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寓話 人生の教訓を描いた短い物語  作者: トワイライト


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第19回(#91~#95)

#91 種を守る老人


ある村に、毎年同じ場所へ種を植える老人がいた。


その種は、


すぐには芽を出さない特別な種だった。


村人たちは言った。


「そんな種を植えても意味がない」


「もっと早く育つ種を選べばいい」


老人は答えた。


「この種には、この種の時間があるのだ」


しかし、


何年経っても花は咲かなかった。


村人たちは笑った。


「やはり無駄だった」


老人自身も、


少し不安になっていた。


ある日、


老人は病気になり、


種を植えることができなくなった。


そこで、


村の若者が代わりに種を植えた。


それから数年後。


老人が植え続けた場所に、


美しい花畑が広がった。


村人たちは驚いた。


その花は、


長い年月をかけて育つ花だったのだ。


老人は花畑を見て微笑んだ。


「私は花を見るためだけに種を植えていたのではない」


「いつか誰かが、この景色を見ることを信じていたのだ」


村人たちは気づいた。


すぐに結果が出なくても、


未来へ残るものはあるのだと。


---


解釈


人は努力の結果をすぐに求めてしまいがちです。


しかし、すべてのものが短期間で成果になるわけではありません。


今している行動が、未来の誰かや未来の自分を支えることもあります。


この話は、「すぐに結果が見えなくても、積み重ねることには価値がある」という寓話です。


■■■■■■■■■■■■■■■■


#92 二つの種


ある農夫が、二つの種を手に入れた。


一つは、


大きく美しい花を咲かせる種。


もう一つは、


小さく目立たない花を咲かせる種だった。


農夫は迷った。


「どちらを育てれば、立派な庭になるだろう」


そこで、


二つの種を別々の場所に植えた。


最初の種は、


すぐに芽を出した。


やがて大きな花を咲かせ、


多くの人が見に来た。


一方、


もう一つの種は、


なかなか芽を出さなかった。


農夫は心配した。


「この種は失敗だったのかもしれない」


しかし、


何年も経ったある日、


小さな花の種から、


丈夫な木が育った。


その木は、


暑い日には木陰を作り、


雨の日には人々を守った。


農夫は気づいた。


早く美しく見えるものだけが、


価値のあるものではなかったのだ。


大きな花を咲かせる種も、


時間をかけて誰かを支える種も、


それぞれ違う役割を持っていた。


---


解釈


人は目立つ成果や、すぐに評価されるものを価値あるものだと考えがちです。


しかし、成長の速さや見た目だけでは、その本当の価値は分かりません。


時間をかけて育つものや、目立たないものにも、大きな役割があります。


この話は、「成長の形や速さは違っても、それぞれに価値がある」という寓話です。


■■■■■■■■■■■■■■■■


#93 砂時計の秘密


ある村に、不思議な砂時計を持つ老人がいた。


その砂時計は、


一度ひっくり返すと、


決められた時間だけ砂が落ち続けた。


村人たちは言った。


「時間を自由に止めたり、早めたりできれば便利なのに」


老人は笑った。


「この砂時計には、それ以上の力がある」


村人たちは不思議に思った。


「ただ時間を測るだけではありませんか?」


老人は答えた。


「砂が落ちている間、人は待つことを覚える」


ある若者が、


砂時計を早く終わらせようとした。


振ってみる。


逆さにしてみる。


しかし、


砂は決して早く落ちなかった。


若者は諦めて、


ただ砂が落ちるのを眺めた。


すると、


普段気づかなかった音が聞こえた。


風の音。


鳥の声。


自分の心の動き。


若者は気づいた。


自分はいつも、


先のことばかり考えていた。


今この瞬間を感じる時間が、


ほとんどなかったのだ。


それから若者は、


砂時計を見るたびに、


急ぐことをやめるようになった。


時間を支配するのではなく、


時間と共に過ごすことを覚えたからだ。


---


解釈


人は効率や速さを求めるあまり、待つ時間を無駄だと考えることがあります。


しかし、立ち止まる時間には、自分を見つめたり、周りに気づいたりする価値があります。


すべてを早く進めることだけが、良い結果につながるとは限りません。


この話は、「ゆっくり流れる時間にも、大切な意味がある」という寓話です。


■■■■■■■■■■■■■■■■


#94 片方だけの翼


ある鳥の群れに、一羽だけ飛ぶのが苦手な鳥がいた。


その鳥は、


他の鳥より翼が小さかった。


仲間たちは空高く飛んでいく。


しかし、


その鳥はすぐに地面へ落ちてしまう。


鳥は悩んだ。


「自分には才能がない」


「みんなと同じようにはなれない」


ある日、


年老いた鳥が言った。


「なぜ飛ぶことばかり考えているのだ?」


若い鳥は答えた。


「鳥なのだから、高く飛びたいのです」


老人は空を見上げた。


「高く飛ぶことだけが、翼の役割ではない」


「翼は、自分の場所へ行くためにある」


若い鳥は考えた。


それから、


無理に高く飛ぼうとすることをやめた。


低い場所をゆっくり飛びながら、


森の小さな道を見つけた。


そこには、


他の鳥たちが気づかなかった、


美しい花や安全な巣の場所があった。


やがて、


仲間たちはその鳥に道を尋ねるようになった。


若い鳥は気づいた。


自分の翼は、


誰かと同じ高さへ行くためではなく、


自分にしか見つけられない場所へ行くためにあったのだ。


---


解釈


人は他人と比べて、自分に足りないものばかりを見ることがあります。


しかし、能力や個性の違いは、欠点ではなく、それぞれ違う役割につながることがあります。


大切なのは、誰かと同じになることではなく、自分の持っているものをどう活かすかです。


この話は、「違いは弱さではなく、別の価値を生み出す力になる」という寓話です。


■■■■■■■■■■■■■■■■


#95 井戸の底の空


ある村に、深い井戸があった。


その井戸の底には、


一匹の蛙が暮らしていた。


蛙は毎日、


井戸の上に見える小さな空を眺めていた。


「世界とは、このくらいの大きさなのだ」


蛙はそう信じていた。


ある日、


別の蛙が井戸へ落ちてきた。


その蛙は、


広い森や大きな湖を知っていた。


井戸の蛙は尋ねた。


「本当にそんな場所があるのか?」


「この空より大きな空が?」


旅をしてきた蛙は答えた。


「ある」


「ここに見えている空は、世界の一部でしかない」


井戸の蛙は信じられなかった。


「そんなはずはない」


「私が毎日見ている空が、すべてだ」


しかし、


ある日、


井戸の壁が崩れ、


蛙は外へ出ることができた。


初めて見る広い空。


遠くまで続く森。


大きな川。


蛙は長い間、


何も言えなかった。


そして静かに呟いた。


「私は世界を知っていたのではなく、見える範囲だけを世界だと思っていたのだ」


それから蛙は、


新しい景色を見るために旅を始めた。


---


解釈


人は自分が経験した範囲だけで、世界を判断してしまうことがあります。


しかし、自分が知らないものや見えていないものは、まだ存在している可能性があります。


大切なのは、自分の考えを絶対だと思わず、新しい視点を受け入れることです。


この話は、「見えている世界が、すべての世界とは限らない」という寓話です。


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