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第16話 受付のお姉さんとデイトしよう!

どうも話のストックが完全に切れた初心者Pです。


今回の話を書いて投稿したのは同じ日であります。


それと、前回で察しがついていると思いますが、今回はお姉さんとデイトします。


さて、ユウトの初デイトは成功か失敗か……第16話どうぞ~。

第16話 受付のお姉さんとデイトしよう!


 村から逃げかえってきた俺は真っすぐギルドへ向かい、依頼を受けた人のところへ走った。それはもう走った。

 ギルドの受付に着いた瞬間に依頼の報告をして、報酬をもらおうとした。しかし、それは叶わなかった。


「まだあなたは依頼を受けたことになっていません。なので、報酬は差し上げられませんね」

「なん……だと」


 まさかの急ぎ過ぎて依頼を受けていないことになっていたらしい。ナンテコッタイ、策士策に溺れるとはこのことか……いや、違うか。ただ単に過ちを犯しただけでした。まず、策なんて考えてなかったしね。

 俺が頭を抱えて唸っていると、受付の奥からお姉さんが出て来た。


「ユウトさん、帰ってたんですね。おかえりなさい。……どうしました?」

「あ、お姉さん。もしかして、もうお昼休みですか?」

「はい、そうですが」

「ガッデム!!!」

「ど、どうしました?」


 受付を両手で叩き怒りを体で表現する俺に、お姉さんは困惑した表情で聞いて来た。

 やめて、俺のライフはもう……あ、そういえば俺の今のステータスってどうなってるんだろう。オークを倒してレベルは上がってるのだろうか。

 って、そんなこと今はどうでもいいでしょう!?俺ってホント優柔不断だな!


「じ、実は……」


 俺は受付のお姉さんに全てを話した。依頼を受けたつもりでいたこと、オークと戦ったこと、依頼を完了したと思ったら実は依頼を受けていないことになっていたこと……。

 話を聞いたお姉さんは「うーん」と呟きながら考え事をし、何かを俺が依頼を受けた受付の人に話し始めた。


「え?でも、それでは規定が……」

「大丈夫です。その時は私が……」

「……分かりました。それでいいでしょう。それにしても、そこまでこの子がお気に入りに?」

「もう!そんなんじゃありません!!」

「お、お姉さん?どうしました?」

「い、いえ。なんでもありません」

「クスクス」


 何かを話し合っていたと思ったら、お姉さんが大きな声を上げた。驚きはしたものの、お姉さんはすぐに顔を赤くして恥ずかしがっているのを見てなんか和んだ。

 お姉さんと話していた人はクスクスと笑っているのに気づかれ、頭を叩かれていた。


「ユウト様、それでは報酬をお支払いいたします」

「え!?い、いいんですか?」

「はい、このお姉さんが許してくれるらしいですよ。クスクス……ァイタッ」


 あ、また叩かれた。そんなことより、まさかお姉さんが助けてくれた。ありがたい……けど、デイトに使うお金をお姉さんが出してくれたのと同じ気分になりそうだ。

 しかし、ここで挫けないのがオレクオリティ。お金はあらかじめ用意しておかなかった俺が悪いので、もう気にしない。男の見せ場は金だけじゃない!デイト中にエスコートをするのも、男が輝く時だ!!


「それでは、こちらが報酬の10万コルになります」

「ありがとうございます」


 俺は金貨1枚を受け取り、ウキウキ気分でポケットに入れた。余談だが、この外套には内ポケットというものがあり、とても有効活用させていただいています。ありがとう、サリー。

 報酬を受け取った俺は、さっそくお姉さんをお食事に誘おうとしたのだが……いない。


「あれ?お姉さん?」

「あぁ、彼女なら今さっき奥に行ってしまったよ」

「えぇ!?」

「ふふっ……あの顔、まったく乙女だねぇ」

「何か言いましたか?」


 受付の人が最後に何か言った気がするが、あまりのショックに聞いてなかった。というか、この人はお姉さんと友達なのだろうか。そうだとしたら、羨ましい限りである。俺なんて友達にすらなれてないのに……。

 っと、嫌な方向に気持ちが傾きそうだ。落ち着け、落ち着くんだユウト。まだ断られたと決まったわけではない。きっとアレだ、お手洗いだ。うん、そうに違いない。


 俺が現実と向き合うことをやめていると、受付の奥からお姉さんが返ってきた。俺はあまりの安堵に「はぁ~」っと息を漏らした。あ、受付の人に笑われた。

 そんなことを思いながらもう一度お姉さんに視線を向ける。すると、今さっき会った時の恰好と違うことに気が付いた。

 お姉さんは冒険者ギルドのギルド員で、いつもは制服なのだが今は私服!!完全に私服だ。服なんて知らないし、名前も分からないが大きく違うのはスカート!制服だとズボンになってしまうのだが、私服はスカートだ。


「お、おおお姉さん。どっどど、どうしました!」

「え、えぇっと。せっかくお誘いいただいたので、ちゃんとした格好がいいかと……思いまして」


 なんて気配りのできる人なんでしょう。お兄さん、あまりの嬉しさに鼻血が出そうだよ。あ、ただ単にお姉さんを見て鼻血が出そうなだけか……。

 鼻を押さえて必死に耐える俺、顔を少し赤くして恥ずかしがるお姉さん、笑っているのにバレて叩かれている受付の人。そんな良く分からない状況だが、お姉さんとのデイトがこの時始まった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 受付の人をお姉さんがしばいた後、ギルドを出てどこかで食事をしよう。と、思ったが俺はこの辺りで食事できる場所なんて知らないし、どうしたものか。

 そこで俺はあることを閃いた。ここは、お姉さん行きつけの店を聞いてそこにしよう。そこで、俺が奢れば問題ナシ。よし、これでいこう。


「お姉さんはいつもどこで食事をしてるんですか?」

「えーと、『満腹亭』と言う所です。あそこは安くておいしいですし、ボリュームも申し分なしですよ」

「へぇ、じゃあそこにしましょうか」

「そうですね」


 お姉さんに案内してもらうのはちょっとあれだが、この際仕方ない。ウロウロ探すよりかは、まだマシだ。

 お姉さんが俺の右斜め前を歩き、俺はそのあとを追う形となった。

 しばらく歩くと、豪華とは程遠い見た目のまさに庶民的な食事処に着いた。そこの看板には、大きく満腹亭と書いてあった。


「ここです。入りましょうか」

「はい」


 満腹亭へと入ると、どこにでもあるようなテーブルにイス、カウンターには客がびっしりだ。開いているテーブルを探して店の中を歩くと、店員らしき人が話しかけて来た。


「あれ、いらっしゃい。まさかあなたが男連れとはねぇ」

「そ、そんなんじゃないわよ。それより、席へ案内してちょうだい」

「はいはい、どうぞこちらへ」


 店員のお姉さんに促され、開いてるテーブルにお姉さんと一緒に座る。そして、メニューを渡され、俺はそれに目を落とした。


「ふむ、グリズリー定食にウルフステーキ。ん!?オーク丼ってうまいのか?」


 まさかついさっきまで戦っていた相手がメニューに載っているとは、この世界はオークまで食べるのか。あの常時発情している奴らを食うのか。ちょっと引くわ。

 そんなことを考えていると、お姉さんが注文をした。


「じゃあ、オーク丼お願い。あ、油は少な目で。それと飲み物はハーブティー」

「はい、オーク丼油少な目とハーブティーね。それで、そちらの彼氏さんは?」

「か、彼氏じゃないって言ってるでしょ!」

「え、えーと……じゃあ、同じので。あ、別に油は少なくなくて大丈夫です」

「はーいオーク丼油少な目一つに油少なくないの一つハーブティー二つですね」


 注文を繰り返した店員さんはそのままカウンターの奥へと入っていった。注文を聞いていた俺は一人、ボーっとしていた。

 なんの呪文だよそれ。一呼吸も置かずに言い切ったぞこの人。っていうか、別に言う必要なくね?油の量は。正直何言ってるか分からないんだけど。

 

 料理を待っている間、お姉さんと軽く話をしていた。


「お姉さんはどうしてギルドで働こうと思ったんですか?」

「え?うーん、最初は冒険者を目指してたんです。まぁ、なりましたけど。で、ある依頼で自分の限界を知ったと言うか……。それで、冒険者ではないく冒険者を支えるものになりたいと思ったんです」

「へ、へぇ。それは、凄いですね」


 予想以上に重いというか、しっかりとした理由でコメントしにくい。なんとなく、とかだったら笑い話にできたけど、これはちょっと……。

 し、仕方ない。話題を変えよう。


「お姉さんって何年働いてるんですか?」

「うーんと、もう10年近くなりますかね」

「え?それじゃあ……(結構歳をとってらっしゃる?)」

「今、何か考えましたね?ユウトさん」

「うぇ!?い、いや、ギルドで10年も冒険者を支えてくれてありがたいなーと」

「……それならいいですけど」


 今さっき、お姉さんの後ろに般若が見えたような……いや、気のせいか。だって、般若はお姉さんだもの。

 やばい、また話題を変えねば。何かないか、何かないか……あ、一番大切なのがあったじゃないか!


「お姉さん、名前を教えt「はーい!オーク丼とハーブティーお待たせ!!」……」

「ありがと。あ、ユウトさん何か言いました?」

「い、いえ……食べましょうか」

「そうですか?」


 くっそぉ、邪魔が入った。いや、料理が運ばれてくるのは悪くないんだよ。悪いのはタイミングだよ。

 落ち着け、まだチャンスはある。ここはオーク丼でも食べてリラック……


「なんじゃこりゃあ!?うめぇぇ!!」

「へぇ!?び、ビックリしたぁ……」

「オークってこんなにうまいんですか!?」

「ユウトさんはオーク食べたことなかったんですね。不思議な人……」


 なんだこの肉!あ、オーク肉か。オークってこんなにうまいのか。味はなんというか、豚に似ているけどちょっと違う気がする。

 俺がオーク丼に感動し過ぎて時間がいつの間にか結構経ってしまった。


「あ、えーと、お姉さん。あとどれくらい休憩時間ありますかね?」

「うーん……あと、10分ですね」

「シット!!!」


 なんてことだ。本来の目的を見失ってしまった。オーク丼、恐るべし。いや、俺が全面的に悪いよ。それは認める。だが、オーク丼という強力な伏兵がいたこt(割愛)

 そんなことより、ここの代金は俺が払うとしてどうする。時間は10分ない。く、仕方ない。次に繋げるために、名前を聞いておかねば。

 俺は意を決してお姉さんに名前を聞こうとした。だが……


「お姉さん、名前を「ガシャーーーン!!」……へ?」


 店の中で大きな音がした。俺の後ろだ。何かと思い振り向いてみると、酔っぱらった男が暴れているのが見えた。

 ふむ、またタイミングが悪いな。面倒くさいが、さっさと黙らしてお姉さんの名前を聞こうか。


「おいそこの男!暴れるなら自宅か街の外でしろ」

「あ?なんだガキが、調子乗ってんじゃねぇぞ!!」


 男が殴りかかってきた。面倒くさいな。俺はな、俺はお姉さんの名前を聞かないといけないんだ。

 俺は男の拳を避けて腹に一発食らわせてやる。しかし、それで倒れてくれない男。


「いてぇなぁ。ったくよ、酔いが醒めちまったぜ」

「あれ?気絶してくれないの?」

「ハッ、そんなパンチで気絶できるかよ!」

「アベシッ」


 まさかの酔っ払い男のカウンターを食らってしまった。それは予想以上に強く、店の扉をぶち破って外へと出てしまった。

 痛がりながら起き上がる俺を、男は半笑いで見下しながらどこかへと歩いて行ってしまった。男は去り際に「悪くないパンチだった」と言った。


「ムカツク……あ、お姉さんは!」


 俺は男にムカツキながらも、お姉さんのことを思い出し急いで店に入る。店に入った俺は店内を見渡し、お姉さんを探した。しかし、お姉さんが見当たらない。

 嫌な予感がした俺はあの店員さんに聞いてみた。


「え?もう行っちゃったよ?仕事の時間だしね。あ、それとお代はもうもらったから大丈夫だよ」


 ……やっちまった。完全にやらかした。名前を聞けなかったのは仕方がないとして、金まで出してもらうなんて……もう駄目だ、お終いだぁ。


 この日俺は、人生初のデイトを完璧なまでに失敗させ……宿へと帰った。


 過去は振り返らない。次は失敗しないように今だけ落ち込もう。……はぁ、やっちまったなぁ。

いかがでしたか?


お姉さんとのデイトは完全に失敗してしまいましたね。


しかも、名前すら聞けませんでした……残念!


ですが、そんな悲しみを胸に次回も誰かと何かする。


お楽しみに~。

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