bランクのブラッドオーガを討伐したからな。まぁそれをしたのはCランク試験の時で特例って事らしい。それ以来あんま以来受けなかったからな」
「なんで?」
「勝手にAランクにさせられたからな。普通確認してから試験する筈だろ?イライラしたから招集を無視してたら魔物暴走化が起こったから勝手にランクを上げない事を条件に無双しまくった。そしてまた勝手に上げようとしたからギルマスの前でブチキレて脅してやった。で、今日シルフィアが冒険者になりたいって言ったからギルドに行ったらこの依頼に当たったって訳だ」
「なるほどね」
「カリンちゃん、今まで通りに接していいんじゃない?」
「そうかな?」
「はぁ~……セシルは冒険者になったって自覚はねーのかね」
「へ?」
「まぁいいや」
「……お兄ぃ?」
「……なんだ?」
「……今までみたいに……接してくれる?」
「はぁ~……公の場じゃなければな」
ぱぁー!と言う効果音が付きそうな笑顔を見せるカリン
「うん!!」
「それでカリン?お前この依頼を俺らが受けなかったらどうするつもりだった?」
「速攻で取り消し」
「このアホが!!冒険者も暇じゃねーんだぞ!!」
ぐに~
「ひたひ!!ひたひよおひぃ~」
「……」
「ごへんなひゃい……」
「次はないぞ?」
「う~……」
「つ・ぎ・は・な・い・ぞ?」
「…ひゃい……」
「よろしい。で、話を戻すが移動方法は?」
「とりあえずシルフィアさんはメシアが面倒見てあげて。人見知りなんでしょ?」
「あぁ」
「私とセシルさん。メシアとシルフィアさんでコンビって感じね」
「えー!リーノさんと組むのもいいけどメシアとも組みたい!!」
「なら俺とシルフィア、次にリーノとセシル、そしてセシルは引き続き俺とコンビを組むって形でいいか?それでいけるか?シルフィア」
こくり
「だがセシル、かなり負担が大きくなるが大丈夫か?」
「うん!!」
「よし、じゃあ初日はそれで行くか」
「初日だけ!?」
「あ!?」
「ごめんなさい!」
「まぁいいや。あ、俺ちょっと抜けるわ」
「え?どうして?」
「知り合いが居てな。ちょっとアドバイスもらってくる」
「……わかった……」
「ついてくんなよ」
「……メシア」
「どうした?」
「……私も……」
「うーん……」
「シルフィアちゃんが行くなら私も!!」
「私も行きたい!!」
「よし、シルフィア。ちょっと待ってろ。すぐ戻る」
「「えー!!」」
「すぐ戻るから待ってろ」
◇◇◇◇
「遅かったなメシア」
「すまん。撒くのに時間かかった」
「では狂剣士の血の発動を許可する。使ってみろ」
「使っても大丈夫なのか?」
「うむ、メシアが入って来た時に私が不可視の結界を張った。故に誰にも見えず誰も入れない場だ。安心して使え」
「わかった。狂剣士の血!!」
ドクン!!
ブオンッ!
狂剣士の大鎌が現れ消えていく
そして二本、三本と増えていく
「よし!ザッシュ!!」
五本になった辺りでザッシュが俺の後ろに現れ何か唱える
『狂う魂の乱舞よ!この者の魂に寄り添いその力を示せ!!』
狂剣士の大鎌が消え今度は現れなくなる
ドクン!!ドクン!!ドクン!!
ニクイ!!スベテガッ!!ニクイ!!ニクイ!!ニクイ!!
ありとあらゆる所から怨挫の声が聞こえる
視界が赤く朱く紅く染まる
これは………怒り?憎しみ?
ニクイ!!シッコウシャ!!スベテガッ!!ニクイ!!シッコウシャノ!!スベテガッ!!
これは執行者を恨む声なのか………
でも………俺は………
「シバラれナい!!自由コソが!!オれノ……ソンザいイギだ!!」
バチン!!
その音が聞こえた後、怨挫の声が聞こえなくなった………
その後聞こえて来たのは
コノシッコウシャ……イママデとは……異なるナ……ナラば……このタマしい……使え!!
「うむ、成功だな!!ザッシュを恨む魂を鎮めるとは………面白い」
「『俺はどうなってる?』」
声がダブって聞こえる
「容姿は変わらん。だがよく見てみろ」
俺は手を見た
すると紅い筋が血管のように浮かんでいる
「ほれ、これを殴ってみよ。ヒイロカネ鉱石でできた塊だ」
カンカンと鉱石を叩いてみるクロサマ
「『手が折れるだろ』」
「その力なら大丈夫だ」
まぁ、やるだけやって見るか
「『ふっ!!』」
ドカーン!!
