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災世のディザイアスター  作者: 和尚
第1章 ディストピア2068
9/79

第9話 1日の終わり

今年最後の更新になります。皆様、よいお年を。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。



「……その情報は確かなのかね?」


「現場に行って裏を取ったわけじゃありませんが、報告を持ってきたのはムーアの大将だ。あの御仁がくだらない嘘をわざわざ総司令部(ここ)に持ってくるような暇人じゃないのは、あなたもご存じでしょうよ」


「加えて、周辺を警戒させている警備部隊からも報告が上がっています。本日だけで4件……『炭鉱アリ』との交戦及び目撃の報告がありますので、信憑性は高いかと」


「……なるほど。確かにこれは、軽く見ていい事柄ではないようだ……早急な対処を要するな」


 場所は、フォート『ヴォーダトロン』の中心部にある『総司令部』内の一室。

 ここ『総司令執務室』には、もう夜も遅い時間になるというのに、3人の男女が集まっていた。


 1人は、部屋の真ん中に置かれた執務机につき、背もたれとひじ掛けのある椅子に深く腰掛けている、初老の男。上等なものと一目でわかるスーツに身を包んでおり、どことなく育ちの良さ、あるいは気品のようなものを感じられるいでたちだった。髪は白髪だが、皺は少なく目も大きい。


 その前に立っている2人からの話、ないし報告を聞く形を取っている彼は、この部屋の主であり……この『ヴォーダトロン』のフォートの頂点に君臨する『総司令』である。


 名を『アルフレッド・ハッシュダート』。

 世界が『災害世紀』と呼ばれる時代に突入してからも、その強力なリーダーシップで人々をまとめ、この『ヴォーダトロン』のフォートを作り上げて拠り所とした傑物である。


 そして、その総司令・アルフレッドのついている机の前に立っている男女2人。


 1人は、二十代後半から三十代前半、といった見た目の男性。男にしては長い、肩にかかるくらいの黒髪を、頭の後ろで縛って1つにまとめている。

  

 軍服に身を包み、胸に輝く豪華な階級章が、その階級の高さと、彼が握っているのであろう権限の大きさを示しているが……それに反して、態度や口調は軽く、飄々としたものだった。


 対してもう1人、女性の方は、ピシッとした皺ひとつないスーツを見事に着こなしており、例えるなら、バリバリのキャリアウーマン。いかにもできる女、といった見た目である。同じく髪色は黒で、ややくせっけのあるそれを腰まで伸ばしている。


 気の強そうな鋭い目に、真一文字に結ばれた口元、そして今の態度と、総司令であるアルフレッドに報告を述べるその口調からは、こちらは見た目通りに真面目な性格であろうことが伝わってくる。


「では、調査には明日の早朝に出てもらうことにする。リドリー、夜も遅くなってから出悪いが、部下たちにも伝えて、明日の準備をさせておいてくれ」


「了解しました。今日のうちに斥候か何か出さなくて結構なんで?」


「今日はもうこの時間だからね。クリーチャー……しかも、甲殻の色が闇夜に紛れてしまう『炭鉱アリ』を、偵察とはいえ相手取るのは難しいだろう。他にも、夜に活動が活発になるクリーチャーも少なくはない、安全には変えられないさ。ジェニファーは留守を頼むよ、私がいない間のね」


「!? お待ちください総司令、ご自分でお出になるおつもりなのですか!?」


 ジェニファー、と呼ばれた女性が、アルフレッド総司令の言葉にこめられた意味に気づいて、驚きを隠せない様子で問いかける。


 その横では、リドリー、と呼ばれた男性の方も、ジェニファーほどではないものの、『マジで?』とでも言いたそうな表情をして、総司令の方を見返している。


「ムーア氏からあげられてきた報告がそのまま真実なら、これは放っておくわけにはいかない一大事だ、というのは今結論に達したばかりだろう? ならば、戦力として動かせるものを動員するのは自然なことではないかな?」


