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バックパックガールズ ~孤独なオタク少女は学園一の美少女たちの心を癒し、登山部で甘々な百合ハーレムの姫となる~  作者: 宮城こはく
第四章「陽を見あげる向日葵のように」

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第六話「可愛い制服に身を包んで」

 いよいよやってきた土曜日。

 今日は千景さんのお母さんのお店で、一日限定のアルバイトだ。

 開店前のお店に集合した私たちは、さっそくお店の制服に着替えていた。


 制服と言えば、千景さんが来ていたものと同じエプロンドレス風の制服だ。

 お腹あたりをコルセットで絞っているので、胸と腰のふくらみが目立って少し照れてしまう。

 頭に千景さんとおそろいの大きなリボンを結んでみると、心なしか自分の無個性な顔にチャームポイントが出来たようで、結構嬉しくなってしまった。


「……ど、どうでしょう?」


 フレア状に広がったスカートのすそを持ち上げ、千景さんの目の前でくるりと回ってみる。


「とっても可愛いのです!」


 千景さんは両手を合わせ、満面の笑みでほめてくれる。

 彼女はすでに銀色のウィッグをかぶっているので、いつものような小さな声ではなく、語尾も「のです」口調になっていた。

 銀色のウィッグには黒い大きなリボンをつけていて、その色のコントラストがとてもきれいだ。


「へへへ……。千景さんと同じ制服……。なんか嬉しいです」

「ヒカリなのです」

「え?」


 千景さんが口をとがらせて言うので、思わず聞き返してしまった。


「ボクは『ヒカリ』なのです。間違えてはダメなのですよ?」

「そ、そうでした! ヒカリさんでした。失礼しました!」


 そう。

 この銀色のウィッグを身に着けているとき、千景さんは『ヒカリさん』という明るい店員さんキャラに変身しているという設定だった。

 千景さんの人格が変わったわけではないけれど、恥ずかしがり屋の自分を隠すことでスムーズな接客が可能になるということだ。


「ヒカリさん。今日はよろしくお願いします~!」

「こちらこそ、手伝ってくれてとても嬉しいのです!」


 同じ格好になったことが嬉しくて、私とヒカリさんは笑いあうのだった。




 その時、更衣室の扉が開いた。


「お、お姉さんは……どうかな?」


 そう言って出てきたほたか先輩は、なんとコック服を身にまとっていた。

 頭にも白いコック帽をかぶっていて、完全にシェフという風貌(ふうぼう)だ。


「かわいい! ……ですけど、なんでコック服なんです?」

「お姉さんもみんなと一緒の制服を着て接客すると思ってたんだけどね。……百合香 (ゆりか)さんが、どうしても厨房を手伝ってほしいって……」

「お母さんがそんなことを言ったのですか……」


 千景さん、いやヒカリさんはため息をついた。


「……おそらく、母は恥ずかしいのです。厨房の手伝いは欲しいけど、知り合いのほたかじゃないと、恥ずかしくって動けないかもしれないのです」


 私は先輩の可愛い衣装が楽しみだったけど、そういう理由なら仕方がない。

 むしろ、貴重なコック姿を目に焼き付けようとじっくり観察し続けた。




「あれ? ……そう言えば美嶺(みれい)ちゃんはまだかな? 更衣室では制服を見るなり、奥のほうに逃げて行っちゃったけど……」

「そうなのですか? 制服のサイズが合わなかったのでしょうか……」

「あっ! いますよ、美嶺。ほら、商品棚に隠れてます!」


 美嶺はきれいな金髪で背も高いから、とても目立つ。

 隠れているようだけど、まったく姿を隠せていなかった。


「美嶺~。もうすぐ開店時間なんだから、早くおいでよ~」

「く、来んな!」

「あ~、わかった! 可愛い制服が恥ずかしいんでしょ? 大丈夫だよ~。私もヒカリさんも同じだから!」


 そう言って商品棚の向こうに回り込んだ時、私は驚いてしまった。

 美嶺が英国風のメイド服を着ていたのだ。

 スカートや服の袖口はレースやフリルで飾られ、形も伝統的なロングスカートのメイド服で、すごく可愛い!

 金髪の頭頂部にはフリルのついたカチューシャも身に着けているので、本物の英国メイドのようだった。


「すごい……。美嶺、似合ってるね。背も高いから可愛さとカッコよさが同居してて、最高だよ!」

「や、やめろ! 可愛いとか言うな!」


 美嶺が恥ずかしがって顔を赤らめていると、ヒカリさんがやってきた。


「ちょうどサイズがあっていて、良かったのです~」

「ヒカリさん。どうして美嶺だけ衣装が違うんですか?」

「それはですね……。美嶺さんの身長に合う制服がなかったもので、今のデザインに変わる前に使われていた制服を引っ張り出してみたのですよ~」

「ム……ムリっすよ! せめて、いつものシンプルめの制服でお願いしますよぉ~」


 美嶺は両手で顔を覆い、うずくまった。

 そのしぐさも可愛くて、ついついいじりたくなってしまう。


「美嶺、すごく可愛いよ~」

「うんっ、お姉さんも、とっても似合ってると思うな!」

「ぐぬぬ……。これで一日……。しかもお客に見つめられながら? アタシ、きっと死にますよ……」

「美嶺、あきらめるんだよ~。これも自転車のため、でしょ?」

「くそ……。仕方ないな」


 自転車という言葉が効いたらしい。

 美嶺はそう言って、深くため息をつきながら立ち上がった。

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