第2話:追放されちゃったよ
時はさかのぼる。
「追放されちゃったよ……これからどうしようか」
僕はたった今パーティーから追放されたヒーラー。チートは特になし。出来ることは本当に傷を癒すことだけだ。
「はぁ……」
ヒーラーは単体では何の役にも立たない。いかに傷を癒そうとも、敵を倒す手段がなければ、倒れるまでの痛みに悶える時間を引き延ばすことしかできない。
なんとしてでも早くパーティーを組まないといけない。
鉛のように重く感じる足を引きずるように、冒険者が集う広場へと出かけることにした。
酒場の近くの広場には多くの冒険者がいる。ほとんどはパーティー連れだ。冒険の作戦を立てているもの、冒険からの生還を祝うもの。
そしてソロの冒険者も多くいる。彼らも自分の売り込みに必死だ。ソロとパーティーではできることの幅が大きすぎる。冒険するならパーティーは必須。それは常識だ。
そんな中、冒険者であろう少女がひとりぽつんと座り込んでいるのが見えた。大きな盾と小さなメイス。どうやらそれが彼女の得物らしい。
その表情は曇っている。僕はその子がどうしても気になり、声をかけることにした。
「どうしたんですか?」
「……パーティーを追放されまして」
「なんでまた……」
僕と同じように、という出掛かった言葉を辛うじて飲み込んだ。
「盾は刃を防ぎます。ですが、衝撃までは防ぎきれません。衝撃はやがて蓄積し……倒れます。そんな役立たずはいらない、と」
「じゃあ、僕が癒すよ!僕はヒーラーだ!」
少女の表情がわずかに変わる。
「確かに、あなたの助けがあれば倒れはしないでしょう。でもそれだけですわ」
「……倒れなければ、倒せる」
「私の得物はこんな小さなメイスですよ?」
「それでも、倒れなければ、倒せる。絶対に、君を倒れさせはしない」
「……楽観的すぎます。あまりに楽観的すぎますわ」
彼女は立ち上がった。
「でも今は、その楽観さに賭けてみたいと思います。私はアイリス。これからよろしくお願いします」
ノクターンノベルズにて、同じ作者名で連載中。