「だからといって……総司令自ら戦線に出るなど! 軍に任せておけばいいではありませんか! 御身に何かあれば、この都市の運営に多大な……」


「何かあっても大丈夫なように、私は都市運営の方針の決定権を、『評議会』を設置してそこに委ねたはずなんだがね……評議員の選定・任命はついこの間済ませただろう?」


「そりゃそうですが、あんたのワンマン経営でここまで来た町を、いきなり『今後は話し合いで方針を決めます』なんて言われてもうまくはやれないでしょうよ。だからこそその評議会に、『議長』って立場であんたが入ってるんだろうし……もうちょっと人材が育つまで待ちましょうや」


「……やれやれ、これは私が引退できるまでは、まだ道のりは遠そうだな」


 2人の部下……リドリーとジェニファーに諭され、アルフレッドは渋々その通りにすることに決めた。


「仕方ない。では、よろしく頼むよ、リドリー。今回の件は敵の規模が不明だから、慎重に、しかし後手に回って対応に遅れが生じないように……気を付けて当たってくれ。『第5世代機』の使用許可も出しておく。必要だと判断したら躊躇わずに使いたまえ……それと、私も呼んでくれればいつでもいくからね」


「新型機はありがたく貰って行きます。けど、最後のはいらないですって……そんなにあんた戦場に出たいんですか。もう若くないだろうに」


「ははは、手厳しいな君は。だが、別に冗談や嫌味で言っているつもりはないよ? 現に……私や君、それにごく一部の精鋭以外に、『第5世代』を使いこなして戦力として運用できるだけの操縦技術の持ち主はいないだろう?」


「それに関しちゃ、軍人として情けねえ限りですよ」


「教導隊の方でも、人材の発掘や育成支援などは行っているのですが……」


「結構なことだが、無理はしないようにね。こんな時代だ、お偉方だろうが初老のロートルだろうが、使える者は使わなければ生き残ることなどできない。ゆえに、命令を繰り返させてもらうよ、リドリー隊長。必要だと思ったら、迷わず使え……あらゆる手札をね」



 ☆☆☆



 ところ変わって、その話に上がっていた『炭鉱アリ』の巣があった場所。

 ムーアとその部下たちの作業現場だったその鉱道の、入り口前の開けた空間で……つい先程まで猛威を振るっていた、赤い鋼の恐竜は……『伏せ』の姿勢で機能を停止していた。


 エネルギーを使い果たして動けなくなった、などというわけではない。既に動く必要がなくなったため、内部からの操作でシャットダウンされているだけだ。


 そして、そのコクピット内では、非常食として持っていた干し肉と乾パンを食べている、ハルキとアキラの姿があった。


 戦闘が終わった後も、2人はこのコクピットから降りていなかった。

 巣は壊滅させたが、まだ周辺に『炭鉱アリ』がいる可能性もある。既に巣から出て、周囲に散っている個体がいるかもしれない、と思いったったのだ。

 自分達より先に、他の作業員達と交戦していた形跡もあったがゆえに、その可能性は高いと踏んでいた。彼らが撤退したのならば、それを追っていったものが数匹いてもおかしくない。


 現にそういった個体は一定数おり、『ヴォーダトロン』のフォートの周辺で、防衛隊と交戦していたのだから、懸念は正しかったと言える。


 外に出てしまえば、大した武装も持たない自分達ではそれらに対抗することはできない。

 対して、この機体の中にいれば、ひとまずは安全なのだ。炭鉱アリは、この機体の装甲を突破するだけの手段を持っていないのだから。


 そして、この機体のコクピットは、複座だということもあるだろうが……かなり広い。

 容積だけで見れば、ワゴン車のような大型車の車内を上回るそれであり……自由に動き回れるとまでは言わないが、閉塞感はほとんどなく、着替えなども楽に行える。


 加えて、最低限、と言うにも足りないほどに、あまりにも機材が少ない上に――操作を思考で行えるがゆえに必要ないだけではあるのだが――背後の部分を除く壁という壁は全天モニターとなるため、凹凸はなく滑らかな形状である。


