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災世のディザイアスター  作者: 和尚
第2章 空を舞う、鋼の翼
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第34話 さまよえる翼



「こういう仕事してると、ホント俺ら『特務部隊』って便利屋集団だなって思うなー……」


「んー? ロイドってこういう仕事嫌いだっけ?」


「いや、別に嫌いじゃねーんだけど……わざわざ『ドルデオン』を使ってやるのが普通の土木作業ってのが、何かこう、これじゃない感じが……」


 ロイドの言葉通り、本日、『第7特務部隊』が従事しているのは、AWを『作業用車両』あるいは『人型の重機』として使った仕事だった。


 場所は、郊外にある資源調査拠点。その取り壊し及び撤収作業の手伝いが今回の任務だった。


 『資源調査拠点』とは読んで字のごとく、何かしらの資源が採れると思われる場所に設置する、数日から数週間泊まり込みで、様々な調査を行うための拠点である。

 調査員たちの仮の住まいとして設置し、調査が終われば撤去する簡易の宿である。


 調査員達はここに泊まりこみ、見込んでいる資源が本当に採れるのかや、その埋蔵量や品質、周囲の環境から注意すべき点、出没するクリーチャーの有無、その種類などを調べる。そして、その後で本格的に採掘作業を行うかどうか、行うとしたらどの程度の規模の設備が要るかを判断する。


 『設置』『撤去』と言うは簡単だが、この時代、この世界において、フォートから離れた場所に泊まり込み用の拠点を置いておくというのは、言うまでもなく危険と隣り合わせである。

 何せ、そこかしこにクリーチャーが跋扈しているような時代だ。町を1歩出れば、どこで怪物に襲われてもおかしくはない。


 クリーチャーは多くの場合、人間と見るや、武装していようがAWに乗っていようがお構いなしに襲ってくる。無論、家の中にいるとかそんなことは関係ない。普通に壁を壊して襲ってくる。

 周囲を囲む防壁に守られたフォートであっても、時にクリーチャーは襲ってくるし、それを破られて侵入を許し、フォート事態が壊滅してしまった例も数多くある。


 それでも、人々が明日を生きていくために、少しでも多く資源は確保しなければならない。そのための調査を、危険を承知で行うための施設だ。


 幸いにもこの施設で行われていた調査は、昨日の時点で既に、トラブルもなく速やかに終了している。調査結果は、『利益になるほどの埋蔵量・品質はなし』という残念なものだったが。


 結果がどうあれ、調査が終わったなら、危険な場所からさっさと撤収するべきなのだが、調査が予想よりも早く終わったために、今日スケジュールが空いている工兵部隊の都合がつかなかった。

 そのため、別名が『便利屋部隊』である『特務部隊』にその出番が回ってきて、ちょうど差し迫った仕事もなかった『第7特務部隊』がAWで出動し、作業を手伝っているというわけだった。


 なお、ファウーラとクリスは別な仕事で留守にしていたため、残るメンバー5人で出動。現場での指揮はシドが取っている。


 『第7特務部隊』の隊員に配備されている機体は全て、『ヴォーダトロン』でも決して台数が多いとは言えない、第4世代以上のAWばかり。

 車両型から人型に変形し、先立っての戦闘において、他のフォートのAW部隊を相手獅子奮迅の活躍を見せたそれらは、今日は打って変わって平和な『作業』に従事していた。


 解体してパーツに戻した『拠点』。その壁や扉、柱といった、人が扱うには大きな部品を、人型に変形した『ドルデオン』や『ブラムスター』で持ちあげて運び、運搬用の車両の荷台に積み込む。

 その姿はさながら、体が大きく金属でできているだけの土木作業員そのものだ。


 自らもその鋼の作業員をコクピットで操作し、巻き取って束ねられた電気設備用の銅線を、ほどけてばらけないようにトラックに積み込みながら、ロイドが言ったのが先程の言葉だった。


