01ゴリラorクラゲ
「ゴリラクラゲってさぁ」
「え? クラゲゴリラじゃなかった?」
羊の半獣人ミアの言葉に、エルフのシアが疑問で返した。
「あれそうだったったけ?」
「そうだった気がする」
「でも前にアリカちゃんと見に行った時はゴリラの形をしたおっきなクラゲだったんだよ」
「クラゲがゴリラの真似をしていたらそうなったって聞いたから、きっとクラゲゴリラよ」
「ゴリラクラゲ」
「クラゲゴリラ」
◇
「アリカちゃぁーん」
庭先にいたミアが家の中にいるアリカに声をかけると、エプロン姿をした女性が顔を出した。
「なぁに、ミアちゃん」
「ゴリラクラゲだよね?」
「いいえ、クラゲゴリラよ」
ミアとシアがぎゃぁぎゃぁ言いながらアリカにどちらが正しいか尋ねる。
しかし困った顔をしたアリカは指先を顎に当てて考えるも、当時のことはおぼろげにしか覚えてはいなかった。
「うーん、じゃぁ、二人で行って実際に見てきたらいいんじゃないかしら?」
「アリカちゃん天才」
「絶対クラゲゴリラよ」
「ゴリラクラゲ」
◇
近所で農園をやっているスヌープの馬車に揺られ、二人は町はずれの水族館へと足を伸ばした。
クラーケンやリヴァイアサン、カリュブディスなどの様々な目を引く水棲魔物が展示されていたが、今の二人はそのどれにも目をくれず、小走りにクラゲが展示されているゾーンへと足を急がせた。
「あ、いたいた」
「でっかーい」
巨大すぎる水槽、その中に浮かぶ大きなゴリラのような姿をした半透明なクラゲが泳いでいる。
姿かたちは類人猿のそれだが、ゼリー状で細長い触手を伸ばすその生態はやはりクラゲである。
「ゴリラクラゲ」
「クラゲゴリラ」
また互いに譲らぬ口喧嘩になりそうであったが、今はその答えを知ることができる。
水槽の下には展示された生物の名前と生態などがかかれたプレートが張り付けられている。
じゃぁ答え合わせをしようじゃないかと二人してプレートをのぞき込む。
「ミア合ってたじゃん」
「シアも合ってたじゃん」
プレートには『ゴリラクラゲゴリラ』と示されていた。




