開演(かいえん)
「シュウ様、ケン様ご足労をありがとう御座います。
まずは、あちらの席へと着いて頂けますか?」
シュウ達の到着に気付いたミコチャが、2人に着席を促した。
会議室の中には机がカタカナのコの字に置かれて居り、
シュウとケンは、領主と取り巻きらの正面の席へと案内されて、
進行役を務める商業ギルドのミコチャと、書記役らしい男性は、
コの字の背中の部分の席へと着く様であった。
「おう!じゃあ失礼するぜ」
「失礼します。」
シュウは軽く、ケンは深々と領主らの方にお辞儀をすると、
其々が席に着いた。
「小僧!御領主様に失礼であろう!」
「ふん!礼儀も知らぬ若造めが!」
どうやら、シュウの態度を領主の取り巻き達は気に入らなかった様である
「そりゃ、すいませんね~
俺は、他の国から来たもんで、
その御領主様とやらが、どんだけ偉いのかを知らなかったもんで~」
「シュウ兄ィ、程々にね・・・」
「何だと若造!」
「貴様、我が国の事を愚弄して居るのか!」
「御双方様ともお静かに願います!
シュウ様も無用な挑発行為はお控え下さいませ」
無用な衝突を回避するべくミコチャが発言をした。
「へいへい」
「ぐうっ!」
「ぐぬぬぬっ!」
そのシュウの態度が、また気に障った様でったが、
今回は我慢した様である
「では、早速ですが話し合いを始めさせて頂きたいと思います。
申し遅れましたが、私は今回の話し合いの進行役を、
務めさせて頂く事となりました当商業ギルドの職員である、
オセンミコチャと申し上げます。
本日、お集まりの皆様には速やかな話し合いの御協力を、
お願い申し上げたいと存じます。
尚、本日の話し合いの御内容は私の隣に居ります
当ギルド書記官チャンプルが書き留めるのみで、
この会議室には防聴消音結界が施されて居りますので、
外部へと情報が漏れ出す心配は御座いませんのでご安心下さいませ。
では、まずは話し合いを始める前に、
私の方から御双方様のご紹介を簡単にさせて頂く事とします。
あちらの席へと着かれて居られる方々は、中央に座られた
ここ、アナポーの街の御領主様で在られます『アポペン・アナポー』様と、
その他大勢の皆様方です。」
「うむ、善きに計らえ」
「「「「「おい!」」」」」
「そして、こちら側の席に着かれて居られるのが、
コウヤサン教会の土地建物を御購入された方の代理人である、
シュウ様、ケン様の御兄弟です。」
「うむ、苦しゅう無いぞ」
「宜しくお願いします。」
「ぐはっ!」
「ぐおおおっ!」
領主の取り巻き達は皆、
茹ダコの様に顔を赤くして腹を立てて居る様子である・・・
「では、ご紹介の方が終わりましたので、
話し合いの方に入らせて頂きたいと思います。」
そして、ミコチャの宣言にて、
漸く領主らとシュウ達の話し合いが幕を開けた。