 しかしそれを聞いて、


「? AWを土木作業に使うのなんて当たり前じゃないっすか?」


「だな、むしろ俺達としては、慣れ親しんだ作業だから勝手がわかってやりやすいし……ぶっちゃけ戦闘よりこっちの方が個人的には好きだな」


 ハルキとアキラの2人が、『何言ってんだ』とでも言いたげな顔で言う。

 元ジャンク屋の2人からすれば、AWは作業や運搬に使うことこそ慣れ親しんだ使い方である。形は少し……どころではなく違うが、この光景に何ら違和感はない。


 そんな2人のAWは、見た目が土木作業から最も遠いそれであるのだが、それも含めて2人には些細な問題だった。


 現在ハルキ達は『レックス』を使い、ロイド達が回収しない……というより、普通は回収しないで、使い捨て扱いで破棄するようなパーツないし個所の回収を行っている。


 恐竜モードの『レックス』で、調査拠点の土台に使っていたコンクリや、再利用の難しい鉄屑などを食べている。

 そしてそれらを、『捕食変換』の機能で素材……インゴットに戻しているのだ。


 変形していようが砕けていようが、問答無用で分解し再構築、極めて保存も利用もしやすい形にまとめてしまえるその能力は、ここでも重宝されていた。


 見た目はかなり異質な光景だが、れっきとした『作業』である。


 さらに言えばこの後、調査していた資源の鉱脈そのものを食べて回収する仕事も入っている。


 それを聞いたロイドは『あれ?』と疑問符に思ったことをハルキ達に尋ねる。


「回収って……ここで調査してた奴って、品質とか量的にダメだって結論じゃなかったっけ?」


「ああ。でもそれはあくまで、普通のやり方で採掘して利用しようとしたら、って意味なんだと。人員を割いて、設備その他組み上げて、相応の作業拠点をもっかい作って、クリーチャーとかに襲われないように警備もつけて、掘り出したものを輸送して加工して……そんで、売るなり使うなりして利益が出るかって聞かれたら、No。赤字経営になる。だからダメって結論だった。でも……」


「なるほど、レックスなら1機でそれ全部できるもんな。食べてちょっと待てば即素材に変わるし……そのためのコスト、ないしエネルギーすら、適当に日光浴びてればチャージしちまうし」


「鉱脈の量自体も大したことないから、小一時間……あるいはもっと短い時間で終わるってよ。ま、代わりにその周囲の壁とかもろともかじり取る形になるし、レックス自体が活動可能な広さの場所がなきゃ何もできないから、一長一短ではあるかな」


「それでもとんでもない性能だよな……ホント、それ、どこの誰がいつどうやって作ったんだか。いわゆる『オーバーテクノロジー』って奴だよな、完全に」


 かなりの量があったはずのスクラップ部品は、もう全てレックスの腹の中に納まっていた。それを見ていたロイドは、半分独り言のように言う。

 最早今更であり、今までに何度も思いついて口にしたことではあるが、今でもたびたび、どうしても思ってしまうことだった。

 

 すると、それを通信越しに聞いていたセリアが、自機の荷物を車両の荷台に積み込んだ後に、


「ですがロイド曹長、それを言うなら今私達が乗っているこのAWも、一昔前までは『オーバーテクノロジー』扱いだったそうですよ?」


「え、そうなのセリアちゃん?」


 返したのはロイドではなくメリルだったが、それに続けてロイドも聞き返す。


「え、何で? AWって確か……『災害世紀』に入った後に、作業用と戦闘用の両方の機能を無理やりくっつけて作ったマシンだから、使われてるのは当時既にあった技術だけなんだろ? むしろ搭載してる機能のいくつかは省かれたり、グレードダウンしてるって聞いたし」


「確かに、『災害世紀』以前の、戦車や戦闘機といったそれには、現在よりもさらに高度な装置がいくつも組み込まれていたらしいですが、資源や設備の不足から、その多くが現在のAWには実装されていません。技術的に失伝してしまったものも少なくないそうです」


「ものがない中でものを作るには、なるたけ資源を食わない、簡単に作れるものじゃなきゃダメだった、って話だもんな、当時は。……まあ、教本で読んで知ってるだけだけどさ」


