大ヒット商品
「それで、この水を実際に商品として販売するとなりましたら、
何か販売の仕方などの、ご要望はありますでしょうか?」
「そうだな~・・・そうだ!
コウヤサン教会の信者や、恵まれない人とかには施しとして、
格安とか無料で配らせて貰っても良いか?」
「あ~、神父様とかが望みそうだよね」
「ええ、常識の範囲内でしたら問題ありませんよ」
「へ~、ミコチャさんなら『売り上げが落ちるからダメ!』とか、
言うかと思ったけど、意外と融通が利くんですね」
「利益を優先しそうな商業ギルドでも、
ボランティアへの理解はあるんだね」
「誰彼からも儲けを出そうという訳では御座いませんわ、
お金は持ってる者から吸い上げれば良いだけの事で御座いますから・・・」
「そうだな、不当に稼いで肥え太ってる金満家から貰えば、
貧しい人から取る必要が無くなるってもんだな」
「はい、人々の涙を吸い上げて肥大した豚から、
血の一滴まで吸い上げれば良いだけの事ですよ」
「「ふっふっふっ・・・」」
「シュウ兄ィもミコチャさんも笑顔が黒過ぎるよ」
「そう言えば、販売に当たりまして商品名などは如何いたしますか?」
「ああ、それなら俺が考えてあるんだけど、
『コウヤサン・ウォーター』で、お願い出来るかな?」
「シュウ兄ィらしいストレートなネーミングだね」
「分かり易くて良い名前ですね」
「それから、色々と便宜を図って貰ったミコチャさんに、
良い儲け話しのアイデアをプレゼントしたいんだけど、
聞いてみる気ある?」
「はい! シュウ様の発想には目を見張るものが見受けられますので、
是が非にでもお聞きしたいですね!」
「そんじゃ教えるけど、図に書いて説明した方が良いかな・・・」
シュウは、そう言いながら、
会議室の椅子に腰掛ける際に、背中から下して椅子の横に置いた
魔導リュックからノートと鉛筆を取り出した。
ちなみに、このノートと鉛筆は、
シュウ達の愛車『亜空トレウス』の荷台の謎空間にある家から持ち出した物である
「随分と真っ白で、正確な横線が引かれた紙と、
見慣れない筆記用具ですけど、
最近、マッスル王国からコウガ王国へと輸出される運びとなったと、
お聞きしている品物でしょうか?」
「流石に目敏いな、それとは別物だが、
まあ似た様な物だと考えれば良いと思うぞ、
これは、偶々手に入れたソレの試作品みたいなもんだな」
「そ、そうそう、一品物だよね」
シュウは、サスケ国王から、
マッスル王国の王が日本からの転生者だと聞いていたので、
紙と鉛筆の様な物を開発したのだろうと推測して、そう答え、
ケンが慌てて、それに追随した。
「なる程、試作品ですか・・・
そう言えば、御二人はコウガ王国の偉い方とお知り合いだと、
仰られて居られましたものね」
「ああ、そんなところだ、
まあ、この紙の事なんか如何でも良いんだよ、
今から、将来大ヒット間違いなしの商品を図に書いて説明するから、
その目と耳を集中して傾けるんだぞ」
「目は傾かないけどね」




