突然ですがあなたは今日から死神ですよ!?
今回はかたーいお話かな?
つまらなかったらごめんなさい|゜Д゜)))
「いやぁ~。圧巻ですよぉ~。こんなメンツが集まるなんて天地開闢から今までなかなかないんじゃないですぅ~?」
「クロ! 少しは落ち着きなさい。 他の神々もいらっしゃるのですよ?」
禍津御霊の出現とその動向について天津国としての対応を話し合うべく、様々なな神がイザナギの神庭宮に集まっていた。イザナギの神庭宮にはこうした会合を行うための応接間が有り広い座敷になっている。今回、緊急の会合に駆けつけた神はイザナミを始め、須佐之男命、櫛名田比売、天照大御神、月読命、高御産巣日神、天之御中主神、神皇産霊神が列席している。
「でも、本当にこんな事って無かったと思いますよ? イザナミ様、過去の文献にもこんな会合はありませんよ?」
イザナミの隣でアマテラスが息を飲み全体を見渡す。
「そうね。スサノオも元気そうで何よりだしね! こうして、久しぶりにいろんな方と会うけど慣れないわねぇ~。」
それぞれが会話をしてしばらく過ごしていた。今の禍津御霊についてや、『穢れ』の対象になった神徒の事など内容は様々だ。そんな会話が飛び交うのを切り裂くように勢いよく、入り口の扉が開く。
「お待たせ致しました。皆様。伊邪那岐命様のご到着です。」
丁寧な所作で八十禍津日神が部屋へと入ってきた。そのあとを豪華な狩衣を纏ったイザナギが入ってくる。
「急な会合に集まってくれたこと、感謝する。黄泉国より、最近のマガモノの発生についての報告が上がっている。皆も知っての通り禍津御霊と言う連中が我ら天津国へと侵攻をしているようだ。なお、目的は未だ掴めずにいる。これについて皆の見解を聞きたい」
上座につくとイザナギは座ることなく皆を労い、要件を伝える。
「イザナギ様。私より黄泉国の死神隊による報告と現在までの経緯を説明致します」
イザナミはこの件について部隊の報告書を元に情報を伝える。ここ半年以内の異常な数のマガモノ発生の件と先日の日本全土のマガモノの襲撃と禍津御霊の事で現在把握していることを伝える。
「八十禍津日神。荒神と荒魂は過去すべて消えたのではないのか?」
天之御中主神は八十禍津日神に問いかける。
「全てではない。それは既に調査に入っておる」
禍津御霊の正体は先代の神々の荒神とされている。
「少し良いでしょうか?」
短いボブカットの黒髪に吸い込まれそうになる綺麗な黒い瞳に黒い着物を着た色白の艶やかな女性が手を挙げ、話し始めた。
「月読です。皆さんお久しぶりです。私の夜見の国での話になりますが過去にかぐや姫なる神徒を月に封神したのをご存知でしょうか? この者が月に一族を設け、白兎と名乗っているのですが、数年前に内乱で自滅したようです」
ツクヨミの発言にこの事態となんの繋がりがあるのかとざわつき始める。
「ツクヨミ。それがどうかしたのか?月の話はまたにして貰いたいのだが? 何よりお前の夜見の力は『穢れ』を抑えるようにできないのか?」
八十禍津日神は議題の進行と逸れないようにとツクヨミの話に割って入る。
「やそ様。それが関係なくもないのです。その白兎滅亡の折に地球へと当代の姫が地上に降りた様で、それも今回の事に便乗してくるのではと懸念があります。それと、夜見の力ですが『穢れ』に対して安らぎを与え行動を遅らせることなら可能です」
「白兎の一族か……白兎と聞くと因幡の奴がいたな。日本武尊が救った奴がな。初代様の頃の話か…昔によく聞いたものだ」
スサノオが懐かしむように一人頷く。
「スサノオ様、今はそのような時ではないですよ?」
クシナダが横から窘める。クシナダも周りを見て話をふる。
「すいません。クシナダです。根之国で独自に人間界を調査していたのですが天羽々斬以外の十拳の剣が数本、御神体として祀られていたものが行方不明になっています。それと同時に人間界と縁の強い神徒、神の行方も分からなくなっているようです」
立て続けにツクヨミとクシナダからの報告が上がる。
「ツクヨミ、クシナダ。調査と報告、大儀である。他に報告はないか?」
イザナギは両名の報告に感謝を述べる。
