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君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~  作者: A08_Studio
【第二章】父と娘

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【第040話】焦り


「なんだその目は!」


整えられた髭を蓄えた男は烈火のごとく怒鳴る。


「......」


「お前が生きてられるのは誰のおかげだ!?」


髭の男は、倉田の胸倉に掴みかかる。


「このプロジェクトは我々のリスクも大きい。慎重に動かなければ我々が破滅します」


「破滅がどうした! 俺の立場はどうなる!?」


(......本音が出たな)


「彼らの提示の半分も達成できてないんだぞ!」


倉田は冷めた目で髭の男を見つめている。

髭の男は奥歯を噛み締め、倉田を突き飛ばす。


「二ヶ月で何とかしろ! 分かったらさっさと行け!」


「分かりました。善処します」


彼は襟を整えながら淡々と答える。


「善処ではなく結果を出せ!」


倉田は無言で一礼すると部屋と邸宅を後にした。

そして、足早に車の後部座席に乗り込むとすかさず発車する。


「どこへ向かいます?」


運転席の男が倉田へ問いかける。


「適当に走った後に新第三に向かってくれ」


車は幾度か右左折を繰り返しながら、邸宅街を離れていく。

運転席の男はバックミラーをにらむ。


「......付けられていますね」


「ふぅ、どんな奴だ?」


「シルバーのセダンに男が二人、サツでしょうか?」


倉田は口に手を当てる。


「いや、多分違う。警察はそこまで掴めていない」


「つまり、身内ってことですか?」


「おそらく榊の手下だろうな」


「組長の?」


「ああ、いよいよ余裕がなくなってきたらしい。今日もえらい剣幕で結果を迫られた」


「へっ、派手にやり始めたわりに胆力がないこった」


倉田は一笑すると携帯を取り出す。


「ひとまず、新第三に向かうのはなしだ。本社に行く」


「了解です。後ろのは? 巻きますか?」


「いや、こちらで引き付ける。北ルートを使え」


そして、電話をかけ始める。


「倉田だ。本社と旧拠点の人員を新拠点に近づけるな。次の通達まで、外に出ている連中だけで対応しろ。一般社員には気取られるな......ああ、詳細は戻り次第伝える。よろしく頼む」


電話を切ると、今度はタブレットを取り出し、思考にふける。

その後も倉田は短い電話を数本かけた。

淡々と指示を出し、人の動きを変えていく。


一段落すると、煙草に火を点ける。

窓に目を向けると雨が降り始めたようだ。


(時間がないか......)


深く吐き出された煙にはため息が混じる。

その煙は薄く開けた窓から吸い込まれ、千切れるように後方へと消えていった。

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