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人間やめても君が好き  作者: 迷子
六章 亡国の覇王
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──どうして僕だけこんな騎士が二人も!?


「あ、貴方達は……」


 突然襲い掛かってきた骸骨の騎士二人に、ネコタは問いかける。

 それを聞き、大柄な騎士ヴェイドは驚いたような仕草を見せる。


「なんとっ! 我らを知らぬか! ぬぅ、これでも知らぬ者が居ない有名な騎士だったのだが……」


「自分の姿を忘れたのか? こんな姿では分かるものも分かるまい」


「おおっ! そうであったな! よろしい、では教えてやろう!」


 ドンッと胸を叩き、ヴェイドは言う。


「我こそは、覇王に仕えし騎士!“太陽の騎士”、ヴェイドである!」

「同じく、“静寂の騎士”スロウ。貴様を殺す者だ」


 スラリと剣を抜き、スロウはネコタに向かって突き付ける。

 明確な敵意にネコタはごくりと唾を飲み、思わず一歩下がった。

 それにヴェイドは満足そうに笑う。


「フフフフッ! 驚いて声も出ぬか。それも仕方なきこと。我らを前に驚くなという方が無理なものよ」


「いや、あの、ごめんなさい。貴方達のことは知りません」


「なんと! 我らの名を聞いて知らぬと!? 無知にも程があろう! お主、今までどう生きてきたのだ!?」


「仕方あるまい。あれから数百年も経っているのだ。一騎士のことなど忘れ去られても不思議ではなかろうよ」


「ぬぬぬっ! と、時の流れは残酷であるな……」


 骸骨で怖くはあるが、なんとも人間らしい。

 ズンッ、と落ち込んだ様子のヴェイドに、ネコタはなんだか力が抜けてきた。


「その異様な姿に、覇王に仕えた……貴方達はマリンさんの仲間ですか?」


「うむ! その通りである! 王の復活を阻もうとする貴様らを排除するため、マリンによって冥府より蘇らせられた!」


「な、なるほど。となると、他の人の所にも貴方の仲間が行っているんですか?」


「うむ! といっても、蘇ったのは我ら四人のみ! それぞれが単独で獲物を追っている筈だ! 

 我とスロウはたまたま行く方向が同じだった故に、こうしてお主と出会ってしまった。二対一とは卑怯と思わなくもないが、運が悪かったな少年! これも戦場の習いである!」


 気質なのだろうか。随分と口の軽い人だとネコタは思う。

 同じことを思ったのか、スロウはカチリと歯を鳴らした。


「喋りすぎだ。無駄に情報を与えてどうする」

「むむっ! むっ、しまったな! 情報を抜き取られたか! やるな、少年!」

「貴様がバカなだけだ」


 呆れつつ、ヒュンと剣を振るい、スロウはネコタとの距離を静かに詰める。


「まだ若い身で死ぬのは不憫に思うが、これも弱肉強食。せめて王国最強の騎士の力を目に焼き付け、冥府への土産にするといい」


 殺意に応じ、スロウの身に禍々しい雰囲気に包まれる。

 その言葉に相応しい脅威を感じ、ネコタは聖剣を構える。


 今まさに死闘が始まると誰もが予感した時、ボゴンッ、と間抜けながらも痛そうな音が響いた。


 堂々とスロウに近づいたヴェイドが、豪快に腕を振りかぶり、その頭をぶん殴っていた。

 ピシッ、と。スロウの頭から不吉な音が響いた。


「き、貴様何をする!? あ、頭にヒビ! ヒビが!? 一体どういうつもりだ!?」

「下らぬ嘘を吐くからである」


「はぁ!? 一体何の!?」

「最強の騎士は我! お主は二番目! 見栄を張るのもいい加減にするのである! 見苦しい!」


 ビシリッ、と指を突き付け、ヴェイドは言い放った。

 スロウは黙り、じっとヴェイドを見つめる。

 そして二人の罵り合いが始まった。


「何が最強だ! 貴様は私に勝ったことがなかろうが!」

「仲間と本気で戦う訳にはいかぬからである! 本気なら我が勝っている!」


「ほれ見ろ! やっぱり私に勝てないと認めているではないか! 本気じゃなかったとか一番見苦しい言い訳だぞ!」

「試合形式で勝てるからといって勝ち誇る方が、よっぽど恥ずかしいのである! 殺し合いなら結果が変わってくるのは当たり前であろうが!」


 敵を前にして、ボコスカと殴り合いながら喧嘩を始める騎士二人。

 そんな光景を見ながら、ネコタはズルリと肩を落とした。


 もしかしたら、大したことのない相手なのかもしれない。

 あまりに呑気な姿から、ネコタの心に緩みが生じる。


「ええいっ! ならば、あの少年を先に仕留めたほうが最強! 文句はないな!?」

「いいだろう! どっちが上かはっきりさせてやるのである!」


「いや、そんなことで僕を利用しな──」


 だが、その緩みはあまりにも油断がすぎた。

 その心の隙を突くかのように、スロウが静かにネコタの眼前へ接近していた。


「────ッ!」

 

 反射的に剣を構えた瞬間、強い衝撃が伝わり、ネコタの身体がのけぞる。その力強さにも驚いたが、ネコタはそれ以上の脅威をその一振りに感じた。


(見えなかった……!)


 防げたのは偶然だ。咄嗟に剣を構えたところを、たまたま相手が狙ってくれただけ。

 油断もあったとはいえ、それは要因の一つでしかない。今までに見たことがないほど速く、それでいながら静かな一振りだった。


「くっ!」

「────」


 ネコタは距離を取ろうとする。が、スロウは無言で更なる追撃を重ねた。


 最初の一撃でそのヤバさを理解したネコタは、今度は油断なくスロウに集中する。

 が、注意深く観察したからこそ、驚いた。

 

 ──ヒュルン、ヒュル、ヒュルン。


 確かに捉えた剣の軌道が、滑ったように見えた。


「──ッ!!」


 上段かと思えば下段。胴体かと思いきや首。剣の打ち合いかと思いきや、直角に軌道を変え手首を落としに。足を払いに来たと思えば、跳ねあがってまた首。


 物理法則を捻じ曲げているような、まさしく変幻自在の剣。しかも、それらの繋ぎに一切の淀みはなく、流れるように次の技に繋がっている。


 そして、これだけ激しく動いているにも関わらず、どこまでもこの騎士は静かだった。


 変幻自在の剣だけでも厄介だというのに、この静けさのせいで、ほんの少しでも気を抜けば軌道を見失うと確信する。


 まるで静かな湖を連想させる剣、その佇まい。

“静寂の騎士”という言葉の意味を、ネコタは身を持って体感した。


「ッッ! ──あああああっ!!」


 このままではまずい。そう直感したネコタは、強引に剣を打ち合わせ強く弾き飛ばす。


 遠ざかるスロウにほっと息を吐いた瞬間。

 この絶好の機を、ヴェイドは狙っていた。


「──カァアアアアアアアアアア!!」

「グッ……!?」


 スロウとはまるで逆。

 気配を隠そうともせず、ヴェイドは雄たけびを上げネコタに斬りかかる。


 スロウほどの速度はない。その分、余裕を持ってネコタは受けの態勢に入った。

 それにも拘わらず、ネコタはまた驚かされた。

 

 ガキィィイン、と。剣と剣が打ち合い、凄まじい音が発する。


 剣を立て横凪ぎの一撃を防ぐが、剣越しの衝撃で、ガードの上からダメージを与えられる。

 そして、ネコタはそのまま吹き飛ばされ、何度も地に打ち付けられた。


「ぐっ! はっ、あっ……!」


 ──なんてデタラメな……!


 理不尽としか思えないほどの力。


 聖剣という【神造兵器】だからこそかろうじて防げたが、通常の造りの剣であれば、たとえ名剣と呼ばれる逸品であろうと剣ごと体を両断されていたかもしれない。


 いや、確実にそれを目的とした剣術なのだろう。ガードされようとも殺せればそれでいいという、剣術と言うにはあまりにも野蛮な力技。


 スロウの流麗にして静寂な、突き詰めた技量の剣。

 ヴェイドの豪快かつ簡潔な、突き抜けた剛力の剣。


 真逆の、タイプが違う二つの剣の到達点。

 互いに最強の騎士と自称するに恥じない実力だと、ネコタは感じた。


 剣の二つの理想を目にし驚くネコタに、ほうっとスロウは感心するような声を上げる。


「かろうじてとはいえ私の剣に追いつき、なおかつヴェイドの一撃さえ凌ぐか。これほど上手く対応してきた敵は、我らの時代にも居なかったぞ」


「その通りである! 二度も我の不意打ちを防ぐとは! 少年、歴史は学んでおらぬようだが、ただの少年ではないな!?」


「こ、これでも【勇者】ですから。そう簡単にはやられませんよ」

「【勇者】! なんと、少年が【勇者】であったか! これは運が良い!」


 驚いたように頭を揺らすと、ヴェイドはカカカと笑い始めた。


「我も騎士の端くれ! 幼い頃は自分こそが【勇者】と棒切れを振り回したものよ! その【勇者】と剣を合わせることが出来るとは、光栄である! 

 子供が相手では物足りぬと思っていたが、【勇者】であるなら話は別! 我も全力でいかせてもらおう!」


「いや、出来れば手加減してくれた方が──」


「時に少年! なぜ我が“太陽の騎士”と呼ばれたのか、分かるか!?」


 ネコタの懇願をばっさり切り捨て、ヴェイドは続けた。


「我は畏れ多くも“太陽と砂の神ラー”より目をかけられ、祝福を頂いた身! よって、かつてのこの身には、日の下で戦う時に限り身体能力を上げ続けるという加護があった! 

 日の光を浴びれば浴びるほど、我は強くなる! ゆえに“太陽の騎士”!」


 神からの加護を受けた、【聖獣】と同列の人。すなわち【聖人】。

 それならば強いはずだと、ネコタは納得した。


 だいたい、加護の条件が反則過ぎる。条件が緩く、無限に強くなり続ける怪物などどうやって勝てというのだ。

 あまりの反則具合に、ネコタは舌打ちしたい気持ちになった。


「だが、アンデッドの身になり、その祝福は大きく変わってしまったようだ! 我が神には申し訳なく思うが、強大な力には違いない! よって、遠慮なく使わせてもらおう!」


 ヴェイドは剣を眼前に掲げ、唱えた。


「【太陽の祝印】、反転──【亡者の呪印】!」


 その言葉と共に、ネコタの身体に異変が起きる。

 黒い靄が体を包み、吸い取られるようにして力が抜けていくのを感じる。気を抜けば、そのまま膝を着いてしまいそうな脱力感がネコタを襲う。


 いや、実際吸い取られているのだろう。


 うっすらとした光が、ネコタからヴェイドに伸び、淡くヴェイドの身体が光っているのをネコタは見た。


 直感的に、ネコタはこの効果を見抜く。


「僕の体力を奪って……自分の物にしているんですか?」


「うむ、その通り! 慧眼である! 我に与えられしかつての加護は、己の強化のみだった! だが、アンデッドの身になり、それが反転したようだ!

 己の超強化ではなく、敵の弱体化! そしてその力の吸収による強化! いわゆる【生命吸収(ライフドレイン)】というやつである!

 我の好むところではないが、まさしくアンデッドらしい能力であるな! まぁ、かつての加護に比べれば強化率は低めのようだがな!」


 この騎士が言うなら、その言葉は事実なのかもしれない。

 だが、厄介さはこっちの方が上だろうとネコタは思った。

 体が重くなり、動きが鈍くなる。なのに、相手はどんどん強くなる。


 相対的に、敵が強くなるのと何ら変わらない。思い通りに動けなくなる分、こっちの方がいやらしい能力だ。


(ただでさえ素の実力があるのに、こんな厄介な能力を使ってくるなんて!)


 それに、同程度の実力の持ち主が、もう一人いる。

 そっちの方まで、こんな能力を持っていたら……。


 その不安が行動に現れ、ネコタは思わずスロウの方へ目をやった。

 視線からネコタの不安を見抜き、フッとスロウは笑う。


「安心しろ。私にそこの騎士のような小癪な能力はない。ただ他の騎士に比べ、信仰を使った強化率が高いだけだ。つまり、少しばかり身体能力が上がる程度にすぎん」


 単純な肉体強化。それはそれで強力であるが、ヴェイドと違い戦いづらくなるような厄介さはない。


 それならば、とネコタが僅かな希望を抱きかけたところで、それに水を差すようにヴェイドが言った。


「騙されるでないぞ少年! そ奴は生前、【騎士】としては常人程度の身体能力しかなかった! にも関わらず、この我と並ぶ二大騎士として扱われた! 

 我が身に与えられた祝福を指し、人は我を理不尽だのなんだの好き放題言ってくれたが、我に言わせれば理不尽なのはそこの男である!

 常識外の剣の技量のみで、その男は騎士の頂点に上りつめたのだ! これを理不尽と呼ばずなんと呼ぶ!? 

 そんな男が身体強化まで覚えたのだぞ! この意味が分かるか!?」


 先ほどのやり取りで、スロウの剣の異常さは身に染みている。そこから、さらに体が強化されるとしたら?

 そこから繰り出される剣技は、もはや次元が違うものになるのでは……?


 ヴェイドの言う意味を正確に察し、ネコタは顔を青ざめさせた。

 ネコタの内心を察し、無理はないだろうとスロウは笑った。


 とはいえ、これも生死をかけた勝負。手加減をする理由にはならない。

 スロウの戦意に応え、その身体が信仰の力を使って淡く輝き始めた。


「私には剣さえあれば充分。そう思ってはいたが、こうしてかつて足りなかった力を得たとなれば、心が弾まないと言えば嘘になる。

 少年には酷であろうが、【勇者】となれば試し切りの相手にはこれ以上ない相手だ。

 王国最強の騎士の力。その身で存分に味わい、冥府へと旅立つがよ──」


 ──ゴンッ! ビキッ! 


 再び、ヴェイドの拳がスロウの頭部を襲った。

 当然、ヒビはさらに大きくなった。


「ひ、ヒビがまた!? おまっ、これはもう亀裂になっておるぞ! 頭が! 頭が割れる! 貴様いい加減にせんか!」

「いい加減にするのはそっちである! 何度も言うが、最強は我! その次がお主! 身の程を知れ!」

「身の程を知るのは貴様だ! 【勇者】より先に貴様を殺すぞ!?」


 再び、ボコスカと殴りあう騎士二人。

 また力が抜けてしまうような間抜けな光景だが、あれだけの力を見せられては、気を抜くなど出来ない。


 むしろ、それだけの余裕があるからこそ、どこまでもこの二人は自然体なのだろう。


「貴方達は、どうして……」


 ネコタの呟きに、ピタリと動きを止め、二人は目をやった。

 ビクリと一瞬震えつつも、ネコタは言わずにはいられなかった。


「これだけの力がありながら、貴方達はなぜ覇王に仕えていたんですか? 人々を虐殺するような酷い王だったんでしょう? 自分達で止めようとは思わなかったんですか?」


「何を言うかと思えば、愚問だな」


 呆れたような仕草を見せ、スロウは続けた。


「この世は弱肉強食。弱い者は強い者に食われる。それが世の摂理だ。そして、あの方はもっとも強き王だった。だからこそ、我々は皆、曇りなき忠誠を──「それに関しては少年の言うことがもっともである」──おい!」


 スロウを遮り、ヴェイドが言う。


「こ奴は我のような高貴な出身と違い、幼い頃に森に捨てられた野生児である。そして過酷な環境を剣一本で、一人で生きてきた。ゆえに弱肉強食の考えが身に染みている。

 強者は何をしても許されると本気で思っているからこそ、陛下に対して忠誠を誓えたのである。

 だが、こ奴のような者は極少数。ほとんどの者が、心からかの王に仕えた訳ではない。当然、それは我も同じである」


 骨の身ゆえに、表情は分からない。

 だが、どこか悲し気にヴェイドは続けた。


「我はかの王と敵対し、故郷を滅ぼされかけた。だが、我の力を見込んだ王に、臣下となれば見逃すと条件を出され、王の騎士として生きることを決めた。

 少年。我は己の故郷を守るために、その他の命を屠ることを決めたのだ。

 我ではかの王には勝てなかったのだよ」


 自嘲するように、ヴェイドは語った。

 それが本心の言葉だと、ネコタは悟る。


 少なくともこのヴェイドは、覇王に忠誠を誓ったわけではなかった。

 悩みながらも故郷を守るために、その手を血で染めてきたのだと。


 そして、それに罪を感じていると。


「とはいえ、今は別だがな! 我は死に、故郷は既にない! ならばこれ以上忠誠を捧げる必要はない! せっかくの平和な世だ! 死人は黙って墓に入っているべきである! 陛下を蘇らせようなど害しかない!」


「貴様! それでも陛下の騎士か! 見損なったぞ!」


「見損なったのはこっちの方である! 死んでも忠誠を捧げているなど、貴様もマリンもどうかしているのである!」


 スロウの言葉に、ヴェイドは本気で怒っているように見える。

 だったら何故……と、ネコタは疑問に思った。


「王に忠誠を誓っていないなら、どうして今、マリンさんに協力をしているのですか?」


「うむ! それは単純に、今のマリンと我は主従関係にあるゆえに! 逆らうことが出来ないだけである! とはいえ、傍に居れば王が復活しても寝首を搔く機会があるかもしれぬからな! この時代でも大量の死人を出す訳にはいかぬ! 我に出来ることは、その機会を待つことだけである!」


 その言葉に、ネコタは希望を抱いた。

 つまり、このヴェイドはマリンにとっても潜在的な敵。自分達の味方になりえる人物なのだ。


 であるならば、説得次第では……!



「それなら、素直に僕を見逃してくれませんか? 目的は同じはずです。王の復活は僕達が阻止します。逆らえないというのなら、手を抜くなりして抵抗してもらえると助かり──」


「それは出来ぬ!!!!」


 何故だか、とても強い言葉で拒否された。

 まったく解せない。ネコタはますますヴェイドが分からなくなった。


「少年、王は強いぞ! 我よりも遥かにな! そしてマリンは厄介な魔術師だ! 

我らを相手に手こずるようでは、到底奴らに勝つことなど出来ん! 

 ゆえに、我は全力で戦う! マリンの野望を打ち砕くに相応しい力を持っているか、確かめるためにもな!

 我を超え、証明してみせよ! 【勇者】よ! 

 我を倒し、後を託すに相応しいと安心させてくれ!」


「気に食わんが……まずはこの小僧が先だ。だがヴェイド、その後は覚えていろよ」


 再び剣を構える二人を見て、ネコタは長く息を吐き、剣を構える。

 厳しい相手だが、もはやここに至っては、やるほかない。

 ネコタはたった一人で、死闘へ臨む覚悟を決めた。


 だとしても、一つだけ言わせてほしい。


 ──どうして僕だけこんな騎士が二人も!?!?!?


 自分の運の悪さにもやもやとしたものを抱かずにはいられないネコタだった。











カクヨムの方で一章分先行投稿していますのでそちらもよろしくお願いします。

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