「アマテラスです。先程から日本全土の大小数々の神域、社からマガモノの気配が感知されました。これには黄泉国の死神隊と各神区の官職で現地へと赴き対処にあたっております。これは現在進行形の話です。問題はマガモノが厄災とならず鳥居を狙い、特に大きな被害が出ていないことです」
マガモノが厄災とならず消滅するなど今までにはないことであった。この事態に造化の三神、天之御中主神、高御産巣日神、神皇産霊神は別の狙いがあるのではと思い悩む。
「その件に関してはタカとカミ、それと私、天之御中主神で直ぐに神域の調査に向かいましょう。いいですね? イザナギ」
「承知いたしました。御三方にお任せ致します」
イザナギがそう言うと早速、造化の三神は席を立ち部屋を出ていった。
「さて、今上がった報告で当面は禍津御霊そのものへの対処を考えなくてはならない。それについてはイザナギ様より、イザナミへ一任するとの事だが、イザナミ。良いだろうか?」
イザナミはイザナギを一瞥すると頭を下げる。
「謹んでお受け致します。ここにいるクロをはじめとする第三部隊を中心に死神隊と守護柱全十三名で禍津御霊への抑止、及び壊滅を遂行致します」
「イザナミ。もう先代たちのわだかまりは気にするな。私たちは元は共に研鑽しあった同士ではないか。私がイザナギを継いだと同じように貴方もまた、他の神々も誰一人として原初のままではないのだ」
イザナギは少し悲しそうにイザナミや他の神々に訴えた。今こそ互いに信頼し合うべき時だとイザナギは皆に語りかける。誰もがその胸に抱くが今まで声に出した者はいなかった。当代のイザナギはそれをはじめて声に出し皆に同意を求めた。
「その通りですな。皆、思う事はあるだろうが今、天津国はひとつになり、禍津御霊に対抗せねばならん。ゆめゆめ、目的を見失わぬようにな?」
八十禍津日神は安堵の表情を浮かべながら全体を見渡した。
程なくしてその他の荒神の調査は根之国に、かぐや姫など遺恨のある神徒については夜見の国にそれぞれ役割が振り分けられ、会合は終わった。
会合のさなか一言も発しなかったクロは終わってからもまだ黙ったままだ。
「珍しい事もありますね。クロがずっと静かだと気味が悪いです」
その様子を見ていた天宇受賣が不思議そうにクロを見る。
「ウズメちゃん、相変わらずハッキリ言うよねぇ~。俺だって考え事ぐらいするよぉ~?」
明日は雨かとウズメはまだクロに嘯く。
二人は会合の後、八十禍津日神にイザナミとアマテラスが呼び出されたのでそれを待つ間、神庭宮の前で待機している。
「ウズメちゃん、その後ももちゃんの具合はどんな様子?」
「回復は順調だよ。体調はね。やっぱり呪のせいか記憶障害や能力障害はあるけどね」
ウズメの回答にクロはしたをむく。やはり、秋津は連れてくるべきだったか悩んでいる。この後、ももと瀬織津姫の所に寄ってから帰る予定だが、クロはそれも辞めていち早く秋津を鍛える事を考えていた。それほどクロは責任を感じているのである。
「たいへーん!大変だよぉぉ~! どうしよう~!!」
泣きながらこちらへ走ってくる女の子がいる。クロもウズメもその声の方を見る。ミニの浴衣に薄ピンクの羽衣を羽織り、白のニーハイを履いた女の子だ。髪は頭の上でお団子にしてあり、幼い印象の顔をしている。
「お嬢ちゃんどうしたの? 何が大変なの?」
クロは女の子に尋ねる。
「私、瀬織津姫って言うんだけど、ここにお父さ……八十禍津日神様がいませんか!? 緊急事態なの!?」
そう言って瀬織津姫は息を切らせて走ってきたので膝に手を置き俯いていた。息を整えて顔を上げてクロを見ると瀬織津姫は大きな声で叫ぶ。
「あーーっ! 黒の軍服!? 黄泉国の人!?」
頷くクロ。すると目の前で瀬織津姫はしゃがみ込み大声で泣き出した。
「ちょっと! どうしたの!? いきなり泣き始めて……クロ、この子になんかしたの!?」
ウズメがジトっと睨む。謂れのない誤解にクロは顔を横に振り、否定する。
「違うの! ごめんなさい! いつの間にかももちゃんがいなくなっちゃったのぉ~~~!!」
『いなくなったァ!?』
――続く
第20話に到達しました!(*´ω`*)
一人でも読んでいただけるのなら、嬉しいです(´•ω•̥`)
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最近PV伸び悩みで弱気
 




