表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然ですがあなたは今日から死神ですよ!?  作者: 来栖槙礼
禍津御霊編
23/34

第23話 決戦の前

 黄泉国では神庭宮中で一大決戦を前に関係各所が慌しく動いていた。その影響からエントランスホールは多くの官職と義勇兵で溢れていた。この義勇兵は天津国など各所から前線への対策としてイザナギの呼びかけに応じ集まってくれた神徒であった。その人数は百人程度だが皆手練のようで自身に満ち溢れている。各々の雰囲気は様々で殺伐とした者もいれば気さくに周りに話しかける者もいるが、いずれにしても曲者揃いである。


「あのっ! 義勇兵の皆さんはこちらから名簿登録を行って下さい! あぁっ! 三列に並んで署名をお願いします! つ、机を押さないでください! 」


 受付には女性職員が四人いる。三人はそれぞれ名簿への署名を担当し、一人は列の整理を担当している。


 署名を終わらせた大柄の神徒が整理をしている女性に話しかける。


「姉ちゃん。この後はどうするんだ? 部隊を編成するんだろ?」


「そうですね! 署名が終わった方は西の訓練所に向かって下さい。そこで今回の班わけなど説明があります。総隊長である死神隊第三部隊隊長のクロさんから説明します!」


 分かったと言って大柄の神徒は訓練所へと向かっていった。


「はぁ~。こんな怖そうな人達の誘導とかもういや~」


 愚痴を言いながら女性は列の整理に戻る。


「お? 相変わらず泣きそうな顔してるじゃん!」


 声をかけられ振り向く女性は声を掛けてきた男を確認するとさらに肩を落とした。


「声をかけてくれるのは倫也だけだとか…….不幸だわ」


「嫌そうだな。次からスルーでいいんだな? ミサキ」


 ミサキは涙目になりながら首を横に振る。ミサキはこの神庭宮の事務員として働いているがほぼクレーム処理係の様な仕事が多い。そのため倫也の様な直接関わりのない神徒が話しかける事の方が落ち着くのだ。


「スルーの方が嫌なんだな。よっぽどだな」


「それはそうよ! いつもクレームか武官の脳筋みたいな人達しか仕事中は話しかけてこないもん

 ! あ、ところでこんな所にいていいの?訓練所に集合何でしょ?」


 確かこのあとは部隊編成についての集会があるはずなのにとミサキは不思議に思った。


「イザナミ様とクロが天津国から戻るのを待ってんだよ」


「まだついてなかったんだ。そっか」


「それより、あれ。列が崩れてない?」


 ミサキが後ろを振り向くと受付の列が崩れ人集りになっていた。


「あぁーーーっ!! 倫也、またね! やっばァ!!」


 ミサキは振り向いて受付へと走っていった。


「あいつ、なんかいつも慌ててんなぁ」


 走っていくミサキを見ながら倫也は独り言をいうと神庭宮の裏の東屋へ向かっていった。

 東屋に着くと倫也は中に入り、イザナミの御神体である勾玉の前に行く。


「クロ。聞こえるか? そろそろつく頃かと思って東屋に来てるんだけど」


「倫也~? もう着くよぉ~。誰か他にいるのぉ?」


「いないよ。遅いなと思って様子見に来たんだ。訓練所でクロをみんなまってんぞ?」


 クロとそんな会話をしていると倫也の目の前の勾玉が光だし部屋を包む。光が収まるとクロ、イザナミと倫也の知らない女の子が現れた。


「遅くなってごめんなさいね。倫也。あとで話すけど色々あったの。まずはクロを訓練所まで連れて行ってすぐに義勇兵の部隊割付を終わらせてね」


「色々ですか? あまりいい話じゃなさそうですね」


 倫也は少し顔をしかめる。


「うん。倫也、また移動しながら俺から話すよぉ。まずは急いで訓練所に行こう~!」


 クロはそう言うと倫也を急かして東屋を出た。

 クロがその場を去った直後に一人の女性が同じく勾玉の光から現れた。


「クゥ~ロォォォォォ……」


 アメノウズメだ。天津国からクロをおってきたらしい。


「ウズメ。そのくらいにしない? 天照から離れてももを探すのを手伝ってくれるのは嬉しいけど演技はそのへんでいいんじゃない? ここは黄泉国よ?」


 ウズメはイザナミの言葉を聞くと振り返り苦笑いをする。


「バレてました?」


 ウズメはまいったなと頭をかく。


「暴走したように見せて単独で天津国を出るつもりだったでしょ?」


「そうですね。もも自身も心配ですけど、瀬織津姫の話がどうしても気になりまして。呪ではありませんが私も演舞で魅了する事により誘導は出来ます。万が一、そのような事があるなら私の力が助けになればと」


