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転生者は他人の真似が上手なようです!  作者: 初心者P
最終章 決戦 ~守るためには必要な犠牲~
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最終回 願いよ届け…

やべぇよやべぇよ、最終回と詐欺になるんじゃね?と、どどどうも初心者Pです。


これ、これからまだ続くような終わり方になった気がする。


でもまぁ、完結にしときます。


では、終わり方いまいちですが、最終回です!どうぞ!!

最終回 願いよ届け…


「う……うぅ」


 俺は意識が段々と鮮明になってきたので、目を開く。顔を覗きこみ、心配そうな顔しているツカサとトリナ、そしてイリアが見える。皆無事そうだ。良かった。

 それにしても、どうしてツカサとイリアは涙を流しているんだろう。嬉し泣き……じゃないよな。


「ユウトさん!」

「ユウトさん……よかったぁ」

「目が覚めたのよ!!」

「うるさい……頭に響く」


 トリナ、ツカサ、イリアの順で目覚めた俺の声を掛けてくる。だが、起きたばかりの俺からしたら頭が痛くなる大きな声だ。

 それでも、俺のことを心配してくれているのは分かるから怒れない。仕方のないことだしな。

 俺は体を起こそうと改めて気が付いた。右腕がないことを。そのため、体を起こしずらくてたまらない。


「ツカサ、手伝ってくれ。体を起こせないんだ」

「……分かりました」

「それとツカサ」

「はい?」

「呪い、解けてるんだな」

「ユウトさんのおかげです」


 ツカサは俺の頼みを聞いて、とても悲しそうな表情を浮かべた。なるほど、泣いていたのは俺の腕のことだったのか。

 俺はツカサの手を借りて体を起こす。一番最初に視界に入ってきたのは、激しく燃えている青い炎だった。


「おい、あれ……」

「はい。まだ、燃えてるんです」

「どういうことだツカサ!」

「ボクにも分からないですけど、まだ終わってないみたいなんです」

「そんな……サザリーは、倒したんだよな」

「倒しました。死んだのも確認しましたし、それは確かです」


 サザリーを倒して尚、儀式は止まらないのか。だが、それだとどうすればいいんだ?儀式をしていた張本人を殺したのんだから止まってくれてもいいだろ。

 しかし、止まっていない。諦めるわけにはいかないけど、方法が分からない。


「ユウトさん、ジーンさんが調べているんですが……その……」

「どうしたトリナ、言ってみろ」

「……あの炎の奥、いるらしいんです」

「いるって、何が?」

「神が」

「神!?」


 たしかサザリーが神を呼ぶとか言っていたが、本気だったのか。それでも、本当にあの炎の奥にいるなんて信じられないけど。


「それで、何か分かっているのか?」

「それは……」

「それは俺から説明しよう」

「ジーン、大丈夫か」

「あぁ、俺は問題ない。それで、あの炎についてだがサザリーが持っていたであろう本があった」

「本か……それで?」

「その本にはこう書いてあった。『目には目を、歯には歯を、邪悪なる世界を正すには邪悪なる神を』そして、『神は血を求める』とも書いてあった……」


 邪悪なる世界にを正すには邪悪なる神を、なんて凄い極論な気がする。それに、この神を呼ぼうとしていたってことはサザリーの奴、世界を正そうとしていたのか?

 今となっては分からないことだから、あまり気にしないでおこう。それよりも、神は血を求める……なんて物騒な神様だな。俺の知ってる神様って、人間に一目惚れしたりするようなおっとり系だった気がするのだが。

