第123話 ・・・ドリモールをテイム
6層に到着した俺たちが目に付いたのは、
ぼろぼろな状態の1体のドリモールというモグラのモンスターだった。
アズサさん曰くモンスター同士の縄張り争いに敗れたらしいのだが
・・・縄張りってあるのかな?
「まぁそこはあんまり知られていないし、教材とかに書かれていない情報だからね」
「そうですよね」
「そうなんですか」
「10層以降だと、モンスターは突然出現は基本的にないのよね」
「1~5層を探索者にとってチュートリアルっていうけどね・・実は10層までがチュートリアルだったりするわ」
「それは・・・知りませんでした」
『この話は本当か有識者?』
『この話は本当だ。10層以降から地形とかが変化するし、出てくるモンスターも全然変わっていくからな。10層までが実はチュートリアルって話はうそじゃない』
『マジか・・・それは知らなかった』
『基本ソロじゃなくパーティー推奨だから5層って言われるからな。逆にソロで攻略したアズサとかはおかしいほうだろう』
「・・・私はおかしいのかな?」
「リアル狂人とか思われてそうですね」
「それは・・・ユウさんが言ったらいけないと思う」
「えっ!?」
『確かに・・・ユウも従魔がいるとはいえソロで攻略しているからな』
『お前も狂人寄りだぞ多分』
「マジか・・・」
って感じで俺とアズサさんは少し落ち込んだが・・・
「あれ?東条先輩はソロじゃないんですね?」
「私は当時のスパスタのメンバーで一緒に攻略したからね」
「なるほど・・そしてある程度力をつけてからそれぞれソロの配信者になったってことですね」
「そういうこと」
そんな話をしていたんだが、
『それよりこのドリモールをどうするんだよ!!』
「それはそうだね」
「視聴者のコメントで脱線したんでしょうが」
「それにのっかった君も同じだからね」
「はい・・・すいません」
と視聴者のコメントから改めてドリモールを見た。
「見た目はボロボロですが・・傷はあまりついてなさそうですね」
「もしかして・・・この子は子供で逃がされたのかもしれないわね」
「そして・・・この場所で力尽きた感じかしら?」
「多分・・・必死に逃げていたから、後ろを振り返る様子もなかったみたいだしね」
「・・・あの~~~1つ気になることが」
「何かしら?」
「下のモンスターが上の層に逃げてくるって普通はありえるんですか?」
「・・・普通はないわ。だけど、こういう縄張り争いで敗れたモンスターが上の層に向かうことはあるにはあるのよね」
「ごく稀なことだけどね」
「その稀な確率に当たったってことですか」
なんだろう・・こういう低い確率を引くのは俺のせいなのかもしれないな。
「・・・ところでこのドリモールをどうするかよね?」
「確かにモンスターなら倒すのが当たり前だけど」
「・・・・・」
モ・・・グッ・・・
と今にも力尽きかけているドリモールの目を俺は一瞬みた。
その目はまだ生きたいという目をしていたのだ。
「・・・1つ提案があるんですが」
「何かしら?」
「俺のテイムスキルを使ってもいいですかね」
「ユウさんの?」
「はい・・・こいつの目はまだ生きることを諦めていない目をしていたので・・・
俺としてはこいつを仲間にしたいって思いました」
それに・・・小さい体で最後まで生きるためにあらがおうとしたこの子をここで倒すより、生きて縄張り争いで敗れた相手に勝ってほしいという応援の気持ちも芽生えたのだ。
ヒンヒン!!
ぽよん!!
ワフ!!
と俺と出会うまで公園で1人でいたシエルに、仲間外れでボッチだったオニキス、
ぼろぼろの状態で助けたシラユキも賛成みたいだ。
「分かったわ」
「ありがとうございます!!」
「ただし・・・テイムスキルって成功するの?」
「失敗したことがないので何とも」
「・・・頑張ってねユウさん」
「はい!!」
『これって初めてじゃね?』
『そっか・・・テイムスキルを見るのは世界初かもな』
『ヤバい・・・歴史の瞬間に立ち入れれるのか?』
とアズサさんに東条先輩、視聴者も固唾をのむ中で俺はドリモールのところに向かった。
モ・・グ?
「お前はまだ生きたいか?」
モグ・・・
とコクって感じで頷いたドリモールに俺は、
「ならば俺の手を取れ!!絶対にお前を死なせたりしない!!」
モ・・・グッ?
「もちろんだ」
何を言っているかはわからないが、本当かって言った感じだったから俺は頷いた。
すると。
モ・・・グッ
「そうだ・・・頑張れ!!」
とぼろぼろな体で起き上がりつつ、俺の手を取った。
「テイムスキル・・・発動」
俺はテイムスキルを発動し、まばゆい光が。
「これが・・・」
「・・・光って何も見えないや」
『マジで見えない』
『本当に何が起きているんだ?』
そして・・・光が収まり、2人や視聴者が見た光景は。
モグモグ♪
「今日からよろしくな!!」
優馬の肩に乗っている元気なドリモールとそのドリモールをなでている優馬が見えるのであった。




