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「お呼びだてするような真似をお許しくださいませ。
アルディア王が末子、フォルティエラ=カナデ=アルディアと申します」
王に向けてカーテシーを。
王族たちがわざわざ出てきた以上、重鎮たちが出てこないわけにはいかない。目論見通り、王、そしてザルツ、その他重鎮たちがこの場に集まる結果になった。
「こちらへ向かう途中で見つけた、珍しい4羽の鳥を捕まえて参りましたの。
お見せしてもよろしいですか?」
微笑む私に、王は頷く。ザルツがトリス王には事の次第を伝えているかも知れないので、もしかしたら打ち合わせ済みなのかも。だって庭先に出てくるのが早すぎたもの。
「お出しして」
馬車に声をかけると、サイファとリッドに連れられて4人の証人が大人しく降りてきた。
ジェーンとスイ、メルも一緒に降りて、後ろで跪く。
「よく通る声で鳴くものですから、ついお見せしたくなってしまって」
集まった何人かの顔がこわばったのを、私は見逃さない。
その顔は覚えておきますね。
「この者たちは?」
「スカラの街を出た後に、街道沿いで盗賊に襲われたのです。
けれど、護衛が見事に討ち取ってくださって。
その生き残りなのですけれど、妙なのです」
「妙、とは?」
「彼らは皆、きちんとした身分証をお持ちだったのです」
そうして回収した、いわゆるドッグタグというやつを、恭しく王に差し出す私。
予定調和のように、国王が直々にそれを受け取って検分し・・・
「これは、一体どういうことか!」
声を荒げる国王様。彼はタグを受け取ったとき、軽く私にウインクをしてくれた。あとは任せろ、と言ってくれているのだと解釈して、ここからは私は傍観者だ。
「そこの4人!
お主らの所属を申してみよ」
「・・・・・トリス国軍にございます」
周囲がざわめく。
「盗賊としてアルディアの姫君を襲ったというのは、まことか」
「仰せのとおりでございます」
ちなみに彼らには、きちんと受け答えをするようにと、仮宿でしっかりと教育をさせていただいてます。
「・・・誰の差し金か」
「そ、それは・・・」
「申してみよ!」
「ハインツ=バルド様、です・・・」
「捕らえよ!」
そうして始まった大捕物と喧騒を余所に、王様と私の三文芝居は続く。
「フォルティエラ殿、此度の我が国の失態、謝罪させてもらいたい」
「一つ質問をさせて頂いても?」
「勿論だ、何なりと聞くがいい」
「客船の乗船記録を書き換えられる人物に心当たりはおありですか?」
「・・・どういうことだ」
「ラーファでは私の到着を知る者がおりませんでした。
・・・勿論、迎えの馬車も」
「アイディン!」
呼ばれたのは、王のすぐ横に控えていた騎士だ。騎士団長とかそういう立ち位置の人だろうか。
跪いたその騎士は、王の次の言葉を待っている。
「すぐに調査を行え」
「仰せのままに」
再び青ざめる数名。うん、これでお芝居は終了だ。
あとは部屋に案内してもらって少し寛がせてもらおう。ザルツにも挨拶をしたいし、王様にもお礼を言わないと。あとはお父様にロロを飛ばして・・・
幸い急いだお陰でパーティーまでは丸一日余裕がある。慣れないことをして流石に疲れてしまったし、同行者5人も疲労が溜まっているはずだ。
今日はゆっくりしよう。
案内された部屋は広く、使用人が泊まる部屋とドアで続いていた。そちらの部屋にも人数分ふかふかのベッドがちゃんと用意されていたし、トリス王城付きのメイドさんが2名控えていた。これなら5人もゆっくりできる。
「フォルティエラ様、ようこそいらっしゃいました。
本日の晩餐ですが、シルザリッツ様より招待が届いております」
「ぜひご一緒させてくださいと伝えてください」
「お伝えいたします」
晩餐の時間まであと2時間ほどしかないとのこと。お風呂に入りたい・・・と思ったら部屋に浴室がついていてしっかりとお湯が沸いていた。ありがたい。
遠慮なくお湯に浸からせてもらうと、一気に疲労感が押し寄せる。このまま眠ってしまいたい気持ちもあったが、晩餐が控えているのであまり長風呂をするわけにも、ましてやベッドに飛び込むわけにも行かない。
お風呂から上がるとお手製のドライヤーもどきをマジックボックスから取り出し、髪を乾かす。これがあるお陰であとの予定をある程度無視して髪を洗うことができるので重宝している。乾くまで待つと何時間とかかるしね。
明日のパーティー程ではないにせよ、それなりのドレスを着なくてはいけない。こんなときにシエラがいないのはやはり心細い。マジックボックスからこれなら大丈夫そう?というドレスを数枚出して、ジェーンと話し合いながら決める。
持つべきものはメイドさんである。着替えも手伝ってくれて、髪も結い上げてくれた。
さて、晩餐に向かいますかね。




