開店したのはレストラン
村上 かずま。年齢26歳。
己の罪を自白しよう。
私は1言喧嘩になるような発言をした……
それだけだ。でも、それはゆうに死刑すら超える内容だと私は思う。
少しだけ、あの頃の事を語ってもいいだろうか?
私に残された時間は多い。
しかし、私に残された時間は退屈で仕方ないんだ。
「ねぇ貴方、仕事が最近多すぎる。このままだとメンタル持たないでしょ……?」
「あぁ、出来たらしてるさ。最近は機嫌も悪くなってるからな」
「絶対無理してるよね……?とにかく今日は傍にいるよ。ゆっくり休んでね……」
「クソがよ、1人にさせてくれよ。俺はストレス溜まってんの。お前がいなくてもなんとかなるからさぁ?」
「ごめんね……」
まったく、俺の気持ちを少しでも分かってほしい。
これは、仕方ない事だ。
向こうもこれで、俺の事を気にしすぎないと思う。
これでいいんだ。
次の日、俺は衝撃が走った。
彼女が俺の家から姿を消した。
家の中を探した、ずっと探したけどいない。
それは、疲れてた俺に対して倍以上のストレスが舞い込む。
俺が、あんなこと言わなければ。
もっと言葉を選んでいたらこの状態は変わってたのだろうか?
もっと……出来る事があるはず……
こんな状態から、もう5年がたっている。
もう、いつ死んでも良いくらいには感情が追いやられている。
特に彼女の部屋を見るとだめだ。
扉を開けようとする度に脳みそへ激痛が走った。
感情が「それをやめろ」と言い聞かせて来る。
昔は、俺っていう一人称だった。
でも時間がたつにつれて自分の事を「私」と呼ぶようになった。
そんなとき、玄関のチャイムが鳴る。
「すみません、最近出来たレストランのご案内です」
「わかった、受け取るよ」
そうして、レストランのチラシを見る。
どうやら「願いが叶う」レストランのようだ。
私の願い……なんて言う必要はない。
そんなことを考える前にできるだけ早足でそのレストランへの地図とにらめっこする。
「いらっしゃいませ……何名様ですか?」
「1名だ」
「いえ、2名様……ですが、1名の席へご案内しますね」
レストランのメニューを見た。
どれもこれも初めて聞くようなメニューばかりで物珍しさでじっくり眺める。
「あの、このオムライスをお願いします」
「わかりました、では。お願いを叶えるためにパラレルワールドへお送りします」
彼女の好きなオムライスを注文した。
そこから、眠くなったかのように目の前が歪み別の景色となる。
これは……
「おっとぉ!NCチームの団結力が安定しています!」
これは、彼女と見に行ったVRゲームの世界大会だろう。
Night Coreが勝った時目に涙が浮かんだ記憶がある。
観客席を歩いていると、彼女と喋る俺を見つける。
私は、そっと近づき会話内容を聞こうとする。
「ねぇ、もし貴方がいなくなったら私はある場所に行くと思うの……」
「あぁ……どこだい……?」
「それはね……」
この時の私は、なんとなくで聞き流してただろう。
でも、今聞いてる私には肝心な情報だ。
ひとつ私は心当たりのある場所へ行くために会場を出る。
そこから、走る。走り続けてついたのはある1つのカフェである。
ここのマスターは、人当たりが良いんだ。
彼女が高校生の時は、ここに通っていたようだ。
私が好きなんて言う惚気話をしていたようだ?
「いらっしゃい、随分とお急ぎのようで。何名様?」
「1名だ。一杯のコーヒーを頼む」
そこから、カウンター席に座って
新聞を取る。
日付は、2030年になっていてゲームの世界大会より3年前。
私が彼女を失ってからざっと1年目ぐらいだろう。
「なぁあんた、そんな血迷った目で何を見てるんだ?」
「マスター、私は初めてここに来たのだがこんな距離が近いのか?」
「いいや?普段はしない。でも、放っておいたら何をするか分からないからねぇ」
そうマスターが「くくっ」と笑う。
私は、何かを察して質問を1個する。
「なぁ、ここにひなっていう女の子が来てないか?」
「あぁーあの子は彼氏さんに気を使わせちゃ良くないから枕の中に次に会う日と場所をかいて入れたって言ってたな?」
「どうも、親切にありがとう。コーヒー。美味しかったですマスター」
「あぁ、何かを決めたんだろう?気を付けてなー」
そうして、目が覚めたらあのレストランだった。
長くて短い旅が終わり、急いで会計を済ませて家へ戻る。
前から怖かったけど、彼女の部屋へ急いで向かう。
「頭痛なんか、私は気にならない……!」
そうして、扉を開けるとあの頃と変わらない彼女の部屋があった。
ファンシーな小物や可愛い物がいっぱい置いてある。
「あった、枕の中に1枚の手紙が……」
内容を読むと、「2034/02/14 レインボーブリッジ」と書いてあった。
衝撃が隠せない、明日だった。
私がいつも通りの死んだような生活をしていたら気づかなかった。
そうして、次の日私はレインボーブリッジへ走った。
そこには、もう彼女の姿があった。
「ねぇ、待ってたよ。どれだけ会いたかった?」
「私が、全て間違ってたんだ。すまない」
「この日にしたのはね、結婚してから10年が経つからなの。会えてよかったよ。愛しのダーリン」
この日、私は信じられないほど泣いた。
世界は、私を見守ってくれていたようだ。
それとも、あの不思議なレストランのおかげなのだろうか?




