商業ギルドにて・・・
「兄ちゃん達、商業ギルドはここだよ」
シュウらを案内していたポン吉が、建築業ギルドと同じく、
周囲の建物と比べると一際大きな建物の前で立ち止まると、
入り口のドアを開けて建物の中へと入って行った。
「ケン、俺達も行こうぜ」
「うん、シュウ兄ィ」
2人も、ポン吉に続いて建物内へと入って行った。
「受付カウンターが建築業ギルドより多いけど、
中の雰囲気は似たような感じだな・・・」
「そうだね」
商業ギルド内へと足を踏み入れたシュウらの目には、
横に長い受付カウンターの向こう側に腰掛けている、
大体20人程の受付嬢が客に対応しているのが見て取れた。
「兄ちゃん達、あそこに座ってる姉ちゃん達の誰かに言えば、
手続きとかをしてくれるよ」
「そうか、そんじゃ俺達で契約を済ませて来ちゃうから、
ポン吉は、あそこの長椅子にでも腰を下ろして待っててくれるか?」
「なるべく早く済ませて戻るからね」
「うん、分かった。」
シュウらに返事を返すと、ポン吉は入り口の横に置かれた
待合用らしき長椅子へと歩いて行って腰を下ろした。
「さて、そんじゃ行くか」
「うん、あそこの受付が空いてるみたいだよ」
2人は、応対中の客が居ない受付を見付ると、
そこへと向かって歩いて行った。
「すいませ~ん」
「お願いしま~す」
「いらっしゃいませ~!
当商業ギルドへとお出で頂きまして、ありがとう御座います。
私、本日の受付業務を担当して居ります『オセンミコチャ』と申します。
お呼び辛い様で御座いましたら『ハイサイ』と略してお呼び下さいませ」
「『オセンミコチャ』が、どこにも入って無いだろ!」
「全然、省略になって無いよね」
「失礼しました間違えました。
略して『ミコチャ』と、お呼び下さいませ」
「どこをどう間違えると『ミコチャ』と『ハイサイ』を間違えるんだよ・・・」
「ホントだよね」
「それで、お客様方は本日、
どの様な御用件で当商業ギルドへとご足労を頂いたのでしょうか?」
「流石に客商売に慣れた商業ギルドだけあって、
俺達みたいな若造でも丁寧な応対をしてくれるんだな、
でも、もう少し砕けた話し方でも良いんだぜ、
俺達も、その方が話をし易いしな」
「そうだね」
「おう!良く来たなガキども、
今日は何しに来たんだ?」
「いきなり砕け過ぎだろ!」
「随分と両極端な人だね・・・」
「失礼しました。
本日の御用件は如何でしょうか?」
「・・・どうも、今一つ納得が行かんが、まあ良いか、
俺達は、コウヤサン教会のポキール神父さんに代理を頼まれて、
コウヤサン教会の建ってる土地を、領主様から買い受けに来たんだけど、
領主様からの話は通っているかな?」
「一千万ギルで売ってくれるって話なんですけど・・・」
「はい、その件に関しましては、
アナポーの街の御領主様で在られます
アポペン・アナポー様より承って居ります。」
「じゃあ、代金の一千万ギルを払うんで契約書とか作ってくれるか?」
「契約者の名義はコウガ王国のシュウとケンでお願いします。」
「はい、申し受け賜りました。
お支払方法の方は如何致しますか?
分割払いの場合でも金利手数料はミコチャットが負担致します!」
「・・・じゃあ、ミコチャット負担の分割払いで」
「300回払いぐらいで、お願いします。」
「ウソです!現金で一括払いのみです!」
「最初っから、そう言えっつ~の!
ケン、白金貨を出してくれるか?」
「うん、分かった。」
ケンがサイフから白金貨を取り出して、ミコチャへと差し出した。
「白金貨でのお支払いですか!?ビックリしました!
長い事、当ギルドで受付を担当して居りますが、
一般の受付にて白金貨での、お支払いをされるお客様は、
お客様方が初めてですね」
「へ~、そうなんだ、
普通の支払いってのは、やっぱ金貨で払うのが一般的なのか?」
「それだと量が多くて重そうだよね」
「はい、一般的な受付での取引業務で使われるのは百万ギルの大金貨までで、
それ以上の取引金額となりますと、商業ギルドの口座間でのお振替となりますね、
白金貨が使われますのは、大き目の商会同士の取引などで、
まだ付き合いが浅い商会同士の取引とか、
相手の商会の財政状況が怪しい場合などに白金貨で払う様に要請したりします。」
「なる程な・・・
やっぱ、商業ギルドの口座は作って置いた方が便利そうだな」
「そうだねシュウ兄ィ」




