辛く厳しい世界で生きるには
あくるひっ!
『まさか、本当に抜け出すなんて……』
「私の隠密スキルは日進月歩なのよ!」
『そういう問題じゃないのよ、お姉ちゃん』
いとも簡単に屋敷から抜け出した僕たちは、街の一角を堂々と歩いていた。どう見ても幼女の僕と外見だけは妙齢の美女たるユダがいれば、変な虫が寄って来ないだろうからな(人攫いは親子を積極的に襲わない。はぐれた瞬間群がるけど)。
『……で、抜け出したのはいいけど、これからどうするの、お姉ちゃん?』
「お役所に向かいます」
『ギルドに? 何で?』
「そりゃもちろん、冒険者になる為よ」
「えっ……」
僕の答えに、ユダが心底驚いている。そこまでの事か?
『えっと、何で冒険者に?』
「……私、考えたの。手駒は多い程良いって」
エウリノーム家の人間と比べると、今の僕はどうしようもなく非力である。特に母上様とアンタレスさんには修行しても勝ち目があるようには思えない。全盛期の僕でも負けるような気さえする。
そんな彼らをギャフンと言わすには、どうすればいいか。力で敵わないのなら、何を持って勝利するのか。
その時、僕は自分の前世を思い出した。僕、魔王じゃん。
魔王はその名の通り、魔を統べる王者。魔物たちを手足のように使い、自分が戦うのは本当に最後の最後。所謂ラスボスのポジションだ。事実、僕には多くの部下がいたし、何なら四天王もいた。
そう、そうだよ。力で勝てないのなら、数で押せばいい。戦いは数だよ兄貴。
「――――――という事で、私は冒険者になって強い魔物を屈服して、手下を集めようと思います! まずは四天王ポジションから!」
『まるで意味が分からないんだけど』
「魔王女に、私はなる!」
『意味不明なんだけど!』
僕の独り言に律儀な突込みを入れるユダと手を繋ぎながら、僕は役所を目指して歩いた。
そして、十分も経たない内に、目的地に到着する。どう見ても遠山左衛門之丞景元が桜吹雪を見せびらかせていそうな建物だが、今更なので気にしない。
「いらっしゃいませー」
中に入ると、メ○モンみたいな目をした素朴な感じの受付嬢がいたので、
「おい、今すぐ私たちを冒険者として登録しろ。さもないと殺す」
「『ええっ!?』」
とりあえず、エウリノーム家の紋章を象ったペンダントを見せつつ、脅してみた。
「おっと、余計な詮索や下手な真似はするなよ? その時は、このチョーカーがお前をデュラハンに改造してくれる。ただし、アンデッドとして目覚める事はないがなぁ!」
「ひぃっ!」
さらに、アンタレスさんに負けず劣らずの神速で彼女の首に爆弾付きのチョーカーを括り付け、選択肢を奪ってやった。
『お姉ちゃん、やってる事が強盗みたいなんだけど』
「大丈夫だ、命しか取らないから」
『ヤクザじゃん!』
だって、時間稼ぎされたり、連絡されて母上様たちに出しゃばられるのは嫌なんだもん。登録さえしてしまえば、いくら貴族の権利でも失効する事は出来ないし。
「は、はひぃ! す、すぐに登録するので、許してくださいぃ!」
「おう、あくしろよ。あと、私たちがいなくなってから何かしようとしても、自動的に炸裂して首チョンパだからな」
「ひゃぁっ!」
『お姉ちゃん、完全に悪役……』
前世が魔王だから何の問題もない。権力は使う為にあるし、暴力は振るう為にある。それがこの世の心理である。
「で、では、この魔道具に、触れてください……」
受付嬢が、恐る恐るといった感じで、登録証発行用の(どう見ても八咫鏡っぽい)魔道具をズズイッと差し出す。これに触れればOKだ。
「おおっ……!」『奇麗……!』
それぞれ順番に魔道具に触れ合って、登録証(カード形式)を発行する。鏡を持つと鏡面にステータスが表示され、時間経過でカードの形に集約されると鏡の中から出てくる、という仕組みである。これぞ魔道具って感じの演出だ。キレイキレイ。
……ふむ、こうして数値化されてみると、僕たちの優秀さが分かるな。
ユダは素早さこそ若干低いが、それ以外は平均的な魔物よりも高めだし、何よりパワーと魔力が特出している。この辺は刑天側の影響だろう。あいつら妖怪の癖に神通力とか使ってくるしな。
一方の僕は、パワーでは及ばず速度も同程度だが、耐久力は遥かに上回っており、魔力に至っては数倍近く引き離している。元魔王にして現在最強候補の魔法少女としての面目躍如を果たしたと言えるかな。
とにかく、これで登録は完了。母上様やアンタレスさんがいくらがなり立てても、打ち消す事は出来ない。それこそ地獄の七大魔王に直談判して認められでもしない限りな。
フハハハハッ、してやったりぃ! ざまぁ見さらせ、アンタレスぅ!
