『家庭の事情』 陽介大ショック! しかし、これもママさんバレー
さて陽介は、3歩あるくとアタックの打ち方を忘れてしまうよっちゃんに、根気よくレジ袋ボールを打たせる練習を続けさせ、それと同時に5月の一般大会に向けて永竹クラブの指導を続けていた。
ある練習日、陽介が一番頼りにしていたセッターのユカちゃんが、
「チョッと話しがあるから、明日の昼間時間とれないかしら?」と言って来た。
陽介は、「明日の14時頃なら空いてるけど…」と伝え、翌日地元の喫茶店でユカちゃんと会った。
ユカちゃんが言うには、「私、子供が3人いるんだけど、一番下の男の子が4月から小学生になるんで、上のお姉ちゃん2人と合わせて3人が、バレーボールをやりたい!と言うの。家族で話し合ったんだけど、どうせやるなら、ちゃんとしたクラブチームでやらせたいと結論が出て、5月から3人共〇〇クラブに入部させることにしたの。」
陽介は、「〇〇クラブって、小学生の全国大会でいつも優勝してるチームじゃない?、ママが本物だから、子供達も本物になりたいんだね?、それで?」
「そこのクラブに入部すると、練習が夕方~夜の時間帯なんで、永竹クラブは休部しないとならなくなるから、昨日大御所に伝えたの。大御所は「練習や試合に来れる時だけ来ればいいじゃない」と言って、永竹クラブの選手登録からは外さないでおくって言ってくれたの。」とユカちゃんは言った。
陽介は、「マジで!?、じゃぁ、5月の試合は出れないの?、練習や試合はいつまで来れないの?」と聞いた。
ユカちゃんは、「日曜日は一日中練習があるし、永竹クラブの練習日も〇〇クラブの練習があるから、下の子が小学校を卒業するまでは、ほとんど来れないと思う。」と申し訳なさそうに言った。
「6年間も!?、でも子供のためなら仕方ないね。今しか出来ないことだしね。僕にとっては一大事だけど、仕方ない。頑張って!」と陽介は言ったものの、「永竹クラブのセッターをどうしよう?、1年間で優勝するのは難しくなったかも。ヒョットすると監督クビか?」と、この先を不安に思った。
(ちなみに、〇〇クラブ入部したユカちゃんの子供達は、その後高校に進み、バレーボール部で活躍をし、全国大会で優勝した。3人共、時は違えどもみんなテレビに映っていたのを、思い出す。)
ユカちゃんが休部してしまう永竹クラブを預かる陽介は、その時セッターを誰にするかで頭がいっぱいであった。
『家庭の事情』これもママさんバレーチームにとって、不変の要素であった。