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世界樹は夢を見る  作者: 深月
アルディア第一学園
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「それ、どういう意味かな?」


くるりと振り返って、私は聞いた。


「それは勿論!貴方を守るためなら」


「そうじゃなくてさ。

()()()()()()()()って、どういう意味かな?」


「それは・・・っ

貴方の周りには、高貴な者がいるべきだ!

どこの生まれかもわからない者たちに気を許して、何かあってからでは遅いのです!」


つまり、私の大事な友達が、私に危害を加えるかもしれない、と。

ディストは尚も言い募る。


「大体、教養もなければ礼儀作法もなっていない!

俺を貴方に近づけまいとするその行動も、無礼そのものではないですか!」


許しがたい言葉だ。

これが漫画だったら、私の背後には陽炎が立ち上っていると思う。


「ディストくん。私の友達を侮辱するその発言は、無礼ではないのかな?」


ようやく、彼は私が怒っていることに気がついたようだ。


「それは、その・・・」


「そして学園内は皆平等。これは国が定めたルールだよ?」


言外に、国を、王を、そして王族を侮辱する気かという意味を込めて私は言い放った。この怒りをどう処理すればいいのかわからない。


「ちょっとあなた!

アイヴァンさまに失礼じゃない!」


横槍がはいった。取り巻きたちはディストの後ろに並ぶように立ち、口々に私を非難する。


「アイヴァンさまはね!永代貴族のご子息なのよ!

あなたなんかが気軽に話していい相手じゃないの!」


まさか学園でこんな選民思想に遭遇するとは思っていなかった。そもそも貴族家はアルディアでは単なる名誉職に過ぎない。なんらかの権力があるわけでも、特権階級でもないのだ。家柄という意味では確かに名家に属するのかもしれないが。


「うん、だからね?

学園内で身分もなにも無いのよ?」


言い聞かせるように話す私の口調が気に入らなかったのだろう、取り巻きの一人、確かミラとかいう女の子がその怒りを更にヒートアップさせる。

一方のディストは青い顔をしている。そりゃそうよね。貴族家の子息の取り巻きが、王族に噛み付いているんだもの。


「そんなの建前に決まってるじゃない!

それともなに?あなたは学校のルールで死ねって書いてたら死ぬの!?」


子供か。・・・いや、7歳だし十分子供だった。


「ディストくん、きみの友達だよね?なんとかしたら?」


「気安くアイヴァンさまを名前で呼ぶんじゃないわよ!!」


もう、怒りを通り越して呆れと疲れしかない。

気は進まないけれど、相手が身分身分連呼するならば、こちらも相応の対処をするしかないかなぁ。

でもそれでは同じ土俵に立つことになってしまう。それはすごく嫌だった。


私は深いため息をつく。うん、彼らに合わせることはない。


「ディストくん、私の友達が・・・」


「だから馴れ馴れしく呼ばないでよ!」


「今あなたとは話してないわ」


取り巻きの3人の相手までしていたら、いつまで経っても話が進まない。私は拒絶するようにぴしゃりと言った。


「私の友達が、なにから私を守ってくれていたかわかったかしら?」


そう、他でもないディストと、ディストの取り巻きから守ってくれていたのだ。それがわからないほどの馬鹿だとは思いたくない。


「う・・それは・・・だけど!」


「そして今、あなたは私を守れていないわ」


重ねて私は事実を突きつける。自分の取り巻きから私を守れていないのに、他の何から私を守れると言うのか。言葉を失うディスト。

別に私はディストを責め立てたいわけではない。一言謝罪さえあればそれで構わないのだ。


「そこに優劣をつける気はないけれど、私の友人たちはあなたより下かしら?」


確認するようにそう問いかけると、ディストは悔しそうに唇を噛みながらも、謝罪の言葉を口にしてくれた。


「その・・・すまなかった」


うん、満足である。


「謝罪してくれるならそれでいいわ。

皆も騒がせてごめんね」


取り巻き3人娘だけはまだ私を睨みつけていたものの、ディストが謝罪した以上、なにか言えば話を蒸し返すことになる。それがディストの不利になることはなんとなくわかっているようで、彼女たちはひたすら私を睨みつけるしかできないようだった。

そんな視線程度痛くも痒くもない。

見れば、Aクラスの他の子たちからいつもとは少し違う視線を受けているように感じるけれど・・・敵意はこもっていないようだし、気にすることもないだろう。

この件は無事これでおしまい。きっとディストも変に付きまとってきたりはしないだろうし、あそこまで言ったのだから取り巻きたちを抑える努力もしてくれるだろう。


私はアイラたちにもう一度騒がせてごめん、と謝った後、先程のいざこざなど無かったかのように、クラスメイトたちとの他愛ない会話を楽しんだ。

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