↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全問正解子ちゃん  作者: 総督琉
十器聖編
PR
49/114

絆の証明、夕焼けの約束④終

 広い道場のような場所で、私は本物の刀を握っている。その刀で人の首を斬ろうと思えば斬れるし、かすれば簡単に傷がつくだろう。


「文月京、どうして君はこの決闘に挑んでくれたのかな?」


「怖くなったのか?戦うことが」


「私はこの暗黒街で殺すことには慣れている。だが君はただの一般人だ。人を殺すなどということには抵抗があるんじゃないか?」


「生憎、私は覚悟はできている。貴様を殺す覚悟がな」


 そう言い、私は刀を振るって暗黒の刀へぶつけた。

 殺しはしない。刀さえ折れば戦いは終わるはずだ。

 私が振るった刀は暗黒の刀とぶつかり合う。刃の部分が互いに少し欠けた。想像以上に脆い、これなら早く決着がつく。

 刀と刀を交え合う中、暗黒は呟いた。


「そういえば、この刀で南愛佳に傷をつけたっけ」


 こいつ、何を言っているんだ。


 暗黒は私と距離をとり、刃こぼれした刀を見て言った。


「なあ文月、お前の作戦はバレバレだ。刀を折って決闘を終わりにしようとしているんだろ。だが決闘はそれじゃ終わらない。どちらかが降参するまで、もしくはどちらかが死ぬまで行う。そうでなくちゃ意味がない。だからさーー」


 暗黒は私のかたなを側面から打つように刀を振るった。その瞬間、私の刀はその中心に折られた。

 刀身が床に突き刺さるのを、私は無言で見ていた。


「なあ文月、私はお前を利用して全知の学園を支配する。お前がいれば今度こそ学園を支配できる。死ぬまでお前を使ってやるよ」


 暗黒は私の左腕を目掛け、刀を突き刺すーーその寸前、私の中で何かが壊れた。

 私はーー文月は左腕の一振りで暗黒の刀をへし折った。その後、飛び上がって暗黒の刀を手から蹴り飛ばした。刀は宙を舞い、遥か遠くの壁に突き刺さる。

 その後、どういうわけか文月は暗黒の首目掛けて刀を振るおうとしていた。


「文月……そうか、まだお前の中に他の人格はあったのか」


 文月が暗黒へ刀を振り下ろした寸前、折れている刀に銃弾が直撃し、その反動で文月は刀を手離した。刀は弧を描いて宙を舞い、床に転がる。


「危ないところだったね。暗黒」


 そう言いながらそこにスナイパーライフルを持って現れたのは、十器聖の頂点に立つ少年ーー全知全夢。


「全知……」


「暗黒、惨めになったな。同じ相手に二度も負けるなんて」


「ちっ。最初から見てやがったのか」


「そりゃあ僕の仲間の南に接触した時点で、君が何かを企んでいるということは予期していたよ。だけどまさか真剣同士の殺し合いを挑もうとしたのは、さすがに君には腹が立ったよ」


 全知は鋭い目付きでしりもちをつく暗黒を見下ろしていた。

 その目には明らかな殺気が込められている。


「まあ良いや。とりあえずこの決闘は君の負けだ、暗黒」


「まだ勝負は終わっていない」


「いいや終わりだ。僕が止めに入っていなければ君が死んでいた。だから暗黒、奴隷の首輪は全て外しておいた。まあ行き場のない者はここに残りだろうが、多くの者がここから去るだろうな」


「全知ぃ」


 怒りを込めてそう言うも、全知は暗黒の言葉を無視し、文月のもとへ向かった。


「多重人格。薄々勘づいてはいたが、君の中にこのような人格があるとは」


 暴れる文月を見て、霞ヶ崎は数時間前のことを思い出していた。

 ーー私の中にある人格が他人を傷つけるかもしれない。

 その人格は今暴れている彼女なのだと分かった。暴れる文月を見て、霞ヶ崎は彼女のもとへ行こうとするも、一人の女性に腕を掴まれた。


「生徒会長、それ以上進むのは危険です」


 彼女の腕を掴んでいたのは、十器聖ーー冬待来無(こない)であった。

 さらに彼女の後ろには、同じく十器聖の結城小袖と青黒薔薇(あおくろばら)黒龍(こくりゅう)がいた。


「十器聖がこんなに……」


「暗黒、もう君は弱いからそこで尻をつけたまま這いつくばってなよ。その方が面白いからさ」


 暗黒はそう言い放ち、文月の両腕を掴み、床に押し倒した。


「文月、しばらく眠っていてくれ」


 文月の首に注射器を刺した。その後、眠気に襲われた文月は暴れるか力を徐々に失い、そこで眠る。


「では帰るとしようか。そして決闘を始めよう。寝起きの文月との、最初で最後の決闘を」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。