「……うんうん、よく出来ました。褒美に死をやろう」
「いひゃぁっ!?」
「冗談よ、冗談。それじゃ、バイビー♪」
『何かスイマセン、ウチの姉がスイマセン!』
そして、僕たちは冒険者カードを受け取ると、意気揚々と立ち去った。
◆◆◆◆◆◆
『今度はどこに行くの、お姉ちゃん?』
僕を肩車しながら、ユダが尋ねてくる。ロボロボしながらあっちこっちを指差すだけの、楽しいお仕事です。
……どうでもいいけど、かなり浮いてるよな、僕たち。滅茶苦茶正統派なメイドと暗黒騎士の恰好してるのに。周りが文明開化前だから仕方ないね。もう、どうでもええじゃないか。
「「シェオル大迷宮」よ」
『シェオル大迷宮? 迷宮って事は、ダンジョンに入るの?』
「そう。私たちはこれから奈落の底へ向かうのよ」
シェオル大迷宮とは、英国最大の地下迷宮にして、「悪魔界」に通じる真なる地獄への入り口である(僕たち咎人が住むのは「魔女界」として区別されている)。内部には屈強な魔物が潜み、様々な悪環境や罠が仕掛けられている為、攻略難易度はルナティック級に高い。
ただし、中で手に入れたお宝は持ち帰って良い上に、辺獄という休憩所が用意されている親切な一面もある為、英国一の観光名所にもなっている。
「……ここがそうよ」
そんな凄いんだか凄くないんだかよく分らない、巨大な迷宮の入り口に、僕たちは辿り着いた。物凄く天岩戸っぽいが、中にいるのは闇に紛れて生きる奴らなのでご安心を。早く人間になりたーい♪
ちなみに、入り口はここだけではなく、領地の至る所にある。ここはその中でも一番安全なルートで、人気の高い入り口なのだ。
ほら、ハイキングコースみたいなものだよ。登るんじゃなくて降りるんだけどさ。
「さぁ、さっそく入ろうか!」
精神は大人のつもりな僕だが、今この時ばかりは子供のようにはしゃいでいた。前世の僕は仕掛ける側だったから、挑むのはこれが初めてである。興奮しない訳がない。オラ、ワクワクすっぞ!
「という事で、おーぷんせさみぃ」
『そんなんで……開いちゃったよ!』
僕の合言葉に反応した岩戸がゴゴゴと脇にずれ、闇しか見えない洞窟が姿を現した。心なしか風を吸い込んでいるように感じるし、奥から魔物の鳴き声が聞こえる気もする。テンション上がるよね、こういう雰囲気ってさ。
『えっ、ここに入るの? 怖い……』
だが、暗黒騎士ユダはビビっていた。身に纏う漆黒の鎧がカタカタと震えている。
おい、お前デュラハンだろうが。脅かす側が竦み上がってどうするんだよ。
「大丈夫、お姉ちゃんに任せなさい! 怖い敵はみーんな纏めて光に還してあげるから」
『ホントに? じゃあ、ちゃんと守ってね、お姉ちゃん!』
でも可愛いから許す!
