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転生者は他人の真似が上手なようです!  作者: 初心者P
第3章 王都 ~俺は英雄になりたくない!~
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第20話 旅立ちの時

どうも、最近テンプレがご無沙汰だなと初心者Pです。


今回は旅立つ……それだけ。


いや、でも新しい魔法出ますし大丈夫なはず。


それよりも、第3章が始まりました。王都、テンプレですよね。


それでは、第20話どうぞ~。

第20話 旅立ちの時


 ノラと出掛けた翌日、ついにこの日が来た。そう、この街から旅立つ時が来たのだ。そんな俺たちは朝から準備に追われていた。


「おーいノラ、ちゃんと着替え入れたか?」

「あ!忘れてたのですよ!」

「ノラさん、ほらこれ着替えです」

「ミリア、ありがとうなのですよ!」

「ニア、起きろ。ニア、起きて!ホントに起きて!!」

「う~ん、あと一日」

「それは無理だから!」

「ご主人様、買い忘れた物がありますので買ってきます」

「ミリア頼んだ。ニア起きろー!!」


 こんな風に、事前に準備をしていなかった俺たちは急いで準備をしなければならなくなってしまった。しかも、ノラは忘れ物多いし、ニアは起きないし、俺は買い忘れ多いし……大変だぁ。

 どうしてこんなに準備に追われているかというと、それはあの馬鹿野郎の一言から始まった。


 朝起きて、馬鹿野郎が大きなバックを背負って俺のベットの横に立っていた。しかも、ニッコリ顔でだ。朝から気分悪いな、と思ってたら馬鹿野郎が話しかけて来た。


「おはようございます師匠。今日、街を出るんですよね」

「あ?……あぁ、そうだけど。それがどうした」

「それにしては準備してませんよね?」

「そんなの今からするに決まってるんだろ」

「え?そうなんですか?だって、この街から出る馬車は1日に1つだけで、しかもあと数十分ですけど……。あ!そうか、歩くんですね。スイマセン変なこと言っちゃって」

「……おい、お前今なんて言った?1日に1つ?朝だけ?それ、ホントか」

「はい、本当ですけど。もしかして、知らなかったんですか?」

「…………皆起きろーー!!!」


 ということで、朝しか出ない馬車に乗るために俺たちは急いで準備をしているわけだ。それにしても、何でこの街には1日1つしか馬車が動かないんだ。どうせならもう2回、昼と夜にも動いてくれていいじゃないか。

 そんなことを思いながらも俺は自分の荷物をバックに詰め、身支度を済ませた。


「おぉ、今日はいつになく騒がしいな」

「ジーンか。あぁ、実はこれから旅に出るんだ」

「そうだったのか。なるほど、そりゃ急ぐよな」

「はぁ……やっと終わった。それじゃ、俺たちは行くよ」

「おう、ガンバレよ」

「ありがとな。3人とも、行くぞー」


 準備が終わった俺は3人に声を掛け宿を出る。その途中にナタリアちゃんがノラと別れの挨拶をしていて、泣きそうな顔をしているのが見えた。ノラ、いつの間にナタリアちゃんと仲良くなったんだ?というか、お前はいつからそこに居たんだ。準備をミリアに任せっきりだろ。

 ノラに言いたいこともあるが、今は急がねばならない。俺たちは宿を飛び出し馬車が止まっている北門まで走った。


 しばらく走っていると北門が見え来た。そして、そこに止まっている馬車も見えて来た。馬車は多くの人が乗れるように座る椅子のような場所があるだけで、屋根はない。これ、雨の時どうするんだ?もしかして、動かないのか?

 よく見ると、その馬車には既に御者が手綱を握っており、すぐにでも出発してしまいそうな雰囲気だった。


「ノラ、ミリア、ニア、急ぐ。俺に掴まれ!」

「はいですよ」

「分かりました」

「ん」


 俺は全力で走るために3人を担ぐことにした。ノラは右腕で、ミリアは左腕で担ぎ、ニアは俺の胴に前の方からしがみ付いてもらう。そして、俺のも含め4人分のバックを背負い全力で踏み込んだ。

 さっきから遠くに見えていた馬車が見る見るうちに近付いた。しかし、あと少しというところで馬車が進み始めてしまった。


「くっそ!ノラ、まずはお前からだ!」

「へ?きゃぁぁぁ!!」

「次、ミリア!」

「ご、ご主人様待っ、いやぁぁぁ!!」

「最後だ、ニア!」

「ん!」


 俺は進みだしてしまった馬車に向けて3人を投げた。安心してほしい。少し高めに投げたが、そのあとに荷物を3人の落下地点にバックを投げておいた。これで、落ちても大丈夫だろう……たぶん。

