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君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~  作者: A08_Studio
【第二章】父と娘

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【第041話】欺瞞


「失礼します」


一人の青年が部屋へ入ってくる。


「かけてくれ」


倉田も立って出迎え、着座を促す。

青年は売上や人員配置について淡々と報告した。

倉田も相槌を打ちながら耳を傾ける。


そして、それが落ち着くと倉田が話題を変える。


「宮城、お前は入って何年になる?」


唐突な質問に青年は戸惑う。


「? 十年、いや、十一年ですね」


倉田は穏やかな表情になる。


「......そうか、もうそんなになるのか」


「ええ、それがどうかしたんですか?」


「いや、聞いてみただけだ」


彼は立ち上がり、窓の外を眺める。


「あの頃は十人もいなかったな」


宮城も表情を緩める。


「そうですね。あの時はここまで大きくなるとは思いませんでした」


「だな。お前も含めて、みんなが頑張ってくれたおかげだ」


暫しの沈黙の後、倉田は宮城の方を向き直す。


「会社を宮城、お前に任せたい」


「えっ?」


宮城は顔を上げる。


「俺と副社長、人事部長の三人は退任する」


彼は慌てて立ち上がる。


「退任は三日後、明日の夕方までに新体制の人事をまとめてくれ」


「待ってください。いきなり、そんなことを言われても......」


倉田は宮城の方へ歩み寄る。


「無茶を言ってるのは承知だが、やってもらうしかない。高村と井川にはいつでも退任できるように準備をさせていたから、ほぼ実務への影響はないはずだ」


「いったい、何があったんですか? そんなに急がなくても......」


宮城は食い下がる。


「状況が変わった。俺たちがいると皆に迷惑がかかるかもしれない」


「......倉田さんたちの本業の方ということですか?」


彼が恐る恐る尋ねると倉田は目を見開く。


「気づいてたのか?」


「......薄々ですけど、そうかもしれないと」


倉田は腕を組む。


「ふぅ~、俺たちもまだまだだな」


宮城は倉田の動きを見守っている。


「心配するな。この会社は真っ当で悪事はしていない。それは、帳簿や契約を見てもらえば分かる」


倉田は表情を緩め、両手を開く。


「みんな本気で働いてくれている。それを俺たちの都合で使うのは違うだろ?」


「......何で、そこまで律儀に?」


彼は一呼吸置く。


「俺たちの組は商売が生業で、ボスが人道に厚い人だった......それに、お前がいたからだ」


倉田の独白は、宮城の戸惑いを待ってはくれない。

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