02. ダイアナとカミラ
※ 2026/3/1 加筆修正済み
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巫女となったダイアナとカミラは、王宮内の大神殿に隣接する聖女殿で暮らすようになった。
そこは数十名の聖女と巫女が一緒に棲んでいた。
聖職者以外は男子禁制である。
二人は聖女になるための訓練に日々励んだ。
ヒールの訓練は主に白魔法と水魔法と風魔法である。
聖女の業務は王都の聖教会の他、地方の聖教会へ派遣に行く。
人間や家畜の怪我や軽度の病気を治す白魔法を使う。
時には他国との戦争で聖女も救護支援者として戦場へ赴く事もある。
聖女が敵から攻撃を受けた際、防御とするヒールは風魔法であり、飲料水の為に川や泉を味方にする水魔法も使用した。
その他、読み書きなどの一般教養や貴族へのマナー習得もあり、聖女の訓練は多岐に渡った。
依って聖女の能力に満たない者は容赦なく切り捨てた。
だがひとたび聖女になれば一人前とみなされ、衣食住は国から無償で保障される。
その他に毎月、高額な給与も与えられた。
もう一つ平民の少女たちが聖女に夢と憧れを持つ理由があった。
それはどんな身分にも限らず、魔力があれば誰もが平等に聖女になれる事だった。
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ジェダイト王国の封建社会では聖女は貴族ですら尊敬される職業となる。
体を治癒する白魔法、いわゆる“ヒール”を聖女が行えば、王族や貴族たちですら感謝の念を示した。
また聖女の規律と矛盾しているが、聖女の中には打算的で邪な聖女もいた。
特に容姿が美しい聖女は二、三年で引退して金持ちと結婚する者も多かった。
彼女たちは伴侶を常に探していた。
特に人気が高かったのは、貴族令息や上級平民の御曹司の上流階級者たちだ。
中には回復治療とうたって、密かに彼等と逢瀬を重ねる聖女もいたのだ。
もちろん一生涯に渡り翡翠の女神に身を捧げる清らかな聖女も大勢いた。
ダイアナは後者の考えだった。
対して妹のカミラは常に貴族令息にヒールをかける時は、にこにこと愛想よくして、じろじろと相手の顔を舐めまわすように吟味していた典型的な邪さがあった。
正反対のダイアナとカミラではあったが、同じ孤児院の出身とあって姉妹のように仲は良かった。
ダイアナにとってはカミラが唯一の家族でもあったからだ。
カミラも幼い頃からダイアナを姉と慕って甘えていた。
ダイアナは他の巫女より魔力は強かったが、それ以上に人一倍勉強熱心でもあった。
逆にカミラは勉強嫌いだが、ダイアナが数回練習して習得するヒールを一度で習得した。
「あらお姉さま、まだ練習してるの? 早くご飯を食べにいきましょうよ!食堂が閉まってしまうわ」
「先に行っててカミラ、もう少し早く治せる回復魔法のヒールを練習したいの!」
「まあ偉いわね~お姉さま、そんなのどうでもいいのに」
「そうはいかないわよ」
と常に対照的な姉妹だった。
こうしてダイアナとカミラは厳しい聖女訓練期間を終えて、晴れて一人前の聖女となった。
ダイアナは十四歳、カミラは十三歳だった。
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月日はめぐり、二人が聖女になって二年の月日が流れる──。
ダイアナたち含めた聖女の師匠である大聖女が来季に引退が決まった。
次の後継者にダイアナとカミラの名前が上がった。
大聖女を選ぶのは神官長と国王と大聖女だが、今回は大聖女に一任された。
大聖女が若い二人を大抜擢した理由は、どのベテラン聖女よりも二人の魔力が突出していたからだ。
「ふう、困ったわね。ダイアナとカミラ、どちらも甲乙つけがたいわ」
大聖女は悩みに悩んだ末、最終的にダイアナを選んだ。
魔力だけならカミラが数段上だが、大聖女はカミラは『素行に難点あり!』と邪な本性を見抜いていたからだ。
大聖女はダイアナを部屋へ呼んで伝えた。
「ダイアナ、あなたの魔力はカミラほどではない。でもそれ以上に翡翠の女神様を敬愛する御心。崇高なる使命と民への奉仕精神がある。残念ながら今のカミラには殆どないものです。──ダイアナ、私はあなたを大聖女に決めました。どうかジェダイト王国民の為にこの神殿を守ってください!」
「はい、ありがとうございます大聖女様。私は肝に銘じます!」
こうしてダイアナは十六歳の若さで大聖女となった。
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これに面白くないのが妹カミラである。
「許せない!──何故、私でなくてお姉さまが大聖女に選ばれたの?」
カミラはこの時、初めてダイアナに嫉妬心以外の憎悪を感じた。




