00. プロローグ 黄金の大聖女、王宮追放となる!
※ 今回は聖女追放の「ざあま作品シリーズ」第二弾です。
※ 大聖女のダイアナは元婚約者の王太子から王宮追放を言い渡される。罪状は婚約者の義妹のカミラの聖女剥奪した件だという。ダイアナがカミラを辞めさせたのには理由があった。
★聖女とは何か? 聖女の資格とは何なのか?
★ヒロインが妹と王太子をざまあする作品です。
★途中から溺愛ツンデレ剣士も出てきます。
※ 残酷なシーンや過激なセリフがありますのでどうかご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇
ジェダイト王国の宮殿内──。
そびえ立つ荘厳なる大神殿。
「あひゃ~、なんつう大きな神殿だろう?」
と初めてみた人が唸るくらい大きい。
大きな女神像が彫られた石碑が祀られる檀上に、この国の王太子アレックスが玉座に座っていた
「皆の者、良く聞け! ダイアナ大聖女は法を犯した、よってその地位を剥奪し王宮追放と処する!」
「「「「おお、そんな……」」」
「何ゆえです、大聖女さまが王宮追放だなんて信じられない」
神殿内の巫女や若い聖女たちが一斉に驚愕した。
「皆の者、静まれ!──国王が原因不明の病いで臥せっている間、今日から王太子である私が、政務を代行する事になった。よって大聖女の剥奪も神殿会議で決定した」
アレックス王太子は、彼女らを睨みつけてさらに話を続けた。
「──その罪状だが、ダイアナは我が婚約者のカミラから聖女の地位を奪った。カミラは未来の王妃となる身だ! 王太子の私に赦しもなく勝手に行った暴挙は許しがたい!──よってダイアナを大聖女の地位剥奪、さらに王宮追放とする。そして代わりの大聖女はカミラである!」
「そんな……おかしいわ。だってカミラ様は……」
ダイアナの隣にいた巫女のマリーが王子に詰め寄ろうとした。
「マリーおよしなさい!」
と巫女を制したのは、他ならぬダイアナ本人だった。
光り輝く黄金の髪を揺らめかし、顔立ちは眩しいほど麗しく瞳は翠色だ。
まだ十九歳の若さではあるが、既に十六歳から大聖女に抜擢された。
大神殿の生きた“黄金の大聖女”と異名を持つ存在、それがダイアナだった。
ダイアナは大聖女だけが纏える純白の聖衣マントを羽織り、さらさらと衣擦れの音を立てながら登壇した。
「なんだダイアナ──呼びもしないのに、勝手に檀上へあがるとは、いい度胸だな」
アレックス王太子が厭らしい目付でダイアナを見つめた。
「お言葉ですが殿下。いくら貴方様が国王代理と仰られても、聖なる神殿の大聖女の権限を、勝手に奪う事は許されません」
「なんだとダイアナ! お前は俺に逆らうのか?」
「逆らうとかの問題ではなく、そもそも私が聖女の資格をカミラから奪ったのは、先日、殿下とカミラが婚前交渉をしたからです──ご存じの通り、聖女は処女でなければなりません」
「ピュ──ッ!」
若い王宮騎士団の一人から“婚前交渉”とか“処女”とかの言葉に、反応したのか口笛を吹く者がいた。
その騎士を咎めるように、騎士団長が「ウォッホン!」と咳をして部下を睨んだ。
ダイアナは外野の反応など、おかまいなしに続けた。
「聖女たる者、殿方との接触や無必要な会話、さらに閨事などもっての他! それらは聖女の規則にすべて違反します。──先日、殿下とカミラの婚約を聞いて私は直接、カミラに問いただしました。その結果、貴方様との情事をカミラは認めました」
「ダイアナ、お前……」
ダイアナは王子の言葉を素早く遮った。
「よって、カミラの聖女剥奪は“聖女規制法”に基づいた公平なる処置でございます。故に私の決定に何の落ち度もございません!」
「黙れ、黙れ、黙れええぇぇ! これは既に神殿会議で決議したのだ、何より俺の王命であるぞお!!」
アレックス王子は癇癪を起こして椅子から飛び上がった。
「はっ!──俺には分かっているのさ、ダイアナ。お前は俺の元婚約者だったからな。義妹に俺を取られた腹いせにカミラを処分したんだろう?」
「⋯⋯⋯⋯」
ダイアナは王子の言葉に少しだけ眉を顰めた。
「ふふん、いくら俺に振られたからとはいえ、嫉妬ほど見苦しいものはないな。──それにカミラはただの聖女ではない。来月には俺の妻、王太子妃となる。王族を侮辱すればそれだけで死罪だ!──だがな、俺はお前の大聖女としての功績に免じて、王宮から追放のみと刑を軽~くしてやったんだ。この俺がな!それだけでもありがたく思え!」
「おほほほほ! 殿下の仰る通りですわ、ダイアナお姉さま。嫉妬ほど見苦しいものはなくてよ!」
高笑いをしながら、壇上の奥からダイアナと同じ聖衣を羽織ったケバイ女が入ってきた。
「カミラ……」
現われたのはダイアナの妹、カミラだった。
彼女の髪はダイアナと同じ金髪、瞳も翠色である。
姉妹だから同じ髪色、眼の色と周りからは思われているが、血はつながっていない。
元々のカミラは髪も眼も茶色である。
己の魔力でダイアナと同じ色に似せたに過ぎない。
その事を知っているのは、カミラと孤児院で暮らしたダイアナだけが知っていた。
カミラは昔から、ダイアナの金髪と煌めく翠の眼が羨ましくて、己の魔力で色を変えていたのだ。
──そうねカミラ、あなたは昔から私の真似を何でもしたし、私のモノも何でも欲しがったわ。
けれど、私の婚約者と大聖女の地位まで奪っていくのか。
カミラ、何故あなたは変ってしまったの?
ダイアナはカミラを哀れみの眼で見つめていた。
※ 1話お読み頂きありがとうございます。
もしこのまま読んでもいいなと思われましたら、ブクマ並びに★1個でもいいのでよろしくお願い致します。
目標は100ポイントです!