金棒(かなぼう)
「この辺りで鉱山送りと言えば、魔鋼が採掘される鉱山になるのよ、
魔鋼は他の金属と比べて、とても深い地層から出る上に、
周囲の土や岩なんかが強く魔力を帯びているものだから、
魔獣が寄って来易いのよね、体力がある用心棒たちは兎も角、
オーストリッチ・マウス教団の幹部連中は生きて出て来られないでしょうね」
「まあ、平気で俺達の腕を用心棒共に切り落とさせようとしてたヤツらだからな、
これまでにも、教団の傘に隠れて、碌でも無い事をして来たに違いないぜ、
これが、俗に言う自業自得ってやつだな」
「うん、あの用心棒たちの剣筋には乱れが無かったから、
これまでにも、同じ様な事をしてたと思うよ」
「そうね、彼らは自分達が犯した罪を償えるし、
私達、商業ギルドは魔鋼の生産量が増えるんだから良い事づくめよね」
「そう言えば、連中が使ってた剣も魔鋼製とか言ってたんだが、
剣の素材としては優れた材料なのか?」
「僕が木刀で打った感じでは分からなかったけどね」
「ええ、魔鋼は普通の鋼と比べると、
とても魔力を通し易い性質をもっているのよ、
そして、剣に魔力を通すと切れ味や強度が増すと聞いているわね、
連中の剣が普通に感じたのは、見た目が子供のケン君に油断した連中が、
碌に剣に魔力を通さないで掛かって来たからだと思うわよ」
「そうだな、アイツらは木刀を持ったケンを鼻で笑ってたからな」
「うん、身体強化も使って無かったしね」
「所詮は冒険者崩れの半端者達だったって事よ、
プロの用心棒だったら、例え相手が子供でも最初から油断したりはしないもの」
「まあ、俺達としたら制圧が楽だったから良かったけどな、
しかし、今後も、そんな武器を持った敵が現れる事を鑑みると、
ケンの木刀も強化を図った方が良いのかな?」
「木刀を魔鋼でコーティングするとか?」
「ケン君が持つ武器を剣に換える訳には行かないの?」
「ああ、いよいよとなったら、それも考えなければならないと思うけど、
ケンは、なるべく敵といえども傷を負わせたく無いみたいだし、
武器の性能に余程の差が無ければ、
木刀でも敵を無力化できるだけの実力を十分に有してるしな」
「一応、魔導リュックの中には鉄剣も入れてあるんですよ」
「そうなの・・・そう言う事なら、
シュウ君達は資金的な余裕もある事だし、
木刀にコーティングするのは黒魔鋼にした方が良いわね」
「黒魔鋼ってのもあるのか?」
「それって、魔鋼より優れた素材って事なんですか?」
「ええ、希少な素材だから、
値段も魔鋼の何十倍も掛かるけど、その分、効果は何百倍もあるらしいわよ、
木刀の表面にコーティングするだけなら、それ程の量は必要としない筈だし、
それこそ、剣の達人のケン君が使えば、まさしく『鬼に金棒』ね」
「へ~、そりゃ確かに良さそうな素材だな、
ミコチャさんの所のギルドで手に入るなら、
ケンの木刀に間に合いそうな量を手配してくれるか?」
「お願いします。」