 『第7特務部隊』の隊員たちは、一番年長であるシドやクリス、ファウーラらも含め、まだ10代から20代。そんな高価な兵器が現役だった当時を知っている者はいない。

 彼ら、彼女らにとって、人類の絶頂期であったであろう21世紀初頭は、既に書籍などの記録でしか見ることのできない、過去、ないし歴史上の存在だった。


 ただ、とセリアは続ける。


「AWに搭載されている一部の技術については、その当時からしても『未来の技術』レベルのものが使われているのは事実です。最も代表的なものでは、この『人型形態』がそれにあたります」


「え? そうなの?」


「はい。私も本で読んで知っているだけなのですが、当時は人型の機械というのは、二足歩行時のバランスや、精密な駆動ゆえの構造やプログラムの複雑さ、精密機械になってしまうがゆえの強度不足など、とても実用レベルに至っているとは言えない水準だったそうです。当時最先端の技術で作ったものでも、動きは緩慢、転倒しただけで壊れかねない、コストは問題外……到底何かの作業に使えるような性能ではなく、あらゆる意味で、人間が同じ仕事をした方が効率的だったと」


「そうなんだ……でも、今は違うんだよね? 私達ほら、実際コレに乗ってるし」


「はい。『第4世代』以降のものに限り、またルートを限定しているとはいえ、普通に流通しているれっきとした『量産機』であるAWにも、人型形態……それも、通常形態からの変形という形でその技術は搭載されています。恐らくですが、21世紀当初の技術からすれば、想像もできなかった……それこそ、創作の中だけのものだったであろう技術が、今こうして実用化されているのです」


「『災害世紀』で世界が大変なことになった以降に、必死に研究が進められて、そして実用化にこぎつけた……ってことなのか? だとしたらすごいな、研究者の人達……相当頑張ったんだな」


「それに関しては、実はよくわかっていないんです。皆さんは、『空白の1年』と『7人の天才』を知っていますか?」


「? 何それ、聞いたことないっす」


 アキラがそう返すが、どうやらその他の面々……ハルキやメリル、そしてロイドも知らないようだ。それを悟ったセリアは、説明を続ける。


「この『災害世紀』におけるいくつかの新技術……ことAWの研究開発におけるそれが、爆発的に進歩したある期間と、それに貢献した7人の研究者のことです」


 そこからのセリアの説明を要約すると、こうだ。


 『災害世紀』と呼ばれる時代に突入してから数年間、人類は混沌と暗黒の時代を過ごしてきた。

 度重なる災害と『クリーチャー』の出現によって世界人口は大きく減少し、しかも残された資源は決して潤沢とは言えない。そんな状況を打開すべく、人類の未来を守り、繋げるための研究が、あらゆる分野で続けられてきた。


 そんな中……戦車や戦闘機が『前時代の遺物』扱いされ始め、雑な作りの……第1世代や第2世代の『AW』に、人類の武器としての主力が映り始めた頃、7人の天才的な研究者が現れた。


 彼らは協力して、AWをより効率的に動かすための構造設計に始まり、その他さまざまな技術を開発した。そのいくつかはすぐに実用化にまで至り、人類の置かれている状況を劇的に改善した。


 しかしその7人は、そのわずか1年後、全員が謎の死を遂げている。


 彼らが遺した技術やアイデアは、実用化にまでは至らなかった技術がほとんどだったが、それらのほとんどはこの先、他の研究者達が協力して研究を続けていくことで、いつかそこに至れるであろう、というようなものもあった。

 まるで、今を生きる人間には不可能な、未来の技術を先取りしているかのように。


 何を隠そう、人型機械の技術もその1つである。21世紀初頭には、『働かせる』水準には到底及んでいなかったそれを、あと数年、十数年の研究で実用化できるレベルまで技術を進歩させた。


 そして実際に今の時代、それはこうして実用化されている。


 彼らが生前所属していた組織と、協力していたフォートは、それらの技術を使って確固たる地位を手に入れるに至り……現在の『大連合』と、それを構成する超大規模フォート群の元になった。


