レア・コイン
「それでタカムーラ、俺が欲しいと言った品物の方は全部
揃ったのか?」
「はい、水着ギャルのアソコの毛ぐらいに、
キッチリと揃ってます。」
「そんじゃ、品物を回収してから帰るとするか、
シュウ、ケン、俺達は、これで帰る事にするから何か困った事があったら、
さっき渡した魔導通信機で連絡して来いよ」
「遠慮は無用だぞ、少年達よ!」
「はい、ありがとう御座います。
サスケ陛下、ジュリー様」
「ありがとう御座います。」
サスケとジュリーは、タカムーラが畑で採取して来た
ビンビン茸などを回収すると、
ケンタウロス村からラッセン村まで搭乗してきたエアカーを、
村の駐車場にてサスケの『魔倉』へと収納してから、
転移魔導具を使ってコウガ王国へと帰って行った。
「シュウ、ケン、村長が戻った様だから会いに行くか?」
サスケらを見送ったタカムーラが自宅へと戻って来て、
シュウ達に告げる
「ええ、今晩は、この村にお世話になる予定なんで、
是非、ひと言ご挨拶させて下さい」
「お願いします。」
「よし!そんじゃ、村長ん家まで案内してやるから、
ホー〇ーの皮みたいにピッタリと俺に付いて来いよ」
「『ホ〇ケーの皮』いらないだろ!」
「真性だね」
「やあ!旅の方々、ラッセン村へようこそお出で下さいました。
私が当村の村長を務めるヒジガミと申す者です。」
タカムーラの案内で、ラッセン村の村長の家を訪れてみると、
タカムーラ達ケンタウロス族を受け入れたにしては、
極めて普通に見える中年の村長が出迎えた。
「初めましてシュウと申します。
弟と一緒に一流の大工となる為の旅をしておりまして、
本日はタカムーラさんのご紹介でラッセン村へ伺いました
宜しくお願いします。」
「弟のケンです。
宜しくお願いします。」
「これはこれは、ご丁寧なご挨拶を頂きまして、
真に、ありがとう御座います。
タカムーラさんからも、お伺いしたかも御座いませんが、
この村の連中は旅の方々を、お持て成しするのが大好きですので、
どうぞ、ごゆるりとお寛ぎなさって下さいませ」
「はあ・・・ありがとう御座います。
でも確かに、この村は、とても潤って見えるんですけど、
何で、そんなに旅人に対して良くするんですか?」
「それは、この村の故事に由来するのですが、
私の家は先祖代々この村の村長を務めておりまして、
私から数えて5代前の村長の時に、村を大規模に組織立った盗賊が襲いまして、
あわや村が壊滅する危機に直面したのですが、
その時、偶々村に宿泊されていた旅人の皆さんが、
盗賊を追い返したばかりか、アジトの場所を突き止めて壊滅させ、
そのアジトにあった宝の半分にも上る量を、
村の復興に役立ててくれと仰って、置いて行かれたそうなんですよ」
「へ~、そんな凄くて立派な人達が過去に居たんですね」
「まるで『勇者とその仲間たち』みたいな人達だね」
「ええ、それ以来ウチの村では、
旅の方が村を訪れたら歓迎の宴を開く様になったんですよ」
「その様に、寛容な心持ちの皆さんが暮らす村だから、
タカムーラさんみたいのも受け入れたんですね」
「恐るべき慈愛の精神だよね」
「はて?タカムーラさん達は明るく朗らかで良い方ばかりですが?」
「そう言いきれるところが凄いんですよ」
「まるで聖人の村だよね」
「そう言えば、そのタカムーラさんからお聞きしたのですが、
シュウさん達は、何か村で物の売り買いをしたいそうですな?」
「ええ、恥ずかしながら路銀が尽きてしまいまして、
私達が手作りいたしました家具を販売させて頂こうかと思いまして、
こちらの村へ伺った次第なんですよ、
幸いにもタカムーラさんの知り合いの方に少々お買い上げ頂きましたので、
この様に少額の持ち合わせは出来たのですが、もう少し増やそうと思うのですよ」
シュウはポケットから、先程サスケに貰った銀貨を取り出すと村長に見せた。
「おや?そちらを少々見せて頂いても宜しいですかな?」
「はい?え、ええ、どうぞ・・・」
シュウは、自分の掌から銀貨を1枚取って村長に手渡した。
「う~む、私も実物を目にした事は御座いませんので、
確かな事は申し上げ出来ませんのですが、
これは、銀貨では無くて恐らく白金貨ですぞ、
こうして手に持っていると心配なので、お返ししますな」
「白金貨ですか?」
「さっきの陛下の説明には無かった硬貨だね」
「ええ、少なくとも銀貨で無いのは確かですな」
「ちなみに、白金貨っていうのは、
どのくらいの価値があるものなんですか?」
「金貨って言うぐらいだから高いのかな?」
「白金貨は金貨100枚分、1千万ギルの価値が御座います。」
「「1千万ギル!?」」
「ええ、それを5枚お持ちという事は、
お二人は5千万ギルの大金持ちという事ですな」
「陛下が間違えて渡したのかな?」
「1枚なら間違えるかも知れないけど、5枚も間違える筈が無いだろ」
「それも、そうだよね」
「貨幣価値の事を陛下から教わった時に、
大金貨までしか教わらなかったところから見ると、
俺達が気付かない様に態と教えないでおいて白金貨を渡したんだろうな」
「そうだよね、良く見ると銀っていうより
白みがかった金って感じだもんね」
「ここは一つ、早速だけど陛下に魔導通信機で確かめてみた方が良いな・・・」
「僕も賛成だよ」