 きちんと換気も行われているため、息苦しくなることもなく、座席シートは柔らかで座り心地もいいため、閉じこもっていてもほとんどストレスなくいられる場所だった。


 なお、着ている衣服は、機体が沈黙すると同時に、元のそれ――ハルキのツナギと、アキラのオーバーオールに戻っていた。肌着や靴、鞄などの装備品も、中身まで含めて全て元通りだ。


 そんな調子で、案外快適に過ごしていた2人は、自宅にいる時と変わらない調子で、リラックスして話をしていた。


「しっかし……これからどうするかね」


「どうするって、何がっすか?」


「何もかもだよ。『炭鉱アリ』は退治しましためでたしめでたし、で終われるような状況じゃねーだろ、これ」


 ばんばん、と自分が座っている椅子のひじ掛けを叩きながら言うハルキ。


「全体的に成り行きとはいえ、こんなもん見つけて、手に入れちまった上に……その戦闘能力は、100を超える『炭鉱アリ』を壊滅させられるレベルときたもんだ。絶対に騒ぎになる」


「あー、なるほど……それ以前に、あんだけの数のクリーチャーが巣から出てきてる事態っすもんね……。下手したら、フォートの防衛隊とか出てくるんじゃないっすか?」


「下手しなくても出てくるだろうよ。俺らが全滅させなけりゃ、あの数のアリがこの周辺に散らばって出ていったことになるわけだからな……総力を挙げて、下手したら周辺のフォートに援軍要請まで出して対処しなきゃならねえレベルの災害になる」


「でも、それ自体は解決したんすから、いいんじゃないすか?」


「アリの方はな。……で、その災害級の事態を引き起こしかねないアリの大軍を、単騎で殲滅したこの機体は、どういう目で見られるかわかるか?」


「得体が知れない上に異常に強力な戦闘能力を持ってて、しかもなぜかその所有者はどこの馬の骨ともしれない、年若いジャンク屋2人っていう、ちっとも安心できない不安定な爆弾っすね」


「期待してた以上に率直かつ的確な表現どーも。そういうこった……俺達はこのまま、この機体を、っていうかこの機体で町に帰ることはできない。かといって、乗り捨てて行こうにも……ダメだろ、こんなヤバい能力のある機体、そのままになんてしてたら」


「でも、この機体あたし達以外には操縦できないっすよ?」


「それはわかるけど、操縦できなくても分解して解析して、別な似たような機体が作られるとか……あるいは、俺達でもわからねえような使い方をするかもしれないだろ? 事実、こいつに搭載されてるナノメタル装甲や陽電子反応炉だけでも、再現できれば強力な武器になる。最悪、個人認証を書き換えたりごまかしたりして、誰かにこいつを悪用されるようなことにもなりかねない」


「人型AWの性能向上に四苦八苦してる程度の技術力に、遺伝子・神経電位・脳波複合式の認証システムはもちろん、その他のシステムをどうにかする力があるとは思えないっすけど……それに、認証をどうにかしても、もう1つの方をどうにかしないと普通に死ぬっす」


「バカにはできねーよ。前に本で読んだが、人間ってのは、1800年ごろに蒸気船に蒸気機関が搭載され実用化され始めてから、170年後にはロケットで月に到達してたらしい。間に第二次世界大戦っていう、特定分野に限った技術革新イベントを挟んだとはいえ、必要に駆られれば短期間で爆発的に技術レベルを進歩させうるのが人間だ。ましてや手本になる現物が目の前にある……理論だけなら縮退炉や対消滅炉まで到達してた時期もあったんだ、どうなるかわかったもんじゃない」


