5月 一般大会 2試合目 8
第2セットが始まった。
主審のサーブ許可の吹笛。
永竹クラブのサーバーは#17よっちゃん。力強いサーブがドリーム化繊のコートに向かう。
ドリーム化繊はバックライトがレシーブ。
#17よっちゃんの力強いサーブに押され、ボールはレシーブした本人のほぼ上に上がる。
バックセンターがホロー。前衛ライトが何とかチャンスボールを永竹クラブに返す。
永竹クラブはハーフセンター#6マメちゃんが、セッター#2ヤマちゃんにパス。
#2ヤマちゃんは、陽介の指示通り中衛レフト(レフトセミ)#8ハリちゃんにトスを上げた。
#8ハリちゃんの前には、相手の中衛ライトが1枚ブロック。
#8ハリちゃんは、思いっきり腕を振り抜き、アタックを決めた。
永竹クラブ1-0ドリーム化繊
#17よっちゃんのサーブ。第1サーブをミスして、第2サーブを緩く相手コートに入れた。
ドリーム化繊は、ハーフセンターがオーバーレシーブでセッターに。
セッターは、Bクイックを使ったがコンビが合わず、緩いボールが永竹クラブに返る。
永竹クラブはバックレフト#13シズさんが、セッター#2ヤマちゃんにパス。#2ヤマちゃんはライトアタッカーの#1ヨシちゃんにトスを上げた。
するとどうだろう、ドリーム化繊は#1ヨシちゃんのライトアタックに3枚のブロックで対応して来た。
レフトアタッカーの#17よっちゃんがサーブに下がり、前衛のレフトポジションに#3キーちゃんが入っていることを、ドリーム化繊が確認して#3キーちゃんのアタックは無いと考えてのプレーなのか?
いずれにせよ相手は、1セット目は2枚ブロックであったものを、セッターを含む3枚ブロックで対応して来た。
しかし、この3枚ブロック。陽介の頭の中には全く無かったプレーではあったが、偶然にもメンバーに伝えた戦術に、ズッポリとハマった。
ライト#1ヨシちゃんは、陽介の指示通りブロックの真後ろにフェイントした。
ドリーム化繊のバックレフトが、「アッ!」と言って動けなかった。
さらにフェイントをカバーする選手がいない。
ボールはあっけなくドリーム化繊のコートに落ちた。
#1ヨシちゃんは、ガッツポーズ。
永竹クラブ2-0ドリーム化繊
おそらくドリーム化繊は、3枚ブロックを普段練習していないのだろうと陽介は思った。
永竹クラブの1セット目の攻撃から見て、レフト・ライト両サイドの打数が多いと判断し、3枚ブロックを考えたか、あるいは永竹クラブの3枚ブロックを見て影響されたか、いずれにせよ普段から練習を重ねたプレーだとは、とても思えないものだった。
#17よっちゃんの力強いサーブが続く。
ドリーム化繊はバックセンターがレシーブ。#17よっちゃんのサーブの勢いに押され乱れた。
ハーフセンターがレフトアタッカーに二段トス。
永竹クラブは、高い3枚ブロック。
相手のアタックはそのブロックに当たり、ハーフセンターがホロー。セッターが高いトスをレフトアタッカーに上げる。
永竹クラブは、当然ながら3枚ブロック。
ドリーム化繊のレフトアタッカーは、3枚ブロックの真後ろにフェイントした。
チームで戦う永竹クラブ。そのフェイントをバックライト#9井口ちゃんが、ちゃんとカバーしていてハーフセンターの#6マメちゃんに向かい、優しくレシーブ。
#6マメちゃんは、ライト#1ヨシちゃんに二段トスを上げる。
#1ヨシちゃんは、ストレートに思いっきり打ち、ブロックアウトをとった。
永竹クラブ3-0ドリーム化繊
#1ヨシちゃんは、陽介の「最初の内は、フェイントか押し込みで行くように!」と言う指示とは違うプレーをした。
しかし、#1ヨシちゃんが相手のフェイントを弱気と見て、上がって来たナイス二段トスを確実に得点にするため、ストレートに打ってブロックアウトを狙ったのであれば、100点のプレーだと陽介は心の中で誉めていた。
ただし、本当に考えてのプレーならば…。
もし、何も意図もなく、監督の指示に従わず打ったのであれば、決まったという結果からいえば±0点。
決まっていなければ、-500点。さらにはチームのリズムを崩したであろう。
陽介は、試合が終わったら、このプレーについて#1ヨシちゃんに聞いてみようと思った。