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9/9

――エピローグ――

 いつか、どこか。


「ごめんなさいね。こんなお婆ちゃんに付き合わせちゃって」


 ベッドに横たわる私は、嗄れた声で、椅子に座る愛する人に謝る。

 魔術の粋を極めても、永遠に生きることは叶わない。

 老化を抑えるにも限度がある。

 見た目はまだ数十歳でも、私の命はもう残り僅か。

 妹の子孫も途絶えて久しい。

 祖国は滅びなかった。

 けれど時代は変わった。

 只、それだけのこと。


「構わない」


 夫が初めて会った時から変わらぬ姿で、私の手を取って微笑む。

 私が子宝に恵まれなかった理由は分かっている。

 寿命を変えるということは、生物としての破綻に他ならない。

 それでも、私は愛する人と一瞬でも長く、一緒に居たかったから、邪法だと知って手を出した。

 恐らくは私より長い時を生きた彼は、それを責めなかった。


「それで好き嫌いが変わるような趣味は、最初から持ち合わせていない」


 彼は流暢にウィルハザードの言葉で答えた。

 二人が共に生きた時間の証。

 若いから尊い。

 年齢を重ねたから偉い。

 どちらも幻想だ。

 現に私たちは、ずっと変わらず愛し合っている。


「…何だか少し疲れちゃったわ」


 思考が重くなるのを感じる。

 彼の手を握り返す力も入らない。


「ゆっくり休むといい」


 彼の手に少し力が入るが、その温もりも何処か遠くに感じる。


「ええ、そうさせて貰うわ…」


 瞼が重くなって、自然と閉じていく。


「愛してるわ、あなた……」


 イーリス・ヴェルガ・エクサ・ウィルハザードは、その言葉を最後に、息を引き取った。

 彼女の命が尽きると、彼女の愛した男は、その姿が光り輝く竜へと変わり、巻き付くように彼女の身体を優しく包み込んだ。


 ――愛してる――


 竜が囁く。

 その言葉を聞く者は居ない。

 そして二人の姿は光の粒となって、空の彼方へと昇っていった…。




 ――これは王族に生まれた一人の女性が、その全てを捨てて世界を護り、その生涯を愛する人と添い遂げた。


 ……只、それだけの、何処にでもある愛の軌跡(ものがたり)である……




 最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 これにて、女王姉イーリスの物語(じんせい)は終わりとなります。

 駆け足に見えますが、これは御伽噺(フェアリーテール)です。

 それでも少し長くなり、泣く泣く分割しました。

 もし宜しければ、暇な時にでも一気に流して読んでもらえると、また違ったものを感じてもらえるかと思います。


 そして何か感じるものがございましたら、【★】やブックマーク、リアクションや感想を頂けますと今後の励みになります。


 他の拙作も、どうぞよろしくお願いいたします。


 名残惜しいですが、これにて。

 ご愛読ありがとうございました。


――――――――――――――――――――


登場人物


イーリス・ヴェルガ・エクサ・ウィルハザード

 主人公、元第一王女、超美人、銀髪、努力家、胸は人並、宝剣持ち、苦労性。

 イーリス=(目の輝き、虹彩)


アスフィア・ヴェルガ・エクサ・ウィルハザード

 双子の妹、女王、元第二王女、超美人、金髪、お花畑、胸は特盛、胸と髪の色以外そっくり、アホの子。

 アスフィア=アンチ・ソフィア(反対・知恵の女神)


爺や

 宮廷魔術師、偉い、年寄り、髭、髪が薄い。


クオン

 変人。


割れ顎男

 顎が割れてる、天才、お花畑。


ユリア

 割れ顎の恋人、台詞無し。


司祭

 台詞無し。


冒険者

 若い人間の侍、小人の盗賊、若いエルフの君主、巨乳エルフの僧侶、老いたエルフの魔術師。


以上

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