「『!!……す、すげーぇ!!すげー力だ………』」
ヒイロカネ鉱石がバラバラになり全て消えた
「『あれ……?』」
ふっ………
身体中の力が抜けて膝を突いてしまった
「それは目の前の物を全て破壊する力だ。破壊する物がなければ役目を終え力がなくなる。まぁ時間を置けばまたその力が使えるようになる」
「……そうか」
声のダブりもなくなってる
「その力を有意義に使えよ?」
「わかった………」
「今回は特別だ。回復してやろう。ほれ」
身体のダルさが消えた
「助かった。俺は冒険者の仕事に戻るぞ?」
「うむ」
「またな、クロサマ」
◇◇◇◇
面白い……やはり面白いぞ龍二よ
お前が望むならその力はどんな物にでもなろう
お前の前に居た世界の核爆弾にでもな
………しかしそれは辞めてもらいたいな
世界が保たれなくなる
奴らが蔓延る世界がきてしまう
破滅者たちが………
無罪なる犯罪者に選ばれた無法共が……
奴らは神を装っておるがあんなのが神なら世界は存在しない
断罪せよメシア
それができるのは救世主たる名を持つ執行者のお前だけだ
それまで私はお前を見守り育てて行こう
我々が望む安寧と秩序を
任せたぞ佐山龍二……いや、断罪の執行者 メシアよ
◇◇◇◇
俺は迷っている………
あの力の事ではない………
まぁ、それもあるんだけど今は置いておこう
ギューーッ
シルフィアが離れない
クロサマにあの力の使用を
許可してもらって戻って来たらいきなりシルフィアが抱きついて来て離れなくなった
セシルとカリンは唖然
リーノはニヤニヤしている
「……メシア」
「……どうした?」
「…メシアは遠くへ行かない?」
「どういう事だ?」
「……だって一人にした」
「ちょっと用事があっただけだ」
「…本当?」
「あぁ」
「……………なら」
「なら?」
「ギュッとして?」
え?
「「えー!」」
セシルとカリンが驚愕
リーノは相変わらずだ
これはどうすれば正解なんだ?
なでなで
「…メシア?」
「それはまた今度な?さすがに恥ずかしいから」
「…………………わかった……でも絶対にだよ?」
「あぁ」
スーッ
ギューーッ
スーッ………
ギューーッ!!
「シルフィア?」
離れようとしてまたくっつく
しかも強めに……
「…なんか……離れたくない……」
うぉぉい。マジかい
「どうしたらいいんだ……」
「シルフィアちゃんだけ……ズルい……」
「ウゥッ!!ウゥゥゥッ!!」
セシルはいじけてカリンは唸る
はぁ~
「シルフィア、ちょっと離れてくれ」
「……いや」
「ここにちゃんと居るからさ」
「……わかっ……いや」
「シルフィア……」
しゃーない……
「セシル」
「……なに?」
「カリン」
「…うぅぅ…なに?お兄ぃ」
「こっちこい」
するとすぐに来る二人
ポンポン
「「え?」」
「して欲しかったらシルフィアに勝てよ?俺の癒やしは手強いぞ?」
ギューーーーッ!!
さらに力込めたなシルフィア。地味に苦しい
「「絶対負けない!!」」
さて、この二人は大丈夫だろう
問題はシルフィアと……
「………」
さっきから殺気を込めて俺を見る王妃
ちなみにシャレは言ってない。本当にさっきから殺気を……いや…気にしないで欲しい
「……相変わらずモテますわね……さすがアルビストの美男美女の子ね。血は血を争えないとはね。まぁ、いいわ。カリン。絶対負けないのよ?」
「……はい!!」
「セシルさんもね」
「畏まりました!!」
はぁ~さっさと依頼進めようぜお前ら
突然ですが執行者には種類があります
断罪、粛罪、冤罪、有罪の4種類
断罪がメシア、粛罪がザッシュ、冤罪と有罪は後々出てきます。
断罪は直接執行します。粛罪は断罪を動かしたり間接的に執行します。間接的とは言っても直接手を下さない訳ではなく後方支援が主な目的の為表舞台に出ないのです。ザッシュが武器に宿っているのも粛罪としての役目である支援を直接できる事とあの武器の怨挫に使用者である断罪が呑まれないようにするためです。
冤罪は主に調査専門。冤罪はその名が示す通り間違いを犯してはいけない為ありとあらゆる方法で調べあげ情報を審査し有罪、若しくは粛罪に回し断罪に執行してもらうと言うのが主な目的です。シルフィアの事件が発覚したのも彼らのおかげ。有罪は他の3種類の統括です。冤罪が仕入れた情報を元にどこまで断罪を動かすか………粛罪にどこまでのサポートを認めるか……を決めていて彼らがいなければ執行者は人ではいられない程の無法者になるでしょう。まとめ役が主な目的です。
要するにクロサマ達が社長などの上役、有罪が部長、免罪が課長、粛罪が係長で断罪がその部下の社員みたいな感じです