 神様の世界も広いと言うことでファイナルアンサー。


「それで、あれを止める方法はあるのか」

「ある……にはある。だが、あまりオススメしない」

「どういうことだ?」

「血を求めるんだよ。あの神様は、血を捧げないと帰ってくれない」

「血を捧げる?なんでそれが必要だって分かるんだ?」

「実は、試しに血を捧げてみたんだ。数滴だけどな。そしたらあの炎が喜ぶようにして揺れたかと思うと、少し小さくなったんだ」

「でも、あまり変わってないように見えるけど」

「あぁ……つまり、あれを消すには大量の————人1人分の血が必要だってことだ」


 ジーンの話を聞いた瞬間、あることを思いついた。きっと皆に話したら絶対反対されることだけど、それでも最善策だと俺は思う。


「ジーン、俺が行く」


 俺の言葉にジーン以外の3人も驚きの表情を浮かべた。そして、必死に止めようとしてきた。嬉しいけど、これしかない気がする。

 俺は皆の言葉をなるべく聞かないようにして炎に向かって歩き出す。すると、目の前にジーンが立ちはだかった。


「馬鹿な真似はやめろ」

「……」

「お前、こんな所で死ぬ気かよ!」

「……それしか、ないだろ」

「全員で血を捧げれば足りるだろ!!」

「非効率だ。それに、もし足りなかったり誰か1人犠牲にならきゃいけなかったらどうする」

「それは……」

「これが一番合理的かつ未来に繋がる選択だ」

「ノラちゃん達はどうするんだ!」


 ノラという言葉を聞いて思考が止まった。そして、無意識に歯を食いしばり拳を血が出そうなくらい握りしめた。

 会いたい。帰って、こんな姿でもノラやミリラ、ニアと会って話したい。ずっと一緒に居たい……けど、今ここでこの選択しないで帰っても一生後悔するだけだから。


「俺の体を見ろ。左目が潰れ、右腕全損。胸に大きな切り傷、腹に刺し傷だ。立っているだけでも不思議なくらいで、もう死に掛け。たとえ生きながらえても、冒険者引退は確実だ。それで、あいつらを守ってはいけない!あいつらを不幸にするだけだ!!」

「ッ……だけどさぁ……俺は、俺は!」

「ありがとう、ジーン。でも、もういいんだ。元々俺はこの世界に生まれるはずのなかった命だし、もう十分楽しんだ。とっても幸せだったよ」

「ユウト……」


 思えばフローリアに転生させてもらって、それからジーンと出会って……色々な人と出会って支えてもらった。俺はとっても幸運な男だ。最高の第二の人生だった。

 心残りがあるとすれば、最期にノラ、ミリア、ニアの顔が見れなかったことかな。それと、謝れなかったことだ。帰れなくて、ごめんって……。


「ジーン、これを頼む」

「これは?」

「指輪だ。右手にはめてなくて良かったよ。それ、ノラに渡しといてくれ。それと皆には、ごめん……ありがとう、って伝えておいてくれ」

「……嫌だ」

「おい!」

「指輪は渡してやる。だが、言葉は伝えない」

「それだと婚約とか間違えられるんだけど!?」

「知らん。自分で伝えればいいだろ」

「今から死にに行く人に向かってそれはないよ!!」


 そんなやり取りをして、笑って、泣いた。俺は泣かなかったが、ジーンと見ていたツカサやトリナ、イリアは泣いていた。


「じゃあな……」


 その後は一言も話さず、俺は炎の中に入った。体が焼けるような感覚はなく、ただ消えていくとだけしか思わなかった。

 そして、意識が途切れる前に見えた神の姿は……邪悪なる神なんてものじゃない。神々しく、まさに神様だったよ。

















「あれ?」

「おはようございま~す」

「……は?」

「どうも、ユウトさん。私ですよ~」

「フローリア……てことは、俺死んだのか」

「はい、死にました」


 目が覚めるとそこはもはや見慣れた世界だった。そして、そこにいる女神フローリアが笑顔で俺の顔を覗き込んできていた。

 俺は体を起こし、フローリアにこれからのことを聞いた。


「そうか。それで、どこに連れて行かれるんだ?天国か、それとも地獄か」

「……」


 だが、フローリアが突然暗い顔をして答えてくれない。どうしたと聞いても話してくれないし、一体何なんだ。


「実は……あなたには2つの選択肢があるのです」

「2つ?」

「はい。1つは一生この空間にいる。これは、死ぬと生きるの狭間で永遠と存在し続けることになります」

「うお、結構鬼畜だな。それで、もう1つは?」

「無に還ることです。これは、記憶がなくなりますし、意識の自我もなくなります。ですが、この空間から解放されます」

「……なるほど」


 これは、中々難しい選択だ。記憶を持ったまま永遠にここにいるか、記憶どころか全てを失い無になるか。

 無に還ったほうがいいのかな。やっぱり、ずっとここにいるってのも……。


「記憶……」

「どうかされましたか?」

「いや、それより俺の持っていたあの玉って使える?」

「それは、あの願いの玉ですか?些細な願いしか聞き届けてくれないあの?」

「そうなのか……そうだよそれ」

「使えますが、生き返ることは不可能ですよ?」

「別にそういうんじゃないんだよ。いいから使わせてくれ」

「分かりました……どうぞ」


 フローリアが何もないところからあの灰色の玉を出した。その辺りに転がっている石ころにしか見えないが、力はやはりあるらしい。

 だが、些細な願いしか聞き届けてくれないのか……大丈夫かな?