こうして、僕たちは仲良くお手々を繋いで、シェオル大迷宮に挑むのだった。
◆◆◆◆◆◆
さて、洞窟を散策しながらで悪いが、冒険者について話をしよう。現実的な話を、だ。
現世のお前らは冒険者にどんな幻想を抱いているかは知らないが、残念ながら現実は非常である。
端的に言おう。冒険者とは自殺志願者で、役所はそれを斡旋する死のハ○ーワークだ。実際、職員はアジア圏における死神=魔女が勤めてるしな。
知っての通り、ここは地獄で、住人は皆が咎人。彼らは苦しむ為に生まれ、死ぬ為に生きている。とは言え、あくまで“破滅しやすい”だけで“死にやすい”訳ではない。最終的に死という破滅を迎えるだけである。
だが、いつまでも罪人が素知らぬ顔して生きていられるのも気分が悪い。とっとと死んで、新たな魂の材料に使う方がいくらか有用だろう。
そこで役立つのが地獄が運営するお役所、つまりは各地のギルドだ。悲劇のヒロインや哀しきヒーローを気取るゴミムシ共に甘い罠が満載のクエストを紹介する事で、文字通り死の淵へ追いやるのである。仮に死ななくても、ランクアップと称して危険度を上げていけばいいだけだ。
それが、冒険者の真実。金も名誉も手に入るが、代わりに夢も希望も命すらも手放す事になる、そういう職業である。未来に希望などないのです。
しかし、それは真っ当な咎人に限っての事。将来的に魔女になる僕や、そもそも人間ですらないユダには関係ない。功績さえ上げれば誰も文句を言わなくなるし、お金も貰える。良い事ずくめだ。
そんなロマン溢るる冒険者になった僕たちは、さっそくシェオル大迷宮を攻略しようとしているのだが、
『ひっ……お姉ちゃん、そっちで物音が!』
「いや、水滴が落ちただけだから……」
ウチのデュラハンは、思わずナデナデしたくなるくらいにビビりだった。もう一回言うけど、お前デュラハンだよね。可愛いからいいけどさ。
『それにしても、洞窟の中とは思えないくらい暖かいね。むしろ、ジメジメして暑いくらい』
キョロキョロと挙動不審に辺りを見ながら、ユダが呟く。
「そりゃそうよ。ここの最下層はマグマ溜りだからね」
『そうなの!?』
そう、シェオル大迷宮の最下層――――――つまり、本当の地獄への入り口は、煉獄という名のマグマ溜りになっている。この湿気と暑さは地熱のせいなのである。だからこそ魔物も豊富に生息しているのだが。
『そっかー、だからこんなにムッツリと……あひゃん!?』
と、湿った岩に足を滑らせたユダが、思いっきり尻餅を着いた。
『うわぁーん、痛いよ……あららっ!?』
「……って、おいおい、何処行くの!?」
さらに、転んだ拍子に取れた頭が、おむすびころりんとばかりに、洞窟の奥に転がっていってしまった。頭を追い掛けようとした胴体が、もう一度ステンと転ぶ。可愛いけど、今は大人しくしてなさい!
「ちょっ、さすがにこれはヤバ……」
『うわぁああああああああああ!?』
すると、洞窟の奥から、人間の悲鳴が聞こえてきた。声の高さからして、おそらくは子供だ。大方、突然転がってきた生首にびっくりしたのだろう。やっぱり脅かす側じゃん、ユダ。
だが、こんな洞窟の中で子供の声……?
それにこの声、どこかで――――――、
「……っ! ユダ、飛ぶわよ! 【緊急発進】!」
『………………!?』
声の主に心当たりがある事を思い出した僕は、折り畳み式コンパクト箒を展開し、喋れないユダを問答無用で移乗させ、発声源を目指して飛んだ。これなら滑って転ぶ事もない。最初からそうしろという突込みは無しの方向で。いいじゃん、回り道を楽しんだって。
それよりも、今は声の主である。たぶん、僕の予測が正しければ、あの声は――――――、
「……ガキが見えた! 死ねぇっ! 【天界蹂躙拳】!」
「えっ、ちょ……マホイミ!」
そして、二十メートル程下った所で、火を吹くユダの生首から逃げ回っていた一人の少年を、出合頭に【天界蹂躙拳】した。堕ちろ、カトンボ!
