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異世界ブラザーズ  作者: シュウさん
29/215

世襲制の弊害(へいがい)

「お話を始める前に茶でもれますので、

囲炉裏いろりはたにでも腰を落ち着けて下さいませ」


「はい、分かりました。」

「ありがとう御座ございます。神父さん」

2人はポキール神父の言葉にしたがって、囲炉裏端いろりばたに腰を下ろした。


「さて、まずは何処どこからのお話をすればよろしいですかな?

ふむ、お二人はゴジュウショク様が、初代の御領主様ごりょうしゅさまと共に、

この街を起こされたというのを、お聞きになりましたかな?」

シュウ達に鉄瓶てつびんのお湯を使って、

お茶をれながらポキール神父が問い掛けた。


「ええ、ポン吉くんからお聞きしました。」

「たしか当時は、この国がルクシア王国だったって言ってたよね」


「その通りで御座います。

今でこそルクシア共和国となってりますが、

その当時はカメヘッド・スジバリー・ルクシア国王陛下様が国をおさめられる、

ルクシア王国と呼ばれてりました。

そして、ゴジュウショク様と共に、

ここアナポーの街を起こされたペンパナ・アナポー辺境伯様へんきょうはくさまは、

カメヘッド国王陛下様の御従兄弟ごいとこに当たられるお方で御座いました。」


「へ~、国王陛下の従兄弟いとこだったなら、

国の中でも大分だいぶえらい人だったんですね」

「そうだね」


「はい、共和国となった現在に置いても、

辺境伯様のご子孫しそんの方は、この国において強い発言権はつげんけんを持たれてられますし、

いまだに、ここアナポーの街をおさめられて居られます。」


「へ~、未だに子孫の人が治めてるってすごいですね」

世襲制せしゅうせいってヤツだね」


「そこで、当教会がかかえている問題に関係して来られるのが、

昨年、突然の御病気で亡くなられた先代せんだいの後をがれる形で、

この街を治められる事となったアポペン・アナポー様なのです。」


「突然、後を継ぐ事になるなんて大変だったでしょうね」

「後を継がれた方って、おいくつぐらいの年の方なんですか?」


「はい、先代もマダマダ40代とお若かったので、

ご子息のアポペン様には、

この地を治める者の御教育を始めて居られなかった様ですな、

何しろアポペン様は15歳と御成人されたばかりでしたしな・・・」


「成人して直ぐに権力けんりょくを持っちゃったのか」

「それは、人によっては良く無い事を引き起こしそうだよね」


「はい、アポペン様も後を継がれた当初は、

先代に付かれてられた側近そっきんの方々に、

統治の進め方を教わりながら御勉強されて居られたのですが、

どうやら良からぬ事を吹き込むやからが近付いた様で、

ご意見を申し上げる立場の者達を次々に解雇かいこしてしまわれて、

ご自分のお耳に心地よい事のみを申す者で周りを固めてしまわれたのです。」


「そりゃ最悪だな」

「自分に注意してくれる人こそが、

本気で向き合ってくれる人なのにね」


「そうした者の中の一人が、

『この教会の土地をし上げて歓楽街かんらくがいを造れば、

観光客が増えて税収ぜいしゅうが上がる』と進言しんげんした様なのです。」


「えっ?この教会の土地は、

ゴジュウショク様が、初代領主様からたまわったんじゃないんですか?」

「そうだよね」


「そうなのですが、書面しょめんとして残って居るわけでは御座いませんから、

ゴジュウショク様の持ち物と証明する手立てが御座いませんのです。」


「ゴジュウショク様が、ここに教会を建てる事になった経緯いきさつとかが、

分かる書物しょもつとかって無かったんですか?」

「何かしら残ってそうなもんだよね」


「はい、『アナポー年代記』という書物に、

ゆいいつ一それらしき事柄ことがらしたためられて御座いまして、

それによりますと、

ゴジュウショク様が『ここに俺ん建てて良い?』とお聞きしたのに対しまして、

辺境伯様が『良いよ!』とお答えされたとしたためられてりました。」


「それだけかよ!」

「確かに、それだけじゃ証拠しょうことしては弱いよね・・・」

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