 そして『大連合』の研究機関では、今もなお、新しい技術の研究・開発と並行して、『7人の天才』が遺した研究資料を基に、彼らが提唱した技術の実現ないし再現を目指して研究が進められている……という話だった。


「レベルアップの幅があまりに急激過ぎるために、その1年間にどんな過程を経てその技術が提唱されるに至ったのかが、研究資料を見てもわからず、理解と実現が極めて難航している。ゆえに、その『7人の天才』が活躍した期間は『空白の1年』と呼ばれています」


 そう、セリアは説明を締めくくった。


「へー……何か、不思議というか、不気味というか……あるんだな、そんなこと」


「都市伝説みたく聞こえるけどな……セリア、それ、士官学校で習ったのか?」


「はい、歴史学の授業で履修した内容の1つです。『大連合』監修の教本にも載っていますよ」


「マジか。ならホントの話ってことか……」


「事実は小説よりも……って奴だねー」


 話を聞きながらも作業を続けていた面々。ちょうど、全ての荷物を荷台に積み終わったところだった。

 と、同時に、鉱脈の方にいた者達から、準備ができたと連絡が入った。


 それを受けて、ハルキとアキラは3人にこの現場を任せ、『レックス』を動かしてその『鉱脈』がある場所へ向かう。


 現場の職員に案内されて向かった先にあったのは、何の変哲もない岩の壁だった。

 『鉱脈』と聞いて、かつて作業のために入ったことのある炭鉱のような洞窟か何かを想像していたハルキ達だったが、職員によれば、岩の層の中に硝石などの資源が含まれているのだという。


 ただし、調査の結果量はそれほどでもなく、業者に依頼して採掘しても利益が出ないだろうというのが、総司令部の出した結論だった。


 これまでであればそこで放置するということになるのだろうが、今のヴォーダトロンには『レックス』がいるため、その資源も折角だから回収しよう、ということになったわけだ。


 ガリガリ、ゴリゴリ、と音を立てて、機械仕掛けの恐竜が岩を食べているその光景を、現場職員は何とも言えない気持ちで見ていた。れっきとした『土木作業』であることはもちろんわかっているのだが、それに従事している『重機』の見た目が見た目なのだ、無理もない。


 そんな作業員の微妙な視線も気にせず、ハルキは作業を続けていた。


 全天モニターの端の方には、どんな資源がどれだけ回収できたかという量のグラフが表示されている。これも最近新たに明らかになった機能だった。

 不純物も多いが、そこそこの量にはなるかな、とハルキは思いつつ……ふと考えた。


(思えば、ロイドの言う通りだよな……『レックス』なんて、既存の技術レベルとは比較できないくらいの技術のオンパレードだし……ひょっとしてこいつにも、その『7人の天才』が提唱したっていう技術が何か使われてるのか? でもだとしたら、何であんな風に……いやそもそも、結局誰がいつどうやって作ったんだっていう話には………………ん?)


 そして、その思考の最中に、ふと上を見上げた時……視界の中に、あるものを見た。


 それは、全天モニターの中央付近、青空のど真ん中に、突如ぽつんと現れた……黒い点のような何か。


 最初、鳥か何かかとハルキは思ったが、それがどんどん大きくなっていき……その輪郭を目視できるようになったところで、その正体を知る。



「……飛行機?」



 羽毛ではなく鉄でできた翼を持ち、プロペラを回転させて爆音を響かせながら飛ぶ、その姿。


 この『災害世紀』では、言うまでもなく空港だのエアラインだのといったものは最早残っていない。人が『旅客機』に乗って、当たり前のように空を飛ぶことができる時代は、既に終わった。

 当然、空港を発着する飛行機が空を飛んでいる光景も、それによってできる飛行機雲も、今の人々に見る機会などない。

 今は既に、飛行機というものを見たことがない者が大半ではないか、とすら言われている。


 現在、飛行機はごくごく一部のフォートに、今の技術レベルでも運用可能なレベルにまでデチューンしたものが、ごくわずかに所有されているのみだとされている。

 

 目の前に現れたのは、恐らくそのうちの1機なのだろうと予想はついた。

 

 しかしその飛行機は、どうも様子がおかしい。


 ハルキもアキラも、飛行機を見るのは初めてだったが、少なくとも、意味もなくあのように、上下左右にふらふらと飛ぶようなものではないはずだ、という知識はあったし、エンジンと思しき部分から黒煙を吹き出しているアレが、正常な状態ではないだろうということもわかった。

 高度も速度も徐々に落ちてきている。そして、見ている前で……やや離れた位置の林の中に突っ込んだ。


 呆気にとられるハルキとアキラ。そこに、通信の向こうから声が届く。声の主はメリルだ。


『おーい、ハルキ、アキラ、今の飛行機……飛行機だよね? 見えた?』


「おー、見えた見えた」


「……飛行機って、あんなふうに着地するもんなんすかね?」


『いやぁ……見たことねーけど多分違うと思うぞ?』


『通常、航空機は滑走路以外で発着することはありません。明らかに異常……いえ、待ってください、何か後ろから……』


『おしゃべりはそこまでだ。第7特務部隊総員、聞け』


 ここでついにシドが、副隊長として全員に呼びかける。通信越しに、手早く指示を出していく。


「非常事態につき、現刻をもって作業を一時中断、警戒態勢に移行する。非戦闘員全員を1カ所に集めて護衛、並びに所属不明機の調査、可能ならばパイロットへの接触・交渉を試みる。隊長不在につき指揮官は俺がやる。シャドー3、シャドー4、シャドー5、非戦闘員の護衛はお前らに任せる。指揮権はシャドー4だ。シャドー6、シャドー7は俺と現場にこい。そこに一緒にいる作業員は、速やかに移動させて護衛組に合流させろ。その上で……先行して露払いを頼む」


「「「了解!」」」


 そう返事をすると、ハルキはスピーカーで外にいる作業員に手早く説明し、その後すぐに機体を動かして墜落の現場へ向かう。足音がうるさくなるのは承知で、かなり速足で。


 わずかな時間も惜しいとばかりに機体を動かす理由は、今モニターに見えている光景だ。

 落ちていく飛行機が飛んでいった軌道をそのまま追うように、何羽もの大きな鳥が飛んでいく。


 もっとも、ここからでもわかるその大きさは、恐らく体長2mは超えているだろうとわかる。

 飛行する鳥の中では世界最大の大きさとされているアンデスコンドルでも、そこまでの大きさはない……となれば、あの鳥の正体が『クリーチャー』であるということにたどり着くのは、さほど難しいことではない。


 恐らくは有人機であろう飛行機を追って飛んでいったとなれば、懸念することは1つである。


「落ちた場所が林だから、熱エネルギー系の兵装は使わない方がいいな……森林火災とかヤバいし。アキ、実弾系の兵装どんなもんだった?」


「弾幕張るのは厳しいっすけど、ある程度近づけば狙撃でいけると思うっす。難しければ散弾で動きとめるか撃ち落として、動けなくなってるとこに肉弾戦でどうっすか」


「それでいこう。どっちにしろ急がねえとな」


「そうっすね……パイロットが食われる前に」



 ☆☆☆



「痛っ、たぁ……」


 飛行機は、突っ込んだ森の木々を何本か盛大になぎ倒し、しかしそのおかげで大きな損傷もなく不時着することに成功していた。

 その操縦席で……体を強く打ったのか、痛みにうめいている者が1人。


 見たところ、大怪我というわけではないようだが、すぐに動けるようでもないらしい。少し身じろぎしただけで顔をしかめ、体をこわばらせると……今度は脱力して、シートに体を預けた。


「骨……は、多分大丈夫ね。ちょっと休も……けど、襲われた挙句、不時着とか……あー、最悪。ここ、どのへんだろ……『ヴォーダトロン』まで、まだ遠いかなー……?」


 はあ~、と、大きくため息をついて、頭にかぶっていたパイロット帽子とゴーグルを外す。

 その下に押し込められていた、少女のセミロングの黒髪がふわりと広がった。





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