◆◆◆◆◆◆
数分後。
「チクショウ、放せ! 放せ! うがぁああああっ!」
ユダに羽交い絞めにされたクソガキが、無駄な抵抗をしている。唯一自由な足をバタつかせたところで、何も解決はしないぞ?
『お姉ちゃん、こいつ何なの?』
「こいつはな、前に私へ石をぶつけてきやがった悪ガキさ」
そう、このクソガキ、実はユダと出会う原因となった、あの貧相な石投げ小僧だったのである。
『……へぇ、そうだったんだ。それでお姉ちゃん、こいつどうするの? 殺しちゃうなら、食べていい?』
「ひっ……!」
背後でジュルリと涎を垂らすユダを見て、クソガキの顔から血の気が引いていく。見ようによっては女騎士に襲われるショタっ子って感じだが、実際は性的な意味ではないから困る。やっぱりユダも邪精なんだなぁ……。
「止めとけ止めとけ。そんな辺獄のクソガキなんぞ食ったら、腹壊すわよ」
しかし、辺獄出身であろうこのクソガキを食ってユダが食当りするのも可愛そうなので、止めさせた。それに殺すなら、しっかりと嫐り殺したい。
「な、何でオレが辺獄出身だと……?」
すると、訳が分からないよ、という視線をクソガキが向けてきた。いや、むしろ何で分からないと思った?
『……って言うか、辺獄って何、お姉ちゃん?』
「ああ、あんたは知らないのか……」
本当に世間知らずのお子ちゃまね。だけど、可愛い妹の為だ。キッカリと解説してやろう。
「辺獄ってのは、日本で言う賽の河原――――――幼くして死んだ子供の保護施設さ。“監獄”と言ってもいいかもね」
辺獄とは、洗礼を受ける前に死んでしまった、哀れな子供の魂を保護する場所である。キリスト教では洗礼を受けていない人間は地獄行きという意味不明なルールがあるのだが、諸事情で洗礼を受けられずに死んでしまった子供にまでそれを適応するのはさすがに可哀そうという事になり、考え出された“魂の修行場”なのだ。
つまり、“洗礼を受けられずに死んでしまったのなら、死後に改めて洗礼をしてあげましょう”というスローガンの下に作られた、あの世の児童養護施設である。似たような概念は世界中にあり、日本で言えば賽の河原がそれに該当する。
辺獄に入るのは、世にも不幸な事に洗礼前に死んでしまった可哀そうな子供たち。彼らはそこで様々な修行を重ね、卒業の証として洗礼を受ける事で天国へと昇っていく。
……というのは一昔前の考えで、今では児童養護施設としての側面が強くなり、心が成熟するまで協力し合って暮らす、子供たちの子供たちによる子供たちの為の場所となっている。辺獄行きになるような子供は、ロクな人生を送ってないからな。心と魂を癒し、幸せになってもらう為の施設と言ってもいい。
そんなちびっ子ランド辺獄だが、あの世においては魔女界よりも下で煉獄よりも上……ようは、シェオル大迷宮の中層辺りに設置されている。
こんな所に子供が一人でいる時点で、可能性は一つしかない。
「……とまぁ、そんな感じね。どう? ぐぅの音も出ないでしょ?」
『へー、そーなのかー』「ぐぅ……!」
僕の素晴らしいプレゼンに、ユダが感服し、クソガキがぐぅの音を吐き出した。
「……だったら、オレたちがどういう存在かも知ってるだろう!?」
と、クソガキが急にイキって来た。まぁ、可愛くないわね!
「知ってるわよ。後天的に莫大な魔力を得ているんでしょう?」
辺獄は地獄に程近い場所にある為、当然そこに住む者たちも“悪”影響を受ける。
具体的に言うと、後天的に膨大な魔力を持つようになる。この世知辛いあの世でも生き延びられるようにと用意された救済措置であり、同時に優秀な魔女を輩出する為の職業訓練でもある。
事実、最近の辺獄卒業後の進路の大半が魔女か死神(天国側の同職種)だ。言わばあの世の公務員だからねぇ。
ようするに、辺獄の子供たちというのは、幼い頃から英才教育を受けてきた、魔法使いのエリート様なのである。
だから、そんな自分にお痛が過ぎると酷い目に遭うぞ、それが嫌なら今すぐ放せ、という事なのだろうが、
「残念。私はサイカ・エウリノーム。あんた何かより、よっぽどエリート様なのよ!」
今明かされる、衝撃の真実ゥ(笑)♪
「………………!」
あ、固まった。そりゃそうだよね。貴族は貴族でも、まさかの大貴族だもんね。それも超武闘派の。そんなお家に喧嘩を売ったとあっちゃ、生きた心地がしないよなぁ!
「……【炸裂装甲】!」『アウチッ!』
形勢不利を悟ったか、クソガキは触れた相手を炸裂させる炎属性の防御魔法【炸裂装甲】でユダの拘束から抜け出し、逃走を図る。
だが、そうはい神崎。この場で抹殺してくれるわ!
「【混沌の覇者】!」
「【奇跡の軌跡】!」
しかし、僕の【混沌の覇者】すらも、確率で自動回避する風属性魔法【奇跡の軌跡】で躱してしまうクソガキ。
「【欺瞞映像】!」
さらに、デコイのホログラムを生み出して、まんまと逃げ切ってみせた。
さすがは辺獄出身のガキンチョ。口だけでなく、確かな実力である。
しかも、おそらく彼は最強の辺獄児だ。辺獄を抜け出して地上にいるという事は、既に卒業資格を得ているという事。言わばインターシップを終えて職場に通っている新規新鋭の正社員だ。叩き上げ程恐ろしい物はない。
だが、敵をいつまでも賛辞してやる程、僕は大人じゃないんだよ!
「野郎ぶっ殺してやる!」『待てー!』
当然、僕たちはクソガキの後を追った。今回はお肌に傷を付けられたからか、ユダの方もノリノリである。許さんぞ、女の敵め!
こうして、僕たちは図らずも迷宮の奥へと歩を進めた訳だが、
「『なぁにこれぇ?』」
いつの間にか、不思議な空間に辿り着いてしまった。
広さは凡そ東京ドーム八百個分。洞窟の中だというのに、外と同じくらいに明るく、シダや地衣類が生い茂る、何処となく腐○っぽい森。清らかな池が点在し、水中には無数のヒカリゴゼン(※ウミホタルによく似た、清水にしかいないデリケートな生き物。常に発光している)が泳いでいる。
そんな不思議の森で、唯一陸地で動く生物が二匹。
『みーみー』『にゃーにゃー』
「『あ、マンティコアの子供だ♪』」
それは、とても可愛らしい、マンティコアの幼生だった。
◆『分類及び種族名称:合成魔獣=マンティコア』
◆『弱点:尻尾』
◆マンティコア(CVイメージ:兄→脳みそが天丼な男 妹→異世界から来たとんがり帽子)
ペルシャ出身の合成魔獣。人の頭に獅子の身体と蠍の尻尾というのが基本形で、個体によりヤマアラシの毒針や蝙蝠の翼を持つ事もある。
「マンティコア」は今でいう「マンイーター」、つまりは人食いの魔物を指し、人語を介する程の高い知能で獲物を誘き寄せ、猛獣の力を用いて仕留める狡猾な一面を持つ。同類としてギリシャ神話のキマイラがいる。
ちなみにかなりの大食いらしく、「食事を始めると一国の軍隊が全滅するまで止めない」と言われている。そんな事してたら、昔はともかく産業革命後程度の軍事力なら簡単に絶滅させられそうな気がするのだが……。