伝説の泉の由来(ゆらい)
「すいません神父さん、
俺達、田舎生まれの田舎育ちなもので、
一般的に知られてる事とかでも、知らない事が結構あるんですよ、
『トルドの泉』の伝説ってのも知らないんで教えて貰えますか?」
「お願いします。」
「ええ、それは全然構いませんよ、
先程も申し上げましたが『トルドの泉』というのは、
遥かな昔に、女神フェルナ様が造られた泉と言い伝えられていまして、
時にお二人は、この世界シエラザードが遠い昔、
今の様な5つの国ではなく一つの大きな国だった事をご存じですかな?」
「いいえ、知りませんでした。」
「そうだったんですか?」
「はい、この世界はスズキーダ王国という一つの巨大国家のみが存在して居り、
偉大なる賢王として史実にも名高い
『タナカ?・イヤ・スズキーダ国王陛下』によって、
平穏なる統治がなされていたと伝えられて居ります。」
「色々とツッコミどころが含まれている話ですが、
先を続けて下さい。」
「長きに渡りタナカ?国王陛下による穏やかな暮らしが続いて居りましたが、
その未来永劫に続くかと思われた平穏なる暮らしにも大きな影が差します。
それは、感染した者は、ほぼ100%の確率で死に至るという、
恐ろしい流行り病の流行でありました。
国中の治療魔法士や薬師が対策に当たりましたが、
一向にして治療の目途は立たず
あの賢王として知られたタナカ?国王でさえ、
『治療薬が無ければセー〇ガンを飲めば良いじゃん!』と謎の言葉を発する程に、
取り乱して居られたとの事です。」
「セーロ〇ンって・・・いや、俺はツッコまんぞ」
「それで、どうなったんですか?」
「うむ、治療の方法も見付からず、
人類は、ただ死を待つのみかと世界中の人々が悲観していたその時、
まさに、天の采配とも言えるタイミングで、
その泉が発見されたのです。」
「それが『トルドの泉』なんですね?」
「泉の水には、その流行り病を癒す効果があったんですか?」
「はい、最早治療は不可能と言われた病が、
その泉の水を飲む事によって完治する事が発見されたのです。」
「へ~、まさに起死回生の出来事ですね」
「まるで、神が起こした奇跡ですね」
「はい、その発見されたタイミングの良さなどもあって、
『トルドの泉』は、家族や愛する者を失い嘆き悲しむ人々を、
天界より見て、心を痛められた女神フェルナ様が流された涙が、
地に落ちて生まれたと言われたそうです。」
「あ~、何か、ありえそうな話ですもんね」
「人々が信じるには十分な内容の話だよね」




