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突然ですがあなたは今日から死神ですよ!?  作者: 来栖槙礼
禍津御霊編
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第27話 違和感

 式は桃也から離れ広場の東側に移動していた。他のふたりもそれぞれ桃也たちを中心に八雲が南へ八重が西へ離れていた。


「この辺りでいいのかしら? わざわざ着いてきてあげたのよ? ちゃんと楽しませてくれるのかしら?」


 式に着いてきた女性は退屈そうに式に話しかけた。


「そうだな。何かあってもお互いこの距離なら隊長達に干渉出来ないだろうからな。聞いても意味の無いことだろうけどお前達の目的はなんだ?」


「教えない」


 女性は髪を右手でかきあげながら答える。ゆっくりとその手を腰まで下げると刀身の細い直剣を抜く。さらに左手で短剣を抜き取り、手をだらんと垂らす。


「元から話をする気もないってことか。なら力尽きるまで斬り合うか……」


 式は双剣を前方で交差する様に構え、腰を落とし体勢を低くして構える。


「ふふ……素敵な構えね。そうだ。どちらが勝っても相手の名前ぐらい知っておかないとね? 私は閻羅(えんら)。地獄の神様から拝借した名前よ。あなたは?」


「……御影 式(みかげ しき)


 式は剣を握る手に力を込めた。そして閻羅を目掛け飛び出す。前方に突き出した双剣で閻羅の首元を狙う。閻羅はこれを後方に宙返りしながら躱す。着地したその足で地を蹴り式へと襲いかかる。身体を左に捻り剣を隠しながら近づき右手に握った刀を左下から右上へと斜めに振り抜いた。式はその斬撃を左手の剣で弾くが体制を崩しよろめいた。すかさず閻羅の左手の短剣が真っ直ぐに式に向かって差し出される。交わしきれずに式の右肩を掠める。式の肩に血がにじみ出た。


「仕留められないか……そうよね。そうじゃないとつまらないわ。あのまま終わりなら私の役目がなくなってしまうもの」


 式が攻撃を凌いだのを見て満足そうに微笑む閻羅。式は肩の傷を気にする様子もなく再び双剣を構える。


「つまらないとかそんな話はいいよ。そもそも早く終わらせたいんだけどな」


 笑っていた閻羅がピタリと止まり、表情が消えた。


「そう。早く終わらせたいの? それじゃ本気で行くわね」


 閻羅は両の手に持った二本の剣を鞘に納めた。足を肩より少し開き腰を落とす。右肩を前に出し半身になると右手の手元は完全に式の視界から消えた。鞘も同じく見えないため間合いも測りずらい構えだ。


「居合いか。確かに一撃で仕留めるには最速かもな。そんなに自信があるのか。俺も次の一撃に全てをかける!!」


 式は閻羅の構えを見て言葉通り次の一手に全てを乗せる覚悟だ。閻羅は先程までの饒舌な言葉はなく。周囲の空間と一体となるように神経を研ぎ澄ましている。式を射貫くような鋭い視線は決してブレない。


 互いに無言の時間が過ぎる。それは決して長い時間ではないが相手の先を、その先さらに先の先々を攻めようと僅かな動きも逃さぬ様に相手を見ている。


 閻羅が踏み込むべく左足に体重を僅かに移動させた刹那、式は地を蹴り閻羅の間合いに飛び込んだ。――かかった!! 閻羅のその仕草は仕込みであった。飛びかかる式の動きに合わせ抜刀に入り鞘に刃を走らせる。式もそれは想定内だった様だ。すぐ様、踏み込んでいる右足をめがけて左に持った剣を投げつけた。閻羅はこれを難なく交わし深く、式へと踏み込み剣を最短の軌道で走らせた。刃はもう式に届いている。勝利を確信し閻羅は刀をふり抜いた。だが、そこに式はいなかった。あまりの事に閻羅は驚き、一瞬ではあったが思考が止まった。同時に背中に激しい痛みと燃えるような熱さを感じた。


「こ、これはっ!? なんで……」


 閻羅の背中には式の剣が刺さり腹の方まで貫通していた。閻羅は吐血し血を撒き散らしながら倒れる。剣を引き抜き式は閻羅の横に立つ。


「最後のは俺の奥の手……ま、うちの部隊は先行調査。隠密が基本なんでね。この手の仕掛けはお手の物なんだよ」


 そう言う式の手にはワイヤーが有りその先には剣がぶら下がっていた。


「仕込みワイヤー……か……がっ!! っはぁはぁ……そんなの……読めなか……」


 閻羅は悔しそうに式に向かい話しかける。だが表情には怨むような鬼気迫る様子は無い。


「閻羅。この勝負次は無い。悪いが俺はこのまま隊長の所へ行く」


 式の言葉に閻羅は言葉で返さず目を閉じて沈黙で答えた。式はそれを見ると振り返り広場の中央へ向かおうとした。その時、式のズボンの裾を閻羅が掴む。


「閻羅!! まだっ……」


 式は言葉を途中で止めた。閻羅を見ると何か言っている様だった。声は聞こえないがその唇の動きから二つ式に伝えていることがわかった。


 ――温羅様を止めてあげて


 そしてもうひとつは……式は閻羅に永く醒めない夢を与えた。そして、広場の中央へと向かって行った。



 ――広場の南側


 八雲は不満そうに敵を見つめながら腕を組み仁王立ちしている。その敵は名を岩鬼(がんき)と言って十字槍の使い手である。


「ちょっとあんた。やる気あるの!? さっきからずっと私の方を見ないで!」


 現在地まで岩鬼を誘導したもののそこからは勝負と言った感じではなく岩鬼は周囲の建物などを観察しているのである。


「俺の役目は時間稼ぎに過ぎない。わざわざお前とやり合う必要は無い」


 つまり、私に興味が無いと? そう解釈した八雲は更に苛立ちを募らせていった。


「時間稼ぎ……温羅がウチの隊長にやられるまでのかしら?」


 岩鬼はやっと八雲の方を向いて言葉をかけた。


「それは違うな。この場にいる者であるなら温羅様に勝つ事は出来ない。絶対にだ」


 さらにこう続けた。


「温羅様はただ一族の不当なる扱いを正すため禍津御霊に協力しているのだ。何も知らぬ天津国の……お前のような奴らが真実を受け入れるならば争い以外の道もあるだろう」


 この男は何を言っているのか……八雲は言っていることの意味が理解できず首を捻る。


「なんの話? 温羅に誰も勝てないって言うのも納得出来ないし、あんたの言い方だと温羅のやってる事が正しいって聞こえるんだけど?」


 痺れを切らしている八雲は槍をブンブン回しながらヤル気満々なのをアピールし始めている。


「なら、あんたを倒して温羅もあたしが倒そうか?」


 八雲は挑発的な言葉で岩鬼を誘う。かかってこいと言わんばかりに安い挑発で。


「やめた方がいい。お前は俺にも勝てないし温羅様には対峙するだけで何も出来ない」


 挑発したつもりが八雲は岩鬼の言葉に突っかかってしまう。


「あーーっ!もう、あったまキタ!! やぁぁってやろうじゃん!!」


 八雲は構えるより先に岩鬼へと突っ込んでいった。その速さは岩鬼の予想をはるかに超えていた。十字槍で受けようにも間に合わなかった。刃は避けたものの柄で頬を強打された。


「……おまえは強いな。それでも俺には……」


 無言で八雲は次の攻撃を仕掛ける。それを受ける岩鬼。そこからは八雲の怒涛の攻撃が始まった。高速の突きを繰り出したかと思えば間合いを詰め柄を使い薙ぎ払うなど槍を自在に操り八雲は岩鬼を攻める。その攻撃は徐々に速度をあげていく。


「これ程とは……それでも!!」


 あまりの速度に岩鬼も対応しきれなくなり八雲の槍を力一杯に打ち払い距離をとった。


「八雲と言ったか。お前に真実を話そう。その結果、このまま俺との決着を着けるなら応じよう。だが、もし別の道を考えるならその時は……」


 八雲は岩鬼の言葉と苦悩する様な表情に違和感を感じた。こいつらはなんのために天津国を攻めるのか。復讐の為と聞いているがそれにしては目の前の岩鬼の言葉はそれを感じない。


「どんな真実か知らないけど、それを聞いたらあんた達の目的も分かる?」


 岩鬼は黙って頷く。


「わかった。話を聞くよ。その代わり隊長の方は時間が無い。考えが変わらなければ速攻で決着を着けるから!」


 そして、岩鬼は八雲に鬼の一族の話を語り始めた。


 ――続く

最近、疲れて仕事から帰ると寝てしまう……

書くスピード上げなきゃ。゜(゜´Д`゜)゜。

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