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異世界ブラザーズ  作者: シュウさん
15/215

摺(す)り合わせ

「・・・で今現在に至(いた)るって訳(わけ)さ」

サスケは、この世界シエラザードへと召喚されてから、

今の、国王の座へと至る道程(みちのり)を簡略化(かんりゃくか)してシュウ達に語り聞かせたのであった。


「ホント、波乱万丈(はらんばんじょう)の過去があったんですね」

「勝手に呼び出されて、そんな酷(ひど)い目に遭(あ)わせるなんて、

陛下も飛んだ災難でしたね」


「まあ、そのお蔭(かげ)でジュリー達を嫁に出来たんだから、

幸せを掴(つか)む為(ため)の試練(しれん)だったって所だな」

「『災(わざわい)い転(てん)じて服焦(ふくこ)がす』ってヤツですね」


「ジュリー、それじゃ転じてないだろ、

それを言うなら『災い転じて福となす』だぞ」


「そうそう、ソレです!」


「ジュリーさんは、日本の諺(ことわざ)に詳(くわ)しいんですね」

「うん、僕もそう思った。」


「ああ、前に俺が、ちょっと聞かせたら興味を持ってな、

お蔭で自家製の諺辞典(ことわざじてん)を作るハメになったよ」


「ハハハ、それは大変でしたね」

「確かに日本人でも諺が好きだって人が沢山居ましたもんね」


「私とすれば、まさしく『棚(たな)からボタンエビ』ってとこだな」


「棚から生臭(なまぐさ)い匂(にお)いが漂(ただよ)ってきそうだなソレ!

ジュリー、それを言うなら『棚から牡丹餅(ぼたもち)』だぞ」


「お~、そうでしたか!」


「それで陛下、

俺達、こっちの世界に来たばかりで、右も左も分からない状況(じょうきょう)なんで、

この世界の常識とかを教えて頂けませんか?」

「お願いします。」


「おう!全然(ぜんぜん)オッケーだぜ、何事にも備(そな)えは大事だからな」

「ああ、『備(そな)えあればカレーめし』って言うからな」


「そうそう、災害時には食料が大事・・・って違うだろ!

い、いや、確かに食料は大事なんだが、

ジュリー、それを言うなら『備えあれば憂(うれ)いなし』だ」


「う~む、諺(ことわざ)の世界は奥が深いな・・・」


という事で、シュウとケンは、

サスケとジュリーから、シエラザードの一般常識や貨幣価値、

現在の他国間の情勢(じょうせい)などを教わったのであった。


「今、憶(おぼ)えて置けば良い事は、

大体(だいたい)こんなとこかな・・・そうだ!

コレを渡しておくから、何か困った事があったら連絡して来いよ」

サスケは『魔倉(まそう)』から、

昔の折り畳(たた)めないタイプの携帯電話の様な物を取り出すと、

シュウへと手渡した。


「コレって、もしかして通信が出来る魔導具ですか?」

「一昔前のケータイみたいだね」


「ああ、俺が造った『魔導通信機』っていう魔導具なんだが、

あらかじめ登録して置けば、この大陸内なら通信が可能なんだよ」


「へ~、陛下が造られたんですか・・・

動力は、やっぱり魔力なんですか?」


「ああ、中の魔石に魔力が蓄(たくわ)えられて1年ぐらいは持つぞ、

表示板のMPゲージがゼロになったら魔力切れだから、

街の魔導具屋でチャージして貰ってくれよな」


「魔力を自動で吸い上げる仕様(しよう)には出来なかったんですか?」

自分達の『亜空(あくう)トレウス』を思い浮かべながらケンが尋(たず)ねる


「弟くん、俺達を基準(きじゅん)に考えちゃダメだろ、

日本から来た俺達は膨大(ぼうだい)な魔力を授(さず)かってるから、

多少なら自動で吸われても大した事はないが、

元々、こっちの世界で暮らして居る人達の中には、

大して魔力を持っていない人が結構な数居るんだよ、

そんな人から自動で吸い上げたら、魔力切れでひっくり返っちゃうだろ?」


「あ~そうか、シュウ兄ィも言ってたけど、

僕達の魔力量って多いんでしたね、

それは、気が付かずに失礼しました。」


「いや、こっちの世界に、まだ慣(な)れて無いんだから、

それは、しょうがないだろ、

それはそうと、さっきから気になってたんだが、

弟くんが腰に差してるソレは木刀(ぼくとう)なのか?

魔力の流れからいって、何かしらの魔法が付与されてるみたいだけど・・・」


「ええ、僕は子供の頃から剣道をやってたんで、

『建築(けんちく)魔法』の練習がてら何本か造ってみたんですよ、

魔法の付与はシュウ兄ィが掛けてくれた『状態保存(じょうたいほぞん)』ですね」


「へ~、その木刀(ぼくとう)が、お前たちのチート能力で造った物なのか、

『状態保存』付きなら戦闘訓練の時に使い勝手が良さそうだな、

何本か造ったなら、俺にも譲(ゆず)って貰(もら)えんかな?」


「ええ、良いですよ」

ケンは、村の駐車場に停めてある『亜空トレウス』へと戻ると、

出来の良さそうな木刀を5本ほど手に取って戻って来た。


「こっちに来たばかりじゃ、お金も持って無いんだろ?

1本1000ギルで買わせて貰(もら)うよ」

サスケが『魔倉(まそう)』から、黄色見を帯(お)びた銀貨らしき物を5枚取り出して、

シュウへと手渡した。


「ええ、ありがとう御座います。」

シュウは銀貨を受け取りながら、サスケに礼を言った。

(魔法を付与したとは言え、所詮(しょせん)は木刀だからな、

さっきの話でサスケさんが、こっちの物価は安いって言ってたから、

良い値段で引き取ってくれたんだろう・・・)



その時、コンコン!というノックの音の後で、

家の入り口のドアが開き

「陛下、ただ今戻りました。

アソコを長くして、お待ち頂いた事と思われますが、

申し訳御座いませんでした。」と言いながら、

ビンビン茸(だけ)などを採取(さいしゅ)しに行っていたタカムーラが入って来ると


「おう!お帰り、面倒掛けて悪かったな」

サスケが、タカムーラの下ネタをスルーしながら、

そう言い出迎(でむか)えた。

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