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異世界ブラザーズ  作者: シュウさん
31/215

地銀(ちぎん)

「えっ?1千万ギルを用立(ようだ)てるとは、どういう事ですか?」

ポキール神父は、シュウが何を言ったか理解(りかい)出来なかった様子(ようす)だ。


「そのままの意味ですよ、

俺達みたいな若造が1千万ギルを払うと言ってもピンと来ないでしょうが、

然(さ)る大金持ちの方から、俺達から見て心根(こころね)が正しいと思う人達が、

お金に困って居たら使って良いと託(たく)された3千万ギルを持ってるんですよ」

「冗談では無いからご安心下さい」

ケンは、何かあった時の為(ため)にと、

財布に1枚入れておいた白金貨を取り出すと神父に見せた。


「それは・・・もしかして白金貨ですか!?

前に一度だけ、この国の首都ポルポートで開催(かいさい)された

教会の総本山での祝賀行事(しゅくがぎょうじ)へと出席した際(さい)に、

国家元首のカメオーク様から、枢機卿猊下(すうききょうげいか)様へと賜(たまわ)れた御下賜金(ごかしきん)と同じ物に見えます。

しかし、お二人のお話が事実(じじつ)と致(いた)しましたところで、

1千万ギルもの大金をご用立て頂(いただ)いても、

我が教会には、お返し出来る物など何も無いのですよ」


「では、こういう事にしたら、どうでしょうか?

このお金は差し上げるのでは無くて、

無期限(むきげん)でお貸しするんですよ、

返済(へんさい)は教会の予算(よさん)に余裕(よゆう)が出た時に少しづつ返して行く事にして、

神父さんの代で返し終えなくても、

いつの日にか返し終えれば良い契約(けいやく)にして置くとか・・・」

「勿論(もちろん)、無利子(むりし)でね」


「それが、お許(ゆる)し頂けるのであれば、

ちゃんと次世代(じせだい)の神父にも申(もう)し伝(つた)える事をお約束致(やくそくいた)しますが、

本当に、それで宜(よろ)しいのですか?」


「ええ、お金は正しい事に使ってこそ役立つ物ですからね」

「こういう時こそ使わなくちゃだよね」


「おお神よ!この出会いをお導(みちび)き下さった事に感謝申し上げます!」


「そんじゃ、この後ポン吉くんに、

魔導バックを購入(こうにゅう)出来る店までの案内を頼んでありますから、

その時に、ここの土地を購入する手続きも済(す)ませて来ますね、

それで、土地の購入をする場合には何処(どこ)に行けば良いんでしょうか?」

「不動産屋(ふどうさんや)さんて、あるのかな?」


「土地や建物の売買(ばいばい)は、商業ギルドで取り扱(あつか)って居(お)ります。

お二人は、商業ギルドの御口座(ごこうざ)はお持ちなのでしょうか?」


「いえ、持ってませんね」

「持ってた方が良いんですか?」


「はい、お二人は暫(しばら)くしたら、また旅立たれるのですよね?

お借りしたお金の返済金を、お二人の御口座へと入金する様にすれば、

他の街の商業ギルドでも引き下ろせる様になりますので・・・」


「なる程、商業ギルドで銀行みたいな業務(ぎょうむ)を取り扱(あつか)ってるって訳(わけ)か」

「大金を持ち歩くのは危ないから預けて置いた方が安全だね」


「ギンコウですか?」


「ええ、俺達が知ってる他の国にも、

そういう業務を取り扱ってるお店があったんですよ」

「お金に関(かん)する専門店(せんもんてん)だよね」


「はて?商業ギルドは世界展開(せかいてんかい)をして居る様ですが、

同じ様な業務で、商売として成り立って居るのですか?」


「え?ええ、地域に根差(ねざ)した活動で、

お客さんを確保(かくほ)しているみたいでしたね」

「地域の特産品のプレゼントとかね」


「ほう、そうなのですか」


「ええ、そ、そんじゃ今日中に土地の契約(けいやく)なんかを、

全(すべ)て済(す)ませて来ようと思いますんで、

俺達は、これで失礼しますね」

「結果は、また明日にでも報告に伺(うかが)う様にしますね」


「はい、お二人には大変なお世話になりますが、

どうぞ宜(よろ)しくお願い申し上げます。

今、使いの者にポン吉を呼びに行かせますので少々のお待ちを・・・」

ポキール神父は、呼び鈴で教会の下働きをする者を呼び付けると、

教会に隣接(りんせつ)する孤児院(こじいん)へと戻って居るポン吉を呼びに向かわせた。



「兄ちゃん達、神父様から何か面白い話とか聞けたのか?」

孤児院から戻ったポン吉を伴(ともな)って、

シュウ達はアナポーの街の、中心街(ちゅうしんがい)へと向かって歩を進めていた。


「ああ、ポン吉のお蔭(かげ)で色々と為(ため)になる話を聞かせて貰(もら)ったよ、

そのお返しと言っちゃなんだけど・・・

教会が必要としていたお金は、俺達で立て替(か)える事になったぞ」

「もう無理して、お金を集めなくても良くなったよ」


「えっ?それじゃオイラ達、あそこから出て行かなくても良くなったの?」


「ああ、大人になって独立(どくりつ)するまでは、

皆と一緒に暮らせるぞ」

「その代(か)わり、ちゃんと神父様方の言う事を聞いて、

勉強とかしなくちゃダメだよ」


「やった~!ありがとう兄ちゃん達、

うん、オイラもっと真剣(しんけん)に勉強して、

シア姉ぇみたいな、ちゃんとした仕事を見付けるんだ。

それにしても、兄ちゃん達って見かけに寄らず金持ちなんだな」


「見かけに寄らずは余計(よけい)だっつ~の!」

「まあ、確かに僕達が自分達で稼(かせ)いだお金じゃ無いもんね・・・」


「兄ちゃん達、街が見えて来たけど、

最初に話してた魔導バックが買える店に案内すれば良いのか?」


「いや、先に教会の土地の方の契約を済ませて置きたいから、

商業ギルドまで案内してくれるか?」

「お店の方は、その後にお願いするね」


「それなら丁度(ちょうど)良いよ、

魔導バックを売ってる店も、商業ギルドの並(なら)びにあるから同じ方向だよ」


「そりゃ丁度良いな」

「あちこち行かなくて済むね」

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