お・ま・え・は・バ・カ・か!?
「それでは、今回の『水』に関する流通や販売は『何でも屋ゴールデン』へ、
そして、その売り上げや税金に対する管理は、
我が商業ギルドへの委託という事で宜しいでしょうか?
勿論、御領主様への定期的なご報告や、
シュウ様、ケン様が移動先の街の商業ギルドでの御確認が出来る様にも、
当ギルドにて手配をさせて頂きます。」
「うむ、私はそれで構わんぞ」
「俺達も、それで良いよな?」
「うん、シュウ兄ィ」
「それでは、これにて『水』に関する話し合いを終了とさせて頂きます。
皆様、御協力を頂きまして、ありがとう御座いました。」
「うむ、では私は帰るとするか、
シュウ殿、ケン殿、今後も宜しく頼むぞ、
それから、ミコチャの商業ギルドには『水』の販売がスムーズに進む様に頼む、
では、これにて失礼する。」
アナポーの街の領主アポペンは、
シュウ達に、そう告げると商業ギルドの会議室を後にした。
「お、お待ち下さいませ!アポペン様!」
「何卒、今一度の御再考を!」
「この『水』の持つ価値を御理解下さいませ!」
会議室を出たアポペンの後を、その取り巻き達が慌てて追いかけて行った。
「ふ~、何とか無事に話し合いが終えられましたね、
それにしても、我が国の国家元首様とのホットラインを持つ、
御2人の主と仰る方が気になりますね・・・?」
「ミコチャ、『好奇心ネコを殺す』って知ってるか?」
「好奇心が強過ぎたネコが深入りして命を落としちゃったって事だよね、
この世界にも、格言みたいなのってあるのかな?」
「その言葉は聞いた事が御座いませんが、
似た様な意味の言葉で『間違えて覗いたピーピング・モンキーが、
マウンテン・アッコにくびき殺される』というのが御座いますね、
私とした事が失礼しました
お客様のプライバシーを詮索しない事が、
当商業ギルドの決まりで御座いました。」
「何なの!?その怖い格言みたいなの」
「どっちも見た事が無い魔獣なのに、何故か絵図らが浮かんでくるよね」
『水』に関する問題を解決したシュウとケンは、
今後の行動方針への参考とする為に、
調べれば、日本に帰る方法の、
何らかの手掛かりが掴めるんじゃ無いかと考えている、大きな図書館がある場所や、
美味しい名物がある街や村などの情報をミコチャに尋ねていた為、
商業ギルドの建物を出た頃には、すっかり陽が落ちて、
既に街の魔導街路灯には灯が灯された後であった。
「すっかり暗くなっちまったな」
「シュウ兄ィが、美味しい名物がある街や村の事をギルドの職員の人や、
偶々ギルドを訪れていた商人の人達に聞きまくってたからだよ」
「お前だって美味しいものは好きだろ?」
「それは、そうなんだけどさ~」
商業ギルドなどがある街の中心部は兎も角、
中心部から外れた場所に建つコウヤサン教会へと近づくに従って、
魔導街路灯は段々と、その数を減らして行き、
それに伴い周囲は、その暗さを色濃くして来ている・・・
「ケン、気付いてるか?」
「うん、商業ギルドを出てからずっとだよね?」
「ああ、一応は間違いって事もあるかも知れないから様子をみてたんだが、
こんな街外れまでって事になりゃ、俺達を附けて来てるって事で間違い無いよな」
「うん、僕もそうだと思うよ」
「そんじゃ、教会まで附いて来られても困るんで、
この辺で、俺達にどんな用があるのかを聞いてみるとするか」