「それらは半ばSFの中のものだとされて、そこまで現実味を帯びた見方はされてなかったっすけどね……まーでも、砲弾の1発2発で財布を気にしてる懐事情からすれば、レシッド粒子式半実体兵器とかは是が非でもほしいでしょうし、躍起になってもおかしくないっすけど」


「それ使うならそれ以前に陽電子反応炉を再現する必要があるし、それなら光学兵器やエネルギー式のビーム砲とかの非実体兵器を使った方が開発も……」


 そこまで話して、2人は言葉を止める。何かに気づいたように。

 そのまましばらく、2人共呆然とするようにしていたかと思うと……ため息と共に、ハルキが沈黙を破った。


「……なんか、自然に滅茶苦茶難しい単語使って会話してるな、俺ら」


「仕方ないっすよ。頭に勝手に知識が入ってくる、このわけわかんないシステムが全部悪いっす」


 再びのため息。今度は、2人同時に。


 この機体には、2人にとって、戦闘能力以上に『異常』なことがいくつもあった。


 その1つが、乗っている最中に自動で行われているらしい『教育』だ。

 この機体に乗っている間、2人の頭の中には、自動的に新しい情報、というよりも『知識』が流れ込んでくるようになっていた。まるで、睡眠学習か何かのように。


 その『流れ込んでくる』瞬間を自覚できているわけではなかったが、2人には、そうとしか思えなかったのだ。


 何せ、昨日まで、いや数時間前では間違いなく知らなかった、聞いたこともなかったような情報や知識が、頭の中にいつの間にか存在しており、それらを使って戦ったり会話することが、何も違和感を感じなくできている。


 この機体の操縦方法や基本的なシステム、スペックなどに始まり、それらに関連するものなのか、様々な機械工学的な知識までも。

 中には、部分的過ぎて理解できない……『知っているのに意味が分からない』という奇妙な状態になる知識すらもあったのだが、後からその補完になる情報が流れ込んできて理解できたというケースもあったため、学習する順番によってはそういうことも起こるのだろう。


 今の会話や、先の戦闘中に行われたいくつかの会話も、それによるものだった。

 自分達でも意識しなければ気づかないほどに、それらの知識は自然に自分のものになっていて、それを口に出して使うことに何の違和感もなかったため、2人はその異常に気付くのにしばらくかかったが。


「……まあいい。兎にも角にも、明日以降どうするかを考えないとな……。『フォート』に戻るにしても、この機体をどうするか……隠せるような大きさじゃねーし、仮に隠せたとしても、こんだけ派手に暴れた戦闘の痕跡は……」


「……あー、ハル、ちょっといいっすか?」


「? 何だよ、アキ?」


 と、ふと思いついたように、ハルキの言葉を遮って口を開いたアキラ。

 彼女は、少し考えるようなそぶりを見せた後、


「さっきから思ってたんすけど……『機体』『機体』って、なんかそればっかりで呼ぶのアレじゃないっすか? いやまあ、それしか呼びようがないのはわかるんすけど」


「そりゃ……名前も何も知らねえしな。いや、型番っぽいのはあったけどよ……」


 『知識』の中にな、と付け加えるハルキの言う通り、2人はこの鋼の恐竜の名前を知らない。

 というよりも、流れ込んできた情報の中にはなく、機体内のデータを見る限りでもそういったものが見当たらないことから、恐らくもともとないのだろうと思われた。


 探している過程で見つけた、『DS05』という、ハルキ曰く『型番』のような数字が、あえて言うなら機体名なのだろうが、気付くまでずっと2人は『機体』と呼んでいたのに加え、あまり2人はその名を気に入らなかったため、なんとなく呼ぶのを避けていた。


