報告
「何！？シカバーネが盗賊に襲われて死んだだと！？」
シュウから、奴隷商のシカバーネが死んだと聞かされた警備兵が、
驚きの表情と共に、そう言った。
「はい、俺と弟で救助に駆け付けたのですが、
残念ながら、もう既にお亡くなりになられてました。」
「お前たちの仕業では無いと、証明出来るものが何かあるか？」
「はい、馬車の中には捕えた盗賊共が詰め込んでありますし、
俺と一緒に御者台に座って居る、この２人は馬車の中に居たために助かった
シカバーネさんが運んでいた奴隷だったので、生き証人となってくれます。」
「君達、彼の言ってる事に相違は無いか？」
「はい、間違い御座いません、
馬車の中には、シカバーネ様を殺した盗賊達が乗せてありますし、
私達は、シカバーネ様がお亡くなりになるまで、
あの方の仮登録された奴隷でありました。」
「シュウ兄ちゃんと、ケン兄ちゃんが、
僕と、お姉ちゃんを助けてくれたんだよ」
「ふむ、どうやら嘘を告げている表情では無いようだな・・・
そう言えば、シカバーネは街を出る時に、
冒険者の護衛達を付けていたと思うんだが、彼らは？」
「はい、シカバーネさんと共に殺されてしまいました。
御遺体は、シカバーネさんと一緒に荼毘に付して来ましたが、
装備品などは回収して来ていますので、
ご遺族の方々がいらっしゃれば、御遺品としてお渡ししたいと思います。」
「確か彼らも、シカバーネと同じく、
この街で生まれ育った者ばかりだと思ったが、良いのか？
こういった場合に入手した品物は全部、君達の物にしても構わないのだぞ？」
「はい、俺達には盗賊達の装備品や馬がありますので、
この馬車や御遺品などは皆、ご遺族や関係者の方々にお返ししたいと思います。」
「ほう、それは、なかなか見上げた心がけだな、
まあ、君達には、取り調べた後に犯罪奴隷として鉱山送りになるであろう
盗賊共の売上金も支払われるだろうから、損はしないだろうがな」
「はい、そう思います。
ただ、この子達なんですが、縁あって俺達で引き取ろうかと思いますんで、
その辺の、手続きなどを如何すれば良いのかを、お聞きしたいのですが・・・」
「まあ、装備品などと一緒で所有者が亡くなった時点で、
犯罪行為などで無ければ第一発見者の物となるのだから、
そのまま、君達の奴隷としても構わないのだが、
気になるのであれば、この街にシカバーネの弟が居るから話して見れば良かろう」
「シカバーネさんには、弟さんがいらっしゃるんですか？」
「ああ、兄と共に、この街で奴隷商を営んでおるぞ」
「そうですか、では、お店の方に伺ってでも、
お話してこようかと思います。」
「うむ、それが良かろう。
ではまず、その前に盗賊共の受け取りをするから、
門を入って右側にある、詰所の方へと馬車を回してくれるか？
後ろの魔導車は、入って左側の駐車場に停める様にしてくれ」
「はい、分かりました。
ラビ子、今お聞きした様に門を入って右側だそうだ、
お～い！ケン、トラウスを門を入って左側の駐車場に停めてくれや！」
シュウは、ラビ子とケンに其々の指示を与えた。