「んじゃ、願いますか。えーっと……俺に関わり、支えてくれた皆の願いが叶うまではいかなくても、手助けをしてやってくれ」


 俺がそう願うと玉が光り出し、消滅した。フローリアに聞くと、これは願いが聞き届けられた証拠なんだそうだ。


「さて、次はこっちの問題だな。俺は決めたよ……ここに残る」

「それは、どうしてですか?ここにいても、苦しいだけですよ?」

「分かってる。でも、やっぱり皆のことを忘れたくないんだよ。思い出という財産を手放したくない」

「……分かりました。いつでも無に還ることはできます。辛くなったら、言ってくださいね」

「ありがとう、フローリア」

「いえいえ~」


 これで良かったんだよな。これで……分からない。けど、皆の幸せを願うことが出来るなら、これも悪くないな。

 皆、幸せになってくれよ。俺のことは、忘れてもいいからさ……。




~~~~~~~~~~~~~~

視点変更


「ノラさんこっちお願-い」

「はーい」

「ノラちゃん、こっちもねー」

「分かりましたー」


 ある宿屋の厨房では毎日この会話がされている。この宿屋はかつて、悪い噂があり客がまったく寄り付かなかったが、最近新人を迎え繁盛し始めた。

 その新人というのが私、ノラです!もう14歳になったので、働き始めました。ちょっと遅いけど、料理を学びに色んなところに行っていたのでこんなに時間が掛かっちゃいました。


「マナさん、今日はアレがあるのでもう出ますね」

「あ、ちょっと待って」

「はい?」

「これ、私の分もお願いね」

「分かりました」


 マナさんの渡されたのは花束でした。いつもマナさんの分まで一緒に供えるのが私の役目です。マナさんは一緒に行きたい気持ちはあるけど、やっぱり宿を留守には出来ないそうです。残念です。

 

「今日は皆来てるんだよね……楽しみだなぁ」


 今日は特別な日、ミリアちゃんやニアちゃんとも会える日なんです。いつもは会えませんから。

 ミリアちゃんは村に帰っておじいちゃんのお世話をしています。おじいちゃんはまだまだ現役で、とっても元気です。

 ニアちゃんは冒険者になりました。今はもうC級冒険者で、もうすぐB級に上がるという噂があります。凄いですね。

 そんなことを考えていたらもう着きました。


「ミリアちゃ~ん、ニアちゃ~ん!」

「ノラさん、お久しぶりです」

「ん、久しぶり」

「2人とも早いね」

「当り前です。ノラさんが遅いだけですよ」

「ノラはいつもゆっくり、マイペース」

「ひどいよぉ」


 私たちがこうして3人揃って話すのも結構久しぶりです。昔はいつも3人揃っていたのに、やっぱり大人になってしまったからでしょうか。

 あの人が生きていたあの頃は……ずっと一緒だったのにな。


「ユウト、今年も来たよ。久しぶり」


 お墓の前で行って、自分の分とマナさんの分のお花をお供えました。私の後に続いて、ミリアちゃんとニアちゃんも持ってきたお花や食べ物をお供えし、手を合わせました。

 そう、今日は特別な日。ユウトの命日です。


「ユウト、今日は報告することがたくさんあるのですよ。ジーンさんがS級冒険者になることになったり、サリーさんのお店がユウトのお陰で有名になり過ぎちゃったり、トリア王子とイリア姫はユウトのために今日を世界平和記念日にしたり、ツカサさんは修行の旅で魔王倒しちゃったり……それから」


 ユウトのお墓に向かってたくさん話しました。ユウトの前だと、つい昔の癖が出てしまいます。恥かしいけど、なんだか懐かしいです。

 それからミリアちゃんとニアちゃんとも近況報告をしあってりと、楽しくお話しました。

 そんなことをしていると辺りはもう真っ暗で、帰らなきゃいけなくなってしまいました。


「ユウト……最後になるけど、私たちの願いはいつも1つなのですよ」


 ユウトのお墓参りの最後は、決まって言うセルフがあるのです。

 それは、絶対にあり得ないことだとしても、やっぱり願いたくなるようなこと。


「帰ってきてほしいですよ。また、会いた……い……ぐすっ」

「ノラさん」

「ノラ、泣いてる?」


 私はまだまだダメですね。ユウトに甘えたいと思ってしまう。また、寄りかかりたいと考えてしまう。また、一緒に……。


「あのー、その饅頭みたいなの食べていいか?ここ最近というか、何年も食べてないんだ」

「……ふえ?」

「誰ですか?」

「私の気配察知に引っかからないなんて、何者」


 声はどうやらお墓の後ろからしているみたいです。でも、なんだか怖くて見れません。ミリアちゃんやニアちゃんも警戒しています。

 しばらくすると、また声がし始めました。


「あの、結構真面目に腹減ってて……死にそうだけどね。ダメかい?」

「い、いいですけど……」

「ありがとう!」


 その声がした途端、お墓の左側から手が手で来て饅頭を1つ取って戻って行きました。

 それからまたしばらくして声が聞こえてきます。


「ありがとう。助かったよ。まったく5年間も何も食べないと、生き返ったのに即死んじゃうよ」


 ははは、と笑うその声はどこかで聞いたことのある男の人の声でした。聞いていると安心できて、なんだかユウトに似ているような。

 でも、ユウトはもういない。そう思うと、自然と涙が溢れてきてしまいます。


「泣いているのか?どうした。何か悲しいことでもあったか?」

「大切な人が……死んでしまったんです」

「そうか。その人は、どれくらい大切だったんだい」

「……ずっと一緒にいたい、くらい」

「好き、だったんだね」

「はい……」

「ありがとう」

「え?」


 何故か「ありがとう」と聞こえた気がしましたが、突然お墓の後ろの男性が立ち上がったので聞けませんでした。


「饅頭、ありがとな。それじゃ、俺はもう行くよ」

「あ……」


 男性の後ろ姿を見ると、右腕がないらしく袖が余っていて風に揺れていました。そう言えば、ジーンさんの話ではユウトも右腕を……。

 男性は左手を振りながら一度もこちらを振り向かずに歩いて行ってしまいました。それを見ていると、無性に止めなくちゃという気持ちが湧いてきて……つい、言ってしましました。


「ユウト!」

「……」


 男性は私の声に驚き、足を止めました。そして、顔をゆっくりとこちらに向け……笑ってこう言いました。


「またな」


 そこから段々意識が薄れて行って……私はそこで寝てしまいました。


「……ラ……ノラ……ノラさん!」

「ほえ!」


 目が覚めるとミリアちゃんとニアちゃんがそこにいました。でも、なんだか様子がおかしいです。


「まったく、寝てしまうなんて疲れてるんですか?」

「え……寝た?」

「ん、寝てた。ぐっすりと」


 どうやらさっきのは夢だったらしいです。確かに、途中からミリアちゃんとニアちゃんが消えていたような気がします。

 でも、夢の中でもまたユウトに会えたのはとても嬉しいです!


「どうかしましたか?」

「何でもない。さ、帰ろう!」

「……あれ」

「ニアちゃん、どうかした?」

「ん……饅頭が、1つない。なんで?」


 夢…………?まさか、本当に。


 その後、皆に話しても信じてもらえませんでした。結局あれは夢だったのでしょうか。

 でも、私はやっぱり違うと思うのですよ。あれは、本当にユウトと再開できたと思うんですけど。自信はないです。


「またな……また、会えますよね。ユウト!」


 皆は今日も、幸せです。

無事完結!(無理やり)


あれです。一応完結設定はしておきますが、もしかしたら……ね。


それでは、今ままで読んでくださった皆様。本当にありがとうございました。


これで、「転生者は他人の真似が上手なようです!」を完結(仮)させたいと思います!!


ありがとうございましたm(__)m

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