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異世界SLEEPER〜睡眠学習で人生に幸あれ〜  作者: kataki
プロローグ 現実とユメと

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第1話 現実からの脱却



子供の頃、特に夢なんてなかった。




というよりちゃんとした夢を持った奴なんてその歳ではそうそういない。




俺は成功者とまではいかないまでも都会に上京してまあまあの会社に入り、実家の親にわずかながらの仕送りをし20半ばで結婚、男女一人づつの子宝を授かり、一戸建ての新居にローンは20年、どこにでもいるそんな当たり前の幸せを手に入れると思っていた。








しかし現実は、中学の時に公立に入るため学のない俺はやりたくもない部活のスポーツ推薦でギリギリ公立に受かるが、もともとやる気のないやつに実力はつくはずもなく、毎回1回戦敗退、顧問からは罵声を浴びせられ毎日死ぬほどキツい練習、教室ではいつも隅で大人しくしていたが暴力教師だった担任に目をつけられ、元々勉強ができないこともあってかそれを理由に暴行を受けた。他の生徒や教師は見て見ぬふりだった。








高校を卒業した俺は大学に行く気にもなれず、親が飲食業を営んでいることもあって県外に料理の修行にいった。




正直俺は地獄の学校生活で根性がつき正直他のことなら楽勝だと思っていた。


 


やりたくない部活や、勉強、あの環境が悪かったのだ。




4カ月でやめた。




そこで俺はわかった。本当にできるやつは自分の未来のために自分にあった選択をするしそれに見合った努力もする。


 担任に目をつけられることもないし仲のいい友達もできる。周りが悪いんじゃない。そう、全ては自分の責任だった。






それからは実家に戻りバイトや派遣で生活をした。内気で暗い性格な俺はどの職場でも馴染めなかった。


 もちろんそんな奴に好いてくれる女などいない。彼女いない=年齢というわけだ。目標も夢もない俺はストレス発散のため全てギャンブルにつぎ込んだ。当然はした金で満足できるはずもなく気付けば多重債務者になった。





俺をここまで育ててくれた親も最近はよそよそしかった。全てがつまらない、そろそろどうでもよくなってきた。








そして、俺31歳現在、最近始めた派遣の仕事中である。深夜ということもあってか静かな職場でひたすらに淡々と単純作業をしている。


 もちろん頭の中では仕事のことなんか考えていない。今期のアニメのことや今月発売されるゲームのこと、帰ったら何食おうかなどとにかく早くこの退屈な時間が終わればいいのにと考えていた。






すると背後から、男が近寄り叫ぶ。






「ねぇ?君!!さっきやったとこどうやってやったの?」






俺は振り返ると、その男を凝視した。




えーと誰だっけ?こいつ…そうそう今日この現場担当の社員だ。俺はそう思い出すと口を開いた。






「ここは、こうやりました」






すると男は目をつり上げ声を荒げた






「私、朝礼でそんなこといったかなぁ、これ全部修正しないといけないからね!ちょっとこれは酷いよ君!!」






ほぼ初対面の相手にふつふつと沸いた怒りをぶつけられる。




俺はとりあえず小さな声で






「す、すみません…」





そういうと男はため息をついて去っていった。




遠くで電話をしている。おそらく俺の件で次の業務に支障がでるんだろう。




俺の他に作業をしている人もいるが恐くて顔を向けられない。あちこちで舌打ちやため息が聞こえる。




正直まだ入社して日が浅いのでわからないがこの感じをみると相当やらかしたらしい。




昔から怒られてきたこともあってか人の表情や空気感は他の人よりも敏感になっていた。






俺は顔を上げることもできず作業をしていると先ほどの男が近寄ってきた。






「あー君今日はもういいから退勤時間だけ書いて上がって…」






俺はくたびれた顔の男を覗き込むように見ると恐る恐る返事をした。






「ゥㇲ…」






俺は皆から逃げるように時間を記入し帰った。





きっと翌日には社内に俺の事が飛び交うのだろう。





この仕事もすぐ辞めることになりそうだ。






帰路の途中俺は今までのことを思い返していた。




家庭が貧しかったわけではない。両親がいなかったわけでもない。重い病気にかかったわけでもない。


 強いトラウマがあった訳でもない。ましてや漫画に出てくる、宇宙人の侵略や、悪の組織による地球侵略があったわけでもない。そう何もなかったのだ。不利なことは…自分で自ら不利にしていっただけでー






