――エピローグ――
いつか、どこか。
「ごめんなさいね。こんなお婆ちゃんに付き合わせちゃって」
ベッドに横たわる私は、嗄れた声で、椅子に座る愛する人に謝る。
魔術の粋を極めても、永遠に生きることは叶わない。
老化を抑えるにも限度がある。
見た目はまだ数十歳でも、私の命はもう残り僅か。
妹の子孫も途絶えて久しい。
祖国は滅びなかった。
けれど時代は変わった。
只、それだけのこと。
「構わない」
夫が初めて会った時から変わらぬ姿で、私の手を取って微笑む。
私が子宝に恵まれなかった理由は分かっている。
寿命を変えるということは、生物としての破綻に他ならない。
それでも、私は愛する人と一瞬でも長く、一緒に居たかったから、邪法だと知って手を出した。
恐らくは私より長い時を生きた彼は、それを責めなかった。
「それで好き嫌いが変わるような趣味は、最初から持ち合わせていない」
彼は流暢にウィルハザードの言葉で答えた。
二人が共に生きた時間の証。
若いから尊い。
年齢を重ねたから偉い。
どちらも幻想だ。
現に私たちは、ずっと変わらず愛し合っている。
「…何だか少し疲れちゃったわ」
思考が重くなるのを感じる。
彼の手を握り返す力も入らない。
「ゆっくり休むといい」
彼の手に少し力が入るが、その温もりも何処か遠くに感じる。
「ええ、そうさせて貰うわ…」
瞼が重くなって、自然と閉じていく。
「愛してるわ、あなた……」
イーリス・ヴェルガ・エクサ・ウィルハザードは、その言葉を最後に、息を引き取った。
彼女の命が尽きると、彼女の愛した男は、その姿が光り輝く竜へと変わり、巻き付くように彼女の身体を優しく包み込んだ。
――愛してる――
竜が囁く。
その言葉を聞く者は居ない。
そして二人の姿は光の粒となって、空の彼方へと昇っていった…。
――これは王族に生まれた一人の女性が、その全てを捨てて世界を護り、その生涯を愛する人と添い遂げた。
……只、それだけの、何処にでもある愛の軌跡である……
完
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
これにて、女王姉イーリスの物語は終わりとなります。
駆け足に見えますが、これは御伽噺です。
それでも少し長くなり、泣く泣く分割しました。
もし宜しければ、暇な時にでも一気に流して読んでもらえると、また違ったものを感じてもらえるかと思います。
そして何か感じるものがございましたら、【★】やブックマーク、リアクションや感想を頂けますと今後の励みになります。
他の拙作も、どうぞよろしくお願いいたします。
名残惜しいですが、これにて。
ご愛読ありがとうございました。
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登場人物
イーリス・ヴェルガ・エクサ・ウィルハザード
主人公、元第一王女、超美人、銀髪、努力家、胸は人並、宝剣持ち、苦労性。
イーリス=(目の輝き、虹彩)
アスフィア・ヴェルガ・エクサ・ウィルハザード
双子の妹、女王、元第二王女、超美人、金髪、お花畑、胸は特盛、胸と髪の色以外そっくり、アホの子。
アスフィア=アンチ・ソフィア(反対・知恵の女神)
爺や
宮廷魔術師、偉い、年寄り、髭、髪が薄い。
クオン
変人。
割れ顎男
顎が割れてる、天才、お花畑。
ユリア
割れ顎の恋人、台詞無し。
司祭
台詞無し。
冒険者
若い人間の侍、小人の盗賊、若いエルフの君主、巨乳エルフの僧侶、老いたエルフの魔術師。
以上




