鑑定依頼
「ほう、流石に本職のお仕事は見事なものですな」
コウヤサン教会への、上り坂の脇に繁る竹藪から、
切り出して来た太めの竹を節で切って、
上部に飲み口となる丸い穴を開けて、
同じく竹を削り、その穴をピッタリと塞ぐ栓を、
手際よく作るシュウとケンを見て、ポキール神父は感嘆の声を上げた。
「ええ、大工仕事の師匠である親父から、
修行の一環として家具作りの他にも、
こういった小物を作る事もやらされていたんで、
俺もケンも慣れているんですよ」
「こういった竹細工も大分やらされたよね」
「その修行が今、こうして活かされているのですから、
お二人の、お父上の御指導は正しかったと言う事ですな」
「悔しいけど、確かに役立っていますね」
「今のところ、本職の大工仕事より活躍してるね」
「そんじゃ、ちょっと街の商業ギルドまで行って来ますね」
「申し訳ありませんが、教会の建物の修繕は戻ってからやりますので」
「はい、お二方とも宜しくお願いします。
それと、建物の修繕の方は特別急ぎませんので、
どうぞ、お二人のペースで進めて下さいませ。」
シュウとケンは、コウヤサン教会の門を出ると、
街の中心部へと向かう下り坂を下り、
昨日行ったばかりの商業ギルドへと向かった。
「こんちは~」
「こんにちはミコチャさん」
シュウ達は、商業ギルドの入り口のドアを開けて中に入り、
正面にある横長の受付カウンターに、昨日担当した受付嬢の顔を見付けたので、
そちらへと向かい声を掛けた。
「あら、いらっしゃいませ2千万ギ・・・ゲフンゲフン、
シュウ様、ケン様」
「今お前、俺達の事『2千万ギル』って呼ぼうとしただろ?」
「確かに、そう聞こえた様な気がしたよね」
「オホホホッ! な、何かのお間違いでは無い事じゃア~りませんか?
私が、お二方をその様に呼ぶ筈がありませんザマスのコトよ」
「ミコチャお前、言葉遣いが大分おかしくなってるぞ、
まあ良いや、先に済ませとかないと話が進まなそうだから、
ケン、お金の方を預けちゃうか」
「うん、そうだね」
2人は預金が記録されるギルドカードと白金貨を2枚取り出すと、
ミコチャへと差し出した。
「毎度あり~!・・・じゃなくて、
ご預金ありがとう御座います。
お二人の御口座に一千万ギルづつのご預金という事で、お宜しいでしょうか?」
「ああ、それで頼むよ」
「お願いします。」
「では、係の者に任せますので少々お待ち下さいませ。」
ミコチャは、シュウらのギルドカードと白金貨を持って、
受付カウンターの後ろにあるドアを開けると預金担当の職員へと、
作業を任せた。
「そんで、今日は他にお願いしたい事があるんだけど・・・」
「この中に入ってる液体の効能を鑑定して欲しいんです。」
受付カウンターへと戻ったミコチャに、シュウがそう告げ、
ケンが魔導リュックから竹筒の水筒を取り出して、
説明を交えながら差し出した。