 別にこのまま『機体』と呼んでもいいのだろうが、どうにもアキラはそれも気乗りしない様子だった。

 ハルキ自身もまた、型番呼びよりマシとはいえ、なんとなく素っ気ない感じがし始めていたのも事実であり……そのまましばらく考えていて、


「……レックス」


「はい?」


「こいつの名前。『レックス』でどうだ?」


 そう、ハルキからアキラに提案した。


「アキラ、お前『恐竜』って知ってるよな?」


「そんくらいは知ってるっすよ。大昔に地球に住んでた生き物で、トカゲとか爬虫類が巨大化したみたいな見た目の奴っすよね。種類によっては、角生えてたり空飛んだりする」


 この『災害世紀』という時代が進むにつれて、などといった、過去の地球のことを知ることができる情報源……書籍を始めとしたそれらもまた、急激に失われていってしまった。

 簡単な絵本を始め、様々な学問分野の入門書や専門書といったものは、人類が生き残るために最低限必要なものを残して、そのほとんどが姿を消していた。


 そういったものは、場所を取らず資源も無駄遣いしないよう、データのみにその存在を残しており……そのデータすらも、一定以上のステータスを持つ、富裕層や準富裕層向けの娯楽の類や、才能を持ちその知識を生かせると判断された研究者や、その卵のみが閲覧することができた。


 過去の時代のように、一般家庭に子供の教育向けに絵本などが当たり前に存在するなどという世界ではない。ゆえに、昔なら誰でも当たり前に知っていたであろう知識が欠落していることなど、当たり前にあった。


 幸いにも、ハルキやアキラは、親の代から『ヴォーダトロン』でもそこそこの収入やステータスを持ち、都市への貢献度が高かったため、そういったものに触れる機会もあった。

 そのため、ある程度の知識は2人共持っていた。


 『恐竜』もその1つだ。太古の昔、この地球上の覇者だった巨大な生物たち。

 巨大隕石の衝突か、疫病の蔓延か、あるいは食料の不足か……今もってその真相は不明だが、何らかの原因で絶滅してしまったとされている、過去の存在である。


「その恐竜の中にさ、いただろ? 『ティラノサウルス』っての。こいつとよく似た……つか、まんまその形してる感じの奴が。モデルにしたんだろうなって思うくらいに」


「あー、うん、覚えてるっす。二本足の巨大トカゲみたいな感じの奴で、肉食で、手が小さくて……あと何か、呼び名が色々あってややこしい奴っスよね? あんまり美味しくなさそうな」


「お前が恐竜を食料として見てたことは驚きだが、まあそんな感じの奴だ。でさ、その沢山ある呼び名の中に『T-レックス』っていうのがあったろ? そこから持ってきた」


「……あれって結局何なんすかね? 『T』はティラノサウルスのイニシャルだと思うっすけど……『レックス』ってどこから来たんすか?」


「うろ覚えだけど……本来は、学名だか分類名だかが『ティラノサウルス・レックス』だったらしいから、そっから略されてそうなったんだと思う。んで、なんかしっくり来たから『レックス』」


「んー……うん、そうっすね、それでいいと思うっす」


 こうして2人は、その日の夜を、『レックス』と名付けた機体のコクピット内で、車中泊のようにして過ごすことを決めた。


 普段の生活習慣の通り、夜が更けてしばらくすると、自然と眠気が襲ってくる。それは、このような非日常的な空間でも変わらないようで、特に不安にさいなまれたり、苦労することもなく、2人はその日を終えて、眠りについた。




 ……その直前、こんな会話が交わされていた。


「ところでハル……結局どうするっすか?」


「何を?」


「ほら、この『レックス』のこと……フォートの連中にコレの存在や、あたしらが手に入れたことがばれたら、確実に問題っていうか、大騒ぎになるじゃないっすか。その対処っすよ。フォートを出て2人でやっていくのか、はたまたどうにかして騒ぎを起こさない方向で動くのか……」


「それなんだけどな……さっきから考えてるんだけど、1つアイデアっていうか、思いついたことはあるんだわ」


「ほう? どんなのっすか?」

 

 そこでハルキは、『うーん……』と、少し言いよどむようなそぶりを見せたかと思うと、




「……よく考えたんだけどよ、コレ、俺らが考えることじゃなくね?」


「は?」





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