プロローグ 黄金の大聖女、王宮追放となる!
※ 今回は聖女追放の「ざあま作品シリーズ」第二弾です。
※ 大聖女のダイアナは元婚約者の王太子から王宮追放を言い渡される。罪状は婚約者の義妹のカミラの聖女剥奪した件だという。ダイアナがカミラを辞めさせたのには理由があった。
★聖女とは何か? 聖女の資格とは何なのか?
※ 2025年の作品ですが、最終話を大幅に追加修正したため、文字数が多くなり2話(エピローグと番外編)に分割しました。
★ヒロインが妹と王太子をざまあする作品です。
★途中から溺愛ツンデレ剣士も出てきます。
※ 残酷なシーンや過激なセリフがありますのでどうかご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇
ジェダイト王国の宮殿内──。
そびえ立つ荘厳なる大神殿。
「あひゃ~、なんつう大きな神殿だろう?」
と初めてみた人が唸るくらい大きい大神殿だ。
巨大な女神像が彫られた石碑が祀られる檀上に、この国の王太子アレックスが玉座に座っていた
「皆の者、良く聞け! ダイアナ大聖女は法を犯した、よってその地位を剥奪し王宮追放と処する!」
「「「「おお、そんな馬鹿な……」」」
「何ゆえです、大聖女様が王宮追放だなんて信じられない」
神殿内の巫女や若い聖女たちが一斉に意義を唱えた。
「皆の者、静まれ!──国王が原因不明の病いで臥せっておる間、今日から王太子である私が、政務を代行する事となった。よって大聖女の剥奪も神聖なる神殿会議で決定したのだ」
アレックス王太子は、巫女や聖女たちを睨みつけてさらに話を続けた。
「──その罪状だが、ダイアナは我が婚約者のカミラから聖女の地位を奪った。カミラは我が妻、つまり未来の王妃となる身だ! 王太子の私に赦しもなく勝手に行った暴挙は許しがたい!──よってダイアナは大聖女の地位を剥奪、さらに王宮追放とする。そして代わりの大聖女はカミラである!」
「そんな……おかしいわ。だってカミラ様は……」
ダイアナの隣にいた巫女のマリーが王子に詰め寄ろうとした。
「マリーおよしなさい!」
と巫女を制したのは、他ならぬダイアナ本人だった。
大聖女ダイアナ。
光り輝く黄金の髪を揺らめかし、顔立ちは眩しいほど麗しく瞳は珍しい翠色。
まだ十九歳の若さだったが、既に十六歳から大聖女に抜擢されていた。
大神殿の生きた“黄金の大聖女”と異名を持つ存在、それがダイアナであった。
ダイアナは大聖女だけが纏う純白の聖衣マントを羽織り、さらさらと衣擦れの音を立てながら静かに登壇した。
「!! なんだダイアナ、呼びもしないのに勝手に檀上へあがるとはいい度胸だな」
アレックス王太子が厭らしい目付で、ダイアナをジロジロと見つめた。
「お言葉ですが殿下。いくら貴方様が国王代理と仰られても、聖なる神殿で大聖女の権限を勝手に奪う事は許されません」
「なんだとダイアナ! お前は王太子の俺に逆らうのか?」
「逆らうとかの問題ではなく、そもそも私が聖女の資格をカミラから奪ったのは、先日、殿下とカミラが婚前交渉をしたからです──ご存じの通り、聖女は処女でなければなりません」
「ピュ~~!」
若い王宮騎士団の一人から“婚前交渉”とか“処女”の言葉に、思わず反応したのか口笛を吹く者がいた。
その騎士を咎めるように騎士団長が「ウォッホン!」と咳をしてその部下を睨んだ。
ダイアナは外野の反応など、おかまいなしに続けた。
「聖女たる者、殿方との接触や無必要な会話、さらに閨事などもっての他!それらは聖女の規則にすべて違反します──先日、殿下とカミラの婚約を聞いて私は直接、カミラに問いただしましたところ、殿下との情事をカミラは素直に認めました」
「ダイアナ、お前……」
「いいえ殿下!」
ダイアナは王子の言葉を素早く遮った。
「よろしいか、カミラの聖女剥奪は“聖女規制法”に基づく公平なる処置でございます。故に私の決定に何の落ち度もございません!」
「黙れ、黙れ、黙れええぇぇ!これは既に神殿会議で決議した事だ、何より王命であるぞお!!」
アレックス王子は癇癪を起こして椅子から飛び上がった。
「はん、俺には分かっているぞ。ダイアナ、お前は俺の元婚約者だったからな。義妹に俺を取られた腹いせにカミラを処分したんだろう?」
「⋯⋯⋯⋯」
ダイアナは王太子の言葉に一瞬、無言にはなったが微動だにもしない表情だった。
だが王太子はあざ笑うかのように話を続けた。
「ふふん、ダイアナ、いくら俺に振られたからとはいえ嫉妬ほど見苦しいものはないな。──それにカミラはただの聖女ではない。来月には俺の妻、王太子妃となる。王族を侮辱すればそれだけで死罪だ!だがな、俺はお前の大聖女としてのこれまでの功績に免じて、王宮から追放のみと刑を軽~くしてやったんだ。この俺がな!それだけでもありがたく思え!」
「おほほほ!殿下の仰る通りですわ、ダイアナお姉さま。嫉妬ほど見苦しいものはなくてよ!」
高笑いをしながら、壇上の奥からダイアナと同じ聖衣マントを羽織ったケバイ女が入ってきた。
「カミラ……」
現われたのはダイアナの妹、カミラだった。
彼女の髪はダイアナと同じ金髪、瞳も翠色である。
姉妹だから同じ髪色と眼の色だと周りからは思われているが、血はつながっていない。
元々カミラは髪も眼も平凡な茶色である。
己の魔力でダイアナと同じ色に似せたに過ぎない。
その事を知っているのはカミラと孤児院で暮らしたダイアナだけだ。
カミラは昔からダイアナの金髪と煌めく翠の瞳が羨ましくて、己の魔力で色を変えたのだ。
──そうねカミラ、あなたは昔から私の真似を何でもしたし、私のモノを何でも欲しがったわ。
けれど私の婚約者と大聖女の地位まで奪っていくのか。
カミラ、何故あなたはそんなに変ってしまったの?
ダイアナはカミラを哀れみの眼でじっと見つめていた。
※プロローグをお読み頂きありがとうございます。
※お、なかなか面白いなと、少しでも感じた方は次話も読んで下さると嬉しいです。
※シビアなシーンもありますが、所々でユーモアタッチを意識して書きました。




