領主登場
シュウとケンの兄弟が、アナポーの街の商業ギルドにて、
コウヤサン教会の土地建物の契約を無事に終えてから、
1週間程の日数が経過している、
その間、シュウ達は連日コウヤサン教会の建物の修繕作業で汗水を流していた。
今日も何時もと同じ様に作業をもくもくと熟すシュウ達の元に、
教会の孤児院で暮らすタヌキ獣人の子供ポン吉がやってきて告げる、
「兄ちゃん達、商業ギルドからミコチャさんの使いって人が来てるんだけど、
領主様が今日の夕方、商業ギルドで兄ちゃん達と会いたいって言ってるんだってさ、
行けるって返事しといても良いかな?」
「いよいよ、お出でなすったか・・・
おう!ポン吉、夕方に伺うって返事しといてくれや」
「ミコチャさんに、宜しくって伝えてくれるように言っといてくれるかな」
「うん!分かった。そう言っとくよ!」
ポン吉は、2人にそう言うと商業ギルドの使いの者に、
返事を返しに戻って行った。
その姿を見送ってから、シュウが魔導リュックから魔導通信機を取り出しながら、
ケンに告げる、
「そんじゃ、俺達も陛下に一応の連絡を入れとくか・・・」
「そうだね、肝心な時に連絡が付かないと困るからね」
シュウが、魔導通信機を使ってコウガ王国の国王サスケに連絡を取った後、
切りの良い所まで作業を進めた2人は、
広い教会の敷地内の一部を使い新設した浴場で汗を流してから、
日が暮れて来るのを待ち商業ギルドへと向かった。
ちなみに、シュウとケンが新設した浴場は『総イヤシの木造り』で、
孤児院の子供達が一度に入れる様に、
男女の浴室ともに、大人でも30人程が入れる大きさとなっている、
建物および浴槽の材料となっている『イヤシの木』は、
アナポーの街から程近い森にて採れる、
日本の檜の様に香りが良く、水に強い材質を持った木なのであるが、
その幹は、とても堅く普通の工具では歯が立たない為、
この世界では薄く削り取って、お香の様な使い方をするのが一般的であるが、
魔導工具を持つシュウ達の前では、木材の堅さなどは問題では無く、
この世界では初と思われる『総イヤシの木造り』浴場の誕生と相俟った次第である。
2人が商業ギルドへと着くと、直ぐに先日契約を取り交わした会議室へと通され、
奥の席の中央にて腰を下ろしている、見るからに高そうな服に身を包んだ若者と、
その両脇に座る、取り巻きと思われる数人の男達、
そして、若者と男達を護衛する様に後ろに立ち睨みを利かせている、
見るからにガラの悪い形相をした用心棒たちと相見えた。