「ははっ…クズじゃん俺」






今年最大の寒波の中、そう呟くと白い息はまるで俺から魂を抜き取るように空に溶けていった。





 逃げ帰るように家に帰った俺は両親に気付かれないようコソコソと自分の部屋に逃げ込む。





 暗闇の中スマホで適当にショート動画を垂れ流しながらコンビニで適当に放り込んだ弁当を口に放り入れペットボトルのお茶を流し込む。これの繰り返し…




口に放り込む




流し込む




口に放り込む




流し込む




ぽた 


 


スマホに水滴が落ちる。




周りもみんな結婚し、子供が生まれ幸せな家庭を気付いている頃、俺は1人暗闇の中で泣きながら冷たくなった弁当を喰らう。




「うっ…うっ…ううううう」




来年で三十路を迎える男は顔をくしゃくしゃにし泣いた。俺は唾と涙だらけの弁当を捨てた。




何もする気になれず、床につく。仕事疲れか、ストレスか、泣いたせいなのかはわからなかったがすぐに睡魔が襲った。最近は寝る瞬間が一番幸せを感じる。




もう、このまま目覚めなければいいのにー


 いやどこか違う世界でもう一度チャンスが欲しいー




「せめて…幸せな…夢を…」




男は眠りについた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





チュンチュン




ん、ああもう朝か…


 嫌だなあ、また地獄の一日が始まるのか…


  


今日は昨日のやらかしを担当者に謝ってなんとか次の仕事を紹介してもらおう…そして少しでも失敗しないようにしないと…




…さん  ーーさん




 誰だよ…俺の睡眠の邪魔するのは…




母親かと思ったがもっと若い声の女だ…じゃあ一体誰?




段々と意識が覚醒する




ト…ヤさん   トーヤさん




とうや?それってー




「トーヤさん!!」




「ッッ!!」





その声に瞼が開く。




最初に目に映ったのは、赤髪の女がほぼゼロ距離で視界いっぱいに広がっていた。




「うわっ!!」




「キャッ!!」




ゴツン




額に鈍い痛みが残る。俺は抑えながら、彼女をみる。




「…いったー」




ベッドの上で涙目になりながら頭を擦るツインテールのメイドが衝撃の反動で俺の上で馬乗りになっていた。




「ッッッ!!」




「もう、いきなり起き上がらないで下さいよぉ〜」




ガバッ!!




「ふぇっ!」




俺は可愛い声を漏らすその娘を力強く抱きしめた。




思い出した。全て思い出した。




俺は眠っている時にだけ、この異世界にやってこれることをー


 そして夢が終わると現実に戻され、ここでの記憶は全てなくなることをー




「うっ…うっ…怖かった…怖かったよう」




俺は彼女の服を汚しながら泣きじゃくる。




彼女は優しく微笑んで頭を撫でてくれた。




ーーーーーーーーーーーーーーーー




人物紹介 




夢の中での主人公 トーヤ・クラッジ 10代後半くらい


 成績優秀 運動能力も高い


その才能を見せびらかしたり他人を見下したりもしないので周囲の人望も熱い。


 特に魔法はほとんど無詠唱で放つことができる。完全詠唱で魔法を行使すると更に威力が増すがほとんど使うことがない。


普通に腕っぷしもかなり強い。


現在は2人で露店販売や、軽いクエストを受注して生計を立てている。


 ヒロインを心の底から愛している。





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