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全問正解子ちゃん  作者: 総督琉
女王文月編
92/114

学園全面戦争②

 広場での乱闘。

 部活動総会は捕縛網を発射するバズーカで次々と生徒総会のメンバーを捕らえるも、数が多く、一進一退の攻防が続いていた。

 バズーカを奪った生徒総会はバズーカを打ち合い、互いにメンバーを捕縛網で拘束する。


 そんな中、一人の男は生徒総会が密集する場所へ矢を放った。地に刺さったその矢からは、薄い白色の煙が吹き出る。その煙を嗅いだ者たちは、急激な眠気に襲われる。


「さすがは弓道部部長、四六双六(すごろく)先輩だ」


 街灯の柱の上に立つ男ーー四六は次々と矢を放ち、生徒総会を眠らせていく。


「脆い脆い。数が多ければ良いってわけじゃない。その数をどう利用するかが重要だが、指導者はそれを分かっていないんだね」


 彼により、既に五十人ほど生徒が眠りについている。


「このまま全員眠れ」


 四六は再び矢を放つ。しかしそれは地に刺さる前に一人の女性に掴まれた。飛んでくる矢を掴む反射神経に、男は驚く。


「矢を……」


「おいおい。仲間をあんま眠らせんなよ」


「お前は……」


「どうも。十器聖の一人、冬待でーす」


「十器聖か。だがしかし、矢を掴んだ時点でお前の負けだ」


 冬待の掴む矢からはこれまでと同じように煙が放たれる。その煙を吸い込んだ冬待は眠気に襲われるーーはずだった。

 しかしどういうわけか、冬待は一切の眠気を感じずに立っていた。


「睡眠ガスが効いてないだと!?」


「気付かなかったか?この空間にはもうひとつガスがまん延していることに」


 冬待のもう片方の手に握られているのは謎の試験管。そこから青い煙がわき出ている。


「私は医者だ。医学に精通している、そして薬学にも。だから睡眠ガスを無効化するガスを作ることなど造作もない」


「作るって、まさか今作ったのか」


「ああ。君の放った矢から放たれている睡眠ガスの成分を調べ、それに私が今持っている無数の薬品を化合させただけ。それだけで十分眠気を防ぐことができる」


「チーターかよ」


「驚くのはまだ早い。この睡眠ガスの効果はそれだけじゃない」


 眠っていた生徒たちは皆起き上がった。


「このガスには眠気を晴らす効果もある。さあ目覚めの時だ」


「ちっ……」


「そういえば君、最後にこれは言っておくべきかな。おやすみ」


 双六が立つ街灯には睡眠ガスを放つ矢が刺さっている。ガスは上に舞い上がり、街灯の上に立つ双六はそのガスを嗅いだ。

 急激な眠気に襲われ、街灯の上で眠りについた。


「さて、行くぞ。短期戦に持ち込め」


 冬待は警戒していた。

 もしこの戦いが長引けば、敵の有する兵器が続々とこの場に送られてくる。そうとなればいよいよこの場は大混乱に陥る。

 なるべく敵が武器を揃える前に短期決戦が望ましい。だから生徒総会創設直後に攻撃を仕掛けている。


 冬待は焦りに駆られながらも、冷静さを振る舞いながら校舎へと突き進む。

 下駄箱まではまだ時間がかかる。しかし本校舎の横に設備された体育館に集まっている人は少ない。


「お前ら、私についてこい」


 冬待は五十の数を率いて体育館の中に突撃した。

 しかし体育館に入った冬待らは固まった。


「それ以上は行かせないぜぇぇい」


 エレキギターの音が響き渡る。

 体育館のステージには、軽音部が楽器を構えて演奏をしていた。それが丁度終わると、軽音部部長が冬待を指差した。


「さあ軽音を奏でよう。それまでお前はここから出られないぜぇぇい」


 扉は全て閉められ、外から鍵をかけられた。

 内側からは鍵がなければ開けられないようになっていた。


「鍵ならここだ。欲しければ決闘しようかぁぁい」


 軽音部部長ーー符士銅(ふしどう)音菜(おんな)は鍵を見せつける。

 冬待は鍵を奪おうと飛びかかる。しかしエレキギターを弾いたと同時に冬待の耳に音が届いた時、冬待の体には痺れが走る。


「なっ……」


 冬待は足を崩した。

 冬待だけではない。彼女について来ていた五十人の生徒も痺れていら。


「さっきのか」


「正解。私はあらゆる音を知り尽くしている。その中に麻痺音(パラライズメロディ)がある。その音を意図的に出すことで、お前たちは痺れるのさ」


 しかし音が届く範囲である場所ーー符士銅の背後に立っている軽音部部員は全く痺れていない様子だ。耳を見てみると、何かつけている。


「耳栓?なるほど。音さえ聞こえなければ良いのか」


「ああ。ただそんなことはさせないよ」


 符士銅は音を奏で、その音に冬待たちは痺れて横たわる。耳を塞ごうと手を動かそうとしても、特に指先は強く痺れて動けない。


「その程度か。十器聖」


 必死に起き上がろうとするも、痺れは徐々に全身に回る。


「もう終わりか?」


 起き上がれない冬待を、符士銅はエレキギターで音を奏でながらはっちゃけながら叫んでいた。


「このままずっと痺れていろ」


「皆死ぬ気で頑張ってる。だから私も、皆のために戦う。学園を取り戻すために」


「綺麗事だね。最初から決まっているんだよ。なぜならーー強者と弱者の間には絶対に越えられない壁があるから」


「それでも越えてやる。たとえ翼が生えていなくとも」


「まじで面倒だね。憤怒(ふんぬ)っちゃおうかな」


「ならばその憤怒を鎮めてやろう。私の命の歌(ソウルソング)で」


 痺れているはずの冬待は、その体を無理矢理起こして立ち上がる。

 それを見て、符士銅は笑う。


「今決めた。決闘内容はお前が私から鍵を奪えるかだ。さあ全力でかかってこい。十器聖」



 符士銅音菜VS冬待来無、開戦。


各地で起こる戦い。

この決闘の結末は……

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