09おりょうり
「ねーぇ、アリカちゃん、ミアもお料理したい」
「あら珍しい。じゃぁ一緒に作りましょうか」
アリカがキッチンに立って料理をしている最中、ミアがそんなことを言い出した。
ミアにあったサイズの白いエプロンを着せると、少し考えた後アリカは戸棚からしまっていた白い根菜を取り出した。
「じゃぁ、ミアちゃんはこれを小さく切って。小さく切ったらすりつぶしてくれる?」
「わかった」
慣れない手つきではあるが、根菜を切り刻んでいくミア。
いびつな形がいくつもできあがると、今度はそれをおろし器でおろしていく。
「アリカちゃんできた」
「そしたらボウルに移して潰したフランボルンの実と混ぜてくれる?」
「わかった」
フランボルンの実はほんのりと甘くそして酸っぱさが目立つ味だ。
白い根菜と混ぜれば甘さと酸っぱさがやわらいだ焼き物の付け合わせになる。
言われた通りにボウルに入れてまぜまぜ。
スプーンですくって味見をしてみるとやや酸っぱさが勝っている。しぶい顔をしているミアに、アリカは微笑む。
「酸っぱい?」
「酸っぱい」
「今の時期のフランボルンはまだ酸っぱいものね」
「ミアあまいほうが好き」
「じゃぁ、少しお砂糖を足して混ぜてね」
「うん」
スプーン大匙一杯の砂糖を振りかけてさらに混ぜ混ぜ。
だいたい混ざったくらいにかき混ぜ、再度スプーンですくって味見をしてみれば今度はミアの顔がしぶくなることはなかった。
「あんまい」
「じゃぁそれを焼いたお魚にかけてくれる?」
「わかった」
◇
「この前ミアおりょうりつくった」
学園からの帰り道、鼻を高々としたミアがシアに言った。
「なにつくったの」
「ミルク魚のフランボルン和え」
「あんたお魚は食べれるの?」
「食べれる。お肉はダメだけど、お魚は食べれる」
「へぇ、そうなんだ。今度私にも作ってよ」
「……」
「なによ」
「お魚はアリカちゃんが焼いた」
「お魚くらい誰だって焼けるでしょう」
「たぶん」
「ミルク魚美味しいわよね。昔パパに連れていってもらったレストランで食べたわ。プリンみたいにプルプルであまくて」
「うん」
「お魚なのにデザートみたいで美味しいの。また食べたいなぁ」
「じゃぁ今度ミアんちおいで。一緒につくろ」
「わーい」
しかし、ミアははっとして思い出す。
一緒にミルク魚を料理したが、シアの言うように甘いデザートのようなそのミルク魚のおいしさにミアは残ったすべてを食べてしまっていた。
「シアちゃん」
「何」
「釣り竿持ってる?」
「たぶんパパのがある」
「じゃぁそれも持ってきて」
「なんで」
「おりょうりは釣ることからはじめるんだよ」




