第二章・第二話
国会議事堂待合室―
「ははは・・・もう逃げ道は無い。敵討ちをさせてもらうぜ・・・うおっと!」
「うぐぁっ!」
兵士が構えている銃が火を噴き、岩代が後ろに飛ぶように倒れた。
持っていたらしいナイフや、先程殺した兵士から奪った装備品が飛び散る。
「油断ならない奴だ。ナイフを持ってやがるとはな・・・」
どうやら岩代がナイフを投げようとしたところの手首を撃ったようだ。
「じゃあ、まず厄介なあんたから死んでもらうか。」
「ふぁ・・・何?」
後ろで寝ぼけた声がする・・・高波だ。
「何だ?お前は?!」
「うひゃああああ!ぼっ、僕は別に怪しいものじゃないです、はい!
だから殺さないでぇぇぇぇぇぇっ!」
「・・・俺、お前みたいな奴一番嫌いなんだよなー・・・殺してやるよ。」
「そんな、そんなの嫌だぁぁぁ!」
俺、つまり福山としては、高波は死んでも別段かまわないのだが。
「う、動くなぁ!動けば、撃ちますよ!」
振り向くと後ろで岩代が落としたライフルを構えて兵士に銃口を向けている。
「ふん、撃てる訳がない。ほら、撃ってみろよ?」
「だ、だから動くなと・・・」
「無駄無駄。」
兵士は銃をはなし、紐で肩にかけた状態でこちらに歩いてくる。
カシャッ・・・
秋葉が引き金を引く。だが出てきたのは引いた音だけで、轟音も、弾もでなかった。
「な、何で?!」
「馬鹿だなー日本の学生は・・・」
「秋葉さん、持ち手の上の棒を引っ張って!」
「え?!わ、わかった!」
秋葉がなにやら触っている。
「ま、待てぇ!!!」
兵士は必死の形相で肩にかけた銃を構えようとするが、完全に動揺して銃を落としてしまった。
「棒が動いたら、撃って!」
岩代が叫ぶ。
「うんっ!」
途端、部屋中に轟音が響き、兵士は血の霧に包まれた。
「や、やった・・・」
何故か秋葉まで後ろに倒れている。
「す、凄い反動・・・」
「馬鹿、引きすぎ。」
岩代の冷静な突っ込み(?)が入る。
「助かった・・・でも、私は人を殺してしまった・・・」
秋葉は絶望だと言う顔に変わる。
「殺らないと、殺られる。それならあなたは自衛か、自己犠牲か、どっちを選ぶの?」
岩代の声が、妙に静かな部屋に響いた・・・