「ウズメさん、そんなことが出来たのですか!? 」


 瀬織津姫はびっくりして聞き返す。ウズメの舞いは直接的な攻撃性はないがその舞いにより仲間を鼓舞したり、安らぎを与えるなど普段はサポートの役割だ。演舞を行う際にウズメの体現しようとする心情によりその効果は変わる。その為、相手を誘導したりとか精神操作の様な事も出来るのだ。


「神通力では無いから強制するようなものじゃないけどね」


「ウズメ、あなたの気持ちは嬉しいけど天照の補佐官である立場も考えてね? 天照には後で連絡しなさい?」


 イザナミはそう言うと瀬織津姫を連れ立ってクロの後を追い、訓練所へと向かっていった。



 ――黄泉国 西区 訓練所――


「ももちゃんが消えた!?」


 倫也はクロの話を聞いて歩みを止めた。消えたとはどういう事なのか検討がつかないと言った様子だ。


「そうなんだよねぇ。さっきイザナミ様の横にいたのが、やそ様の娘の瀬織津姫。その彼女が世話をしていたんだけどねぇ~。どうも部屋を少しの間空けたスキにいなくなったみたいだねぇ~」


「『だねぇ~』じゃねぇって! 藍にも伝えないと。秋津も心配してくれてたしな」


 程なくして訓練所に二人は到着した。中では多くの神庭宮の職員が簡易的なステージを設置している。その傍らに黒の軍服を纏っているのが数人集まっていた。そこに倫也達は近づき話に加わる


「お疲れ様です! 藍、秋津! えーとこちらの人達は?」


 倫也は藍と秋津の二人は分かったが残りの二人、男性一人と女性一人は初対面であった。


「倫也君! この人が前にお話した二番隊の隊長さんで空井織姫(そらいおりひめ)さんだよ」


「二番隊隊長の空井織姫だ! はじめまして、よろしく! 君が倫也君ね……ふーん。そこそこね……」


「は、はじめまして。都築倫也です。空井隊長!

 よろしくお願いします」


 そこそこってなんだよ! 言葉には出さないでいたが倫也は何のことだか分からず少しだけイラッとした。


「倫也、隊長の出迎えお疲れ様。こちらの人は一番隊の隊長で吉備津桃也(きびつとうや)隊長だ。」


「吉備津!? まさか!!」


「はじめましてだな倫也。察しの通り桃華の兄だ。妹の事で心配をかけて申し訳ない。秋津君が浄化出来るかもしれないようだね。」


 桃也は倫也と握手をしながら優しく話しかけてきた。とても暖かで大きな手だ。ももが穏やかで居るのはこの兄があってこそなのだろう。


「桃也も織姫もお疲れ様ですぅ~。いやぁ~待ったぁ?」


 クロは遅れて挨拶をした。クロがいる事で倫也が先程の話を思い出す。


「クロ! さっきの……」


 倫也が言いかけたところでクロは話を遮り話す。


「桃也。報告しなければならない事があるよぉ。桃華が行方不明になったんだぁ~。それも唐突にねぇ~」


「桃華がいなくなった……」


 桃也はしばらく黙って考えた後クロを見て口を開く。


「クロ、桃華が消えた事は呪と関係があるんだな? ならばしばらく泳がすのがいいだろう。その上で必要とあれば戦うしかないな

 桃華の力も敵に回れば厄介だ」


「ちょっと! 桃也! 妹が……っ!!」


 織姫が食ってかかるのをクロが止める。


「クロ。みんな。今からはただの吉備津桃也として頼みだ。どうか、妹を助けてくれないか? たった1人の妹なんだ……頼む!!」


 歯を食いしばり苦しそうに桃也は言葉を絞り出す。全員、無言で頷いた。もちろん誰一人としてももを見捨てるような者はいない。


「そうだ! 吉備津隊長。温羅(うら)と言う神徒に心当たりはありませんか!?」


 倫也が思い出したように尋ねた。


「温羅? あぁ、知っているよ。家の家系の宿敵だからね。だけど、温羅は初代の吉備津彦が倒して以来封印されているはずだけど」


「この前、温羅と名乗る神徒と戦闘になりました。どうやら禍津御霊の一員の様でした。吉備津がいたら良かったってそういうことか!! 」


 倫也は温羅が少なくとも吉備津への復讐心も持っている事を理解した。


「温羅と言ったのか!? 本当に!? なら、桃華はまさか……」


 桃也は胸騒ぎがしている。少しずつ分かってきた禍津御霊に全員一抹の不安を抱えていた。


 周囲を見渡せば義勇軍となる神徒も集まっている。


「さぁ、みんなそろそろ行こうかぁ~?」


 クロの声に応え皆、集会の場所へと向かっていった。



――続く

これからどの位、禍津御霊編が続くのか……(꒪꒳꒪ )


さて、それではあと数話で開戦になります(`・ω・´)キリッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