表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
道化師  作者: 豆腐。
4/6

人生4

再び1人になった俺は、その日からホテルとか公園とかを点々とする生活になった。

テレビでは、あの話が話題になっていた。

『息子と夫を殺した妻は、その後2人を刺した包丁で自殺。家族関係の悪化が原因と思われる。また、この家の次男××くんが行方不明。警察は~……』

町中で流れるそのニュースを遠ざけて、遠ざけて。どこかの、路地裏にいる。よく考えてみたら、季節は秋だった。既に夜は肌寒い。

これからどうしようか悩んでいた。きっと、警察は、俺のことを捜しているのだろう。でも、見つかったら、きっと、また前のようなたらい回しか、施設に入れられる。もう、そんな生活は嫌だった。


ふと、目の前に一人の男が現れた。かなりの中年で、裕福そうな格好、後ろに秘書のような人物が付いている。俺がそちらを見上げると、その中年男性は、笑顔で言った。

「君、こんなところでどうしたの?おじさんと一緒に来ないかい?」

-俺好みの少年だ。ぜひ、もって帰りたい-

その人の、言葉も、本心も、全部聞こえていた。

でも、俺はそれについていった。

まあ、人生に半分絶望してたし、このまま公園で野宿は寒いし嫌だし、ていうかこんなに無様な死に方はしたくなかったから、その中年なら結構お金持ってそうだったから、とりあえず普通の家で寝れるならなんでもいいやって思ってた。

正直、中年が体にまとわり付いてくるし、秘書の奴は俺とその中年に大してめっちゃ心の中で暴言はいてるのに笑顔だしで、気持ち悪かったけど、我慢した。


よくわからないホテルに連れてかれた。中年は、俺に服を脱がせて、色々変態的なプレイをさせてきた。

俺はその言いなりになって、たまに「は…恥ずかしいよ……///」「やだ…」みたいなセリフを言っとけば勝手に中年は興奮してたし、組み敷かれたときも適当に喘いどけば中年は気づいたら終わってる。

終わったあとぐちゃぐちゃになって倦怠感もあってすごい気持ち悪かったけど、顔に出さないようにした。表情に出さないことは、昔からやっていたから慣れていた。


そして、俺は生活のためにそれでお金を稼ぐことにした。やったら、もらう。裕福そうな奴を狙っては、そうやってやっていた。


俺は気づいてしまった。簡単にお金が稼げることに。それと、この生活が、悪くはないと思ってしまっていることに。そのとき、結局俺は、あの女の子供だったのだと、痛感した。


俺は、あの家から逃げた日から、昔の自分は捨てた。もう誰も信じない。名前は、新しいものにした。今まで弱虫だったけど、これからは、いつも笑顔で、相手のことが全部分かってるような、少し距離を置き、置かれるような、ちょっとおかしい人(まあ、とっくに俺はおかしい人だけど)になろう。

俺は、周りにも、自分という存在にも、すべてに、嘘をついていくと決めた。


俺は色々な人間と関わりを持った。未来研究の偉い人とかに貢がせたし、どっかの社長に学費とか払ってもらったし、なんか外国のすごい富豪に生活費とか貰った。

学校で俺をいじめてた奴らは、俺が少し相手の心を読んで、弱みでも握って脅してやればすぐいなくなった。俺は、気味の悪い笑顔で、本人しか知らない秘密をしゃべる。殴られたり蹴られたりは、さすがにやられすぎて飽きてきたのでテキトーに避ける。これだけで、あいつらの中で、俺は気持ち悪い奴、おかしい奴と認識される。まあ本当のことだし、面倒な奴らが絡んでこないのなら楽だからそれでいいと思った。


ただ、したくもないことを毎日毎日やるのは、そろそろ疲れてきた。

いくら自分を偽っても、何の意味もなかった。


そんなある日、目の前を歩いていた人が、路地に入っていったと思ったら、見たときにはいなくなっていた。他に道はない場所だった。

何かおかしい。そう思って、その路地に一歩踏み出した瞬間、そこは、路地ではなくなった。

少年の名前が出ないのは仕様

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