罪と罰(ツミとバツ)
「なる程、分かりました。
取り調べは以上で終了となりますので、お引き取りになられて結構ですよ、
後日また何か、御確認をお願いする事もあるかと存じますので、
その時はご協力をお願い申し上げます。」
「はい、分かりましたわ、お世話様です。
シュウ君とケン君も、それで大丈夫よね?」
「ああ、まだ教会の修繕に暫く掛かるから、
その間は、この街に留まる事になるぜ、
何か用事があったら教会で寝泊りしてるから、そっちに連絡くれや」
「宜しくお願いします。」
ケンが、商業ギルドのミコチャと、街の警備兵らを連れて戻った当初、
立木や石畳に、大きな釘で縫い止められている男達の中に、
この街の領主であるアポペンと懇意にしている、
オーストリッチ・マウス教団の幹部が数名見受けられた為、
警備兵たちが色めきたった場面もあったが、
ミコチャより、教団の幹部連中は領主のアポペンから、
シュウ達へ関わる事を禁じられている筈だから確認してくれとの要請を受け、
その確認が取れたので事無きを得た。
ミコチャは、その後の警備本部での取り調べまでシュウ達に同行して、
今回の騒動の顛末を語るシュウ達のオブザーバーを務めたのであった。
「大変な目に遭ったわね、シュウ君、ケン君」
警備本部からの帰りの道すがら、シュウとケンに向かって、
ミコチャが、そう話し掛ける。
ちなみに、警備本部での取り調べがあると聞いたミコチャが、
終わるのは遅い時間になると推察して、
コウヤサン教会の方に、シュウとケンは街で急用が出来たので、
そちらには、帰れなくなったとの使いを出しておいたので、
現在、一行は商業ギルドで手配をした宿へと向かっていた。
「ああ・・・まあ、どちらかと言えば大変な目に遭ったのはヤツラの方だったんだがな、
ミコチャさんにも、色々と面倒掛けて済まなかったな」
「僕達に御協力を頂きまして、ありがとう御座いました。」
「あら良いのよ、シュウ君達は大事なビジネス・パートナーですからね、
君達に何かあったら、私も困る事になるんだから協力するのは当たり前よ」
口では、そう言うミコチャであったが、
街の街路灯に照らし出される頬が赤らんでいる事から、
照れ隠しで、そう言っている事は明白であった。
「あの連中も、今回はタダでは済まないだろうな」
「領主様の言い付けを破ったんだもんね」
「ええ、警備兵の方からの御連絡を聞かれて大層な、
ご立腹をされて居られたとの事ですから、
恐らくは皆、鉱山送りになるんじゃ無いかしら?」
「その鉱山送りってのは、割と厳しい罰なのか?」
「まあ、名前からしても相当、厳しそうだよね」