 3人とバックを全て投げ終えた俺は足に体中の力を集め、思いっきりジャンプをした。だが、これは失敗だった。あまりにも高く飛び過ぎたのだ。


「ぁぁぁぁああああ!!」


ドガァァァン


 馬車に無事……ではないが着地。大きな音は出たがそこまでの被害は出てない。ノラ達がひっくり返っているが、なんの問題もないだろう。

 御者の方は凄く驚いていたが、謝ったら許してくれた。良かったぁ、御者の方が優しくて。


「いやぁ、驚きました。流石は師匠、他の人にはできないことを平然とやってのける。そこに痺れる!憧れるぅ!!」

「……何でお前がいるの」

「え?だって、俺も行くって言いましたよ?覚えてませんか?」

「聞いたし覚えてる。俺が聞いたのは、いつの間に馬車に乗ってたんだってことだ」

「それは師匠と朝のご挨拶をした後、直ぐにですが?」


 こいつ、自分だけ先に馬車にのってやがったのか。ムカつくな。目的地まで着いたら絶対に部屋は別にして金も払わせてやろう。

 その後、俺たちはのんびりと馬車に揺られて目的地に着くまで待っていた。ちなみに、席順は俺の左に馬鹿野郎、右にニアで、正面にノラとミリアだ。


「そういえば師匠、俺この馬車の行き先知らないんですけど。どこに向かってるんですか?」

「あぁ?それはな――」

「ユウト様、敵」

「っと、この話は後だ」


 相変わらずニアは敵の気配?を察知するのが得意だな。どんなスキルか気になる。是非ともほしいスキルだな。いや、もしかしたらスキルではなくニア本来の力かもしれないが……。


「さて、数は?」

「……2、右から来る」

「ミリア」

「はい」


 俺が名前を呼ぶとミリアは全てを悟ったかのように立ち上がり、ニアの言った方向を見つめた。すると、少し遠くの方から狼のような奴が2匹、こちらに走ってくるのが見えた。

 それを確認したミリアは右手を突き出し魔法の詠唱を始めた。


「氷の矢となりて、私の敵を討て。《アイス・アロー》」


 右手から放たれた氷の矢は狼を1匹仕留めはしたものの、もう1匹には避けられてしまった。だが、これで終わりではない。


「《ホーミング》」


 ミリアは突き出していた右手の人差し指をまるで指揮棒を振るかのようにくねくねと動かし始めた。すると、さっきまで真っ直ぐ飛んでいただけの氷の矢はミリアの指の動きとまったく同じ動きをし始め、見事狼に命中した。


「お疲れミリア」

「いえ、ご主人様のためですから」


 そう言いながらミリアは微笑んだ。ホントに笑うようになったな、ミリアは。そんな顔をされるとお兄さんドキドキが止まらないよ。

 俺がミリアの笑顔に心奪われていると右側から引っ張られる感覚が……。見てみるとニアが俺の外套を摘まんでいた。


「ユウト様、私も褒めて」

「ん?あぁ、よくやったなニア。お前のおかげで敵を事前に発見できた。偉いぞ」

「撫でて」

「お、おう……偉いぞ~」

「ん……」


 俺はニアの言われるがままに頭を撫でてやった。撫でられているニアは気持ちよさそうに目を細めている。こいつ、犬?いや、猫かな?

 そんなことを思っていると、前から殺気!と思って見てみると、そこには禍々しいオーラを放つミリアがいた。


「み、ミリア?どうしたんだ?」

「……別に、何でもありません」

「?」


 そう言うとミリアは横を向いてしまった。本当にどうしたのだろう。俺が何かをしてしまったのだろうか。覚えはないが、自覚がないだけかもしれない。

 ちなみに、ノラは爆睡中である。しかも、座りながら頭を揺らして寝ている。正直、この寝顔を見ているだけで時間が潰せそうだ。だが、ノラばかり見つめているとミリアとニアが怖いので止めておこう。


「お見事ですねーミリアさんは……。っと、それよりもさっきの教えてくださいよ!」

「さっきの?何、それ」

「だーかーらー、目的地ですよ!目的地」

「あぁ、そういえば行ってなかったな」

「そうですよー。教えてくださいよ」

「分かった。分かったから近付くな!」


 俺は今にも「私気になります」とか言い出しそうな馬鹿野郎を引き剥がし、心を落ち着かせる。というか、コイツは何で目的地も知らずに俺たちに付いて来たんだ?もしかして、本気で俺の弟子になろうとしているのか?そうだとしたら迷惑な話だ。


「それで、どこに行くつもりなんですか?」

「あぁ、それはな……王都だ」

「あ、俺の実家があるとこですね」

「……えぇ!!??」

新しい魔法、《ホーミング》でした。はい、地味ですよね。


次回は王都に着きます。近いので仕方ないですね。


それでは、お楽しみに~。

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