人生2
暗いし重い。
9歳くらいのとき、遠い遠い親戚とかいう人の家に行くことになった。その家は、かなり大きくて、俺が増えたぐらいでは何も変わらない感じだった。
その家には、俺より6歳年上の長男がいた。母親は、めずらしく裏表のない、馬鹿正直な人だった。
でも、それ以外のやつらは違った。蔑みでも、哀れみでもない、今までとは違う感情。それは、性的な感情だった。
長男は、大都市にある大きな私立の学園に通っていた。金さえあれば、誰でも入れる学園。
俺もそこの初等部に入れられた。その学園は、頭の狂ったやつばかりで、どいつもこいつも、男×男。異性愛者はほとんどいない。同性愛者か、腐女子。さすが、金持ちだ、やり放題だな。秩序のかけらもないような場所だった。
俺は編入早々、変な奴らに狙われた。そいつらは、いかにもいじめっ子という感じで、真ん中のリーダーみたいな奴は、確か、有名な政治家の次男だった。
そいつらは最初は笑顔で話しかけてきていたが、後から誰にも見られないところに連れて行かれ、ここでも、殴られて、蹴られた。もちろん、そいつらが何をしようと考えているかなんてすべて分かっていた。
でも俺は、騒ぎを起こしたくなかったし、正直暴行の類には慣れているし、こいつらがそれで満足するならそれでいいとか思っていたから、あえて抵抗はしなかった。でも抵抗しないと余計強くなる。俺はこのころ、ていうかかなり小さいころから「なんで自分は生まれたんだろう死にたい」とか人生に絶望してた。
ああそういえば、このとき、一度だけ、いつものようにいじめられてた俺を助けてくれた人がいた。まあ、その人は助けたわけじゃないと思うんだけど。
その人は、まあ俺たちと同学年だったんだけど違うクラスで、俺はそのとき編入したばかりだったからわからなかった。後から確かめたら、その人はなんかどっかのやくざ的な家の息子だったみたいで、その人はかなり悪いうわさがいっぱいあるらしくて、いじめっこ共も怯んでた。
その人はいらいらしてたまたま通りかかった先でいじめの現場を見て余計イラつきだして、怯んで「な、なんだよ!」って言ってるいじめっ子どもに「邪魔なんだよ、馬鹿じゃねえの?」って睨み付けて、勝手に怖くなったいじめっ子共はいなくなって、結果的に俺は助けられたみたいになった。
「おい、お前も」
「え?」
「邪魔なんだよ。いつまで座ってんだよ」
「あ…ごめん」
俺は最初目の前で起きたことに意味が分からなくてそのままにしていたから、急に話しかけられて驚いた。
「いいから早くどけっての」
「……ありがとう」
「は?何が?」
「助けてくれて」
「はあ?別に助けたとかじゃねえっての。ただ、邪魔」
俺はそのときその人の心が読めてて、本当はここを通らなくてもいいのに俺ののために来てくれたってわかってたから、その意地が少しおかしくて、
「はは……変な奴」
つい口から出てしまっていた。
「は…お前も相当(変な奴)だけどな」
そうやって言われて、俺たちは少し仲